特撮映画「女吸血鬼」(1959)・舞台演劇のようなホラー

1959年に公開された特撮映画「女吸血鬼」をレビュー。

この作品を視聴する方法もご紹介します。

どうぞ、最後までお付き合いください。

目次

「女吸血鬼」とは?

画像引用元:Amazon

作家・橘 外男さんが1958年に発表した「地底の美肉」という小説を映画化したホラー作品。

原作本をAmazonで探してみたところ、中古本(上掲した写真)が、なんと20,000円から取引されているというレアなもの。ちなみに最高額は68,550円だった(いずれもAmazon)。

こういった金銭的な事情で原作は読むことができていないため、映画がこの小説に忠実なのかどうかは不明だが、日本的な吸血鬼映画としては、まとまっていたと思う。

「特撮」という観点では、1959年(今から60年以上も前!)の作品ということで技術的な部分はお察しだが、モノクロの映像ならではの美しさと不気味さがホラー映画としての雰囲気を盛り上げているように感じた。

ストーリー

新聞記者の大木は、婚約者のバースデイ・パーティーのため、婚約者宅に向かう途中で不思議な体験をする。

乗っていたタクシーが、道行く女性をはねてしまったのだが、はねられたその女性が消えてしまったのだ。

大木が婚約者宅に到着すると、20年前に失踪したという婚約者の母・美和子が、当時と変わらぬ姿で現れる。

ちょうどその頃、2つの事件が世間を賑わせる。

1つは、とあるホテルで起きた女性の惨殺事件。

もう1つは、絵画展に出展されていた謎の絵描きによる裸婦画の盗難事件。

別々と思われるこれら2つの事件が、実は同一犯によるものだったことは後に明らかとなるのだが、その盗まれた裸婦画が、大木家に送られてくる。その絵をひとめ見るなり、青ざめる美和子。

それは美和子の絵だったからだ。

20年前のこと。天草四郎の子孫である美和子は、夫との旅行中、竹中という天草四郎の家臣だった男に囚われてしまう。竹中は吸血鬼となり、数百年を生き抜いてきた男だった。美和子は当時の姫の生まれ変わりらしく、彼女を慕っていた竹中の手で永遠の若さを与えられていたのだ。

竹中が描いた美和子の裸婦画が、竹中のもとを逃げ出してきた美和子の家に送られてきたということは、行方を突き止められたということである。

ほどなく美和子は、竹中によって連れ去られてしまう。

その美和子を救出するため、九州島原に向かう大木と婚約者。

吸血鬼・竹中との対決の結末は? 美和子の運命は?

感想

「女吸血鬼」というタイトルから、当然、「カーミラ」のような女吸血鬼が人を襲う作品だと思っていたが、そうではなく、吸血鬼として人を襲うのは天草四郎の家臣であった竹中という男のみ。

美和子は「永遠の若さを手に入れた」と言われているため、おそらく同様に吸血鬼になっていたのかな? と推察できるが、人を襲うどころか、最後まで竹中の一方的な寵愛を受ける「姫」でしかなかった。

私は血が苦手で、献血どころか健康診断の採血でも気分が悪くなるレベル。吸血鬼の映画なんて観られるかな? と終始不安だったが、日本的とでも言ったら良いのか、美女の首筋に噛み付くようなシーンもほんの一瞬で、あえて生々しく見せない「奥ゆかしさ」みたいなものもあり、当初イメージしていたグロさとは全く無縁。

そこに救われた部分もあった反面、物足りなさも残った。人間とはワガママな生き物だ。

最後は竹中が巣食う地下城で対決するのだが、このシーンはほとんど場面が変わらない「舞台」のような演出がなされていた。

昔の作品らしく、きちんと幕を引く結末には心地良さを感じたものの、ただ1つ、吸血鬼・竹中が「月の光」に弱いという理由が全くわからなかったのが不満だった。

竹中は日光が燦々と降り注ぐ中を悠然と動き回れるというのに、何故か月の光には苦しむという謎設定。

月の光を浴びた途端、顔つきが変わり、牙と爪が伸びて吸血鬼と化すのだが、最後の対決シーンでは月の光を浴びた(浴びすぎた?)途端、それまでツヤのある黒髪と端正な顔立ちの紳士(天知茂さん)だったのが、白髪で顔はしわくちゃになってしまうというのも、正直「何故?」と思った。

まあ、限られた時間内でまとめなければならないご都合展開というのは、今も昔も変わらないのだろうが、それでもなんだかなあ・・・というのが本音。

今では当たり前になっている、太陽と十字架とニンニクが弱点、といった吸血鬼像が、この頃はまだ明確でなかったのか、それともドラキュラとは全く違う出自の吸血鬼ということでオリジナル設定にこだわったのかもしれない。

とはいえ、今から60年以上も前にこういった作品が撮られていたというのは、なかなか興味深いものだった。

特撮の歴史にまた一つ触れられた気がしている。

ただし、今の肥え太った目で、1本のホラー作品としてみれば、やはり物足りない。雰囲気だけは”らしい”が、怖いものを見たいという気分はほとんど満たされることがなかった。

本で読んだら、より想像が膨らんで怖いかもしれないが、果たして原作がどのようなものかは、先述したとおり、今のところは知る術がない。

『女吸血鬼』を観るには?

私は「dtv」で視聴した。

月額550円(税込)で120,000本以上もの動画が見られるサービスで、この『女吸血鬼』も見放題となっている。

スマホアプリにもなっているので、ちょっとした隙間時間に楽しめるのはありがたい。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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