『グッドモーニング、眠れる獅子2』感想|待望の続編!前作超えなるか?

雷堂

2023年4月12日配信開始『グッドモーニング、眠れる獅子2』(監督:坂本浩一 脚本:光益義幸)をレビュー

1年ぶりの続編! あの九條和真が帰ってきた! しかもまた前作とは異なるライダー俳優たちと共に・・・なんて聞けば、1ライダーファンとして観ないわけにはいかない。それが『グッドモーニング、眠れる獅子2』である。

さて、前作『グッドモーニング、眠れる獅子』は、『仮面ライダークウガ』から『仮面ライダージオウ 』に至る、いわゆる“平成ライダー”20作品のうち、18作品において主役ライダーのスーツアクターを担当した伝説級のアクション俳優・高岩成二さんの初主演作だった。

50年を超える仮面ライダーシリーズの中で、もっとも多くの主役ライダーの中の人を演じたレジェンドが、今度は顔出しで、当時の主演ライダー俳優さんたちと共演するということばかりが話題となって、まるで“ライダーファンホイホイ”みたいな作品になるのかと思われたが、蓋を開けてみれば、純粋なアクション作品としてかなりのデキだった。

50歳を超えているとは思えないほどの身体のキレは流石で、坂本浩一監督の手腕も遺憾無く発揮されていた。ストーリーに意外性は無いものの、エンタメとしては王道と言ってよく、緩急をつけながら一気にクライマックスへと雪崩れ込む流れは、何度観ても胸が高鳴る。

そこかしこにライダーネタが仕込んであるところもファンには嬉しい限りだが、おそらく仮面ライダーに1ミリの興味もない人が観ても、アクション映画が好きならば普通に楽しめるはずだ。

現在はBlu-rayも発売されており、Amazonレビューでも5点満点中4.4点とかなりの高評価。そんな作品がたった1作で終わるはずがない。いや、終わって良いわけがないと思っていたら、当然の如く続編の登場である。

シリーズ2作目は難しいという話を聞いたことがあるが、本作はその2作目の呪いを跳ね除けて、さらなる高みを見せてくれたのだろうか? 忖度なしでレビューしてみたい。

まだ観ていないという方のためにネタバレは最小限に留めるつもり(とはいえ、ネタバレしても面白さを損なうような作風では全くないのだが)。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

レジェンドたちとアイドルの競演

『仮面ライダー剣(ブレイド)』、『仮面ライダーディケイド』、『仮面ライダー鎧武』、『仮面ライダーゴースト』の主演俳優、椿 隆之さん、井上正大さん、佐野 岳さん、西銘 駿さんを敵役に据えるという、なんとも豪華な共演を果たした前作に続き、本作では『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー555(ファイズ)』から賀集利樹さん、半田健人さんが登場。さらにライダーではないけれど、『轟轟戦隊ボウケンジャー』から出合正幸さん、さらにはケインコスギさんらに加え、これまで長らく高岩さんと共にライダーの中の人を演じてきた永徳さんが顔出し出演をしているなど、今回も東映特撮を知る人からすれば、なんとも胸熱なキャスト陣である。

ただし、逆にいえば東映特撮にあまり興味のない方にとっては、前作よりも少しインパクトは劣るかもしれない。

なお、前作では『ウルトラマンティガ』などの中の人を演じていたレジェンド・中村浩二さんが登場したことも話題だったが、本作では『ウルトラマンデッカー』など現役のウルトラマンを演じている岩田栄慶さんが登場しているのも見どころではある。

この非常に男臭い現場に華を添えるヒロインにもまた注目したい。

前作では、当時、日向坂46に所属していた渡邉美穂さんが、女優を目指す売れないアイドル・綿貫玲実として登場したが、本作ではAKB48の小栗有以さんが、失踪した父の残した借金を返すためにキッチンカーを切り盛りする売れないシェフ・柚木朱音を熱演している。

「自分はプロの料理人で、食材にも調理方法にもこだわりがある」という自信ばかりが空回りをしている朱音が、客寄せのためにチアガールや猫耳などのコスプレを繰り広げるシーンにはあざとさしか感じないが、かわいらしいのは間違いない。小栗さんのファンが、彼女目当てで観たとしても、後悔するようなことはないだろう。

また、渡邉美穂さんの再登場も前作を観た人には嬉しいことだろう。高岩さんとのくすぐったいやり取りもまた見どころだ。

それにしても、作品ごとにヒロインを変えていくという手法は、まるで『男はつらいよ』だ。高岩さんが体力的に無理、となるまではこのパターンであと何作かは作れそうだ。

秘密結社アルテミス

今回、九條が戦うことになるのが、アルテミスという秘密結社だ。“秘密結社”という響きからは、ショッカーとかデストロンといった往年の仮面ライダーの敵組織を思い浮かべてしまうが、それは当然に意識してのネーミングだろう。

とはいえ、このアルテミスの目的は世界征服でも四国を占領することでもない。彼らは法で裁かれない罪人たちを捕らえ、“鹿”と称して森に放ち、その“鹿”に対して恨みを持つ人たち(詐欺の被害者や、旦那を寝取られた妻たちなど)に“狩り”という名の復讐をさせていた。

その中心人物が、半田さん演じる美食家セレブ、加集さん演じる天才麻酔科医、出合さん演じる敏腕弁護士の3人。「正義」の名の下、暴力を正当化するヤバいやつらだ。

この活動は、社会的地位のある3人が自らの欲望を満たすために行なっている秘め事であり、当然他人に知られるわけにはいかないもの。

ところが、この証拠を握って組織から逃走する人物が現れる。それが朱音の父である。

朱音の父はアルテミスによって拘束されてしまうが、証拠の在処については一切口を割ろうとしない。そこで彼らは、一人娘の朱音ならば、その秘密について何か知っているはずだと狙いを定める。

その魔の手から朱音を救うのが九條…のはずなのだが、あろうことか、アルテミスによって拉致され、“鹿”として狩場へ放たれてしまう九條。

彼のピンチを救うため、朱音は父親が残した証拠を手にアルテミスへと向かう。そう、九條だけでなくヒロインもまた戦うのが本シリーズの特徴である。前作の玲実もそうだったが、九條のように殴り合いをする訳ではないけれど、守られるだけのプリンセスではなく、凛とした姿勢で戦うヒロインとして描かれている。

それにしても、このアルテミスというのが非常に質が悪い。

前作はグリムリーパーズという半グレ集団が“ゲーム”と称して自らの欲求を満たすためだけに暴力を振るっていた。

それは理不尽ではあったが、自分たちがいかにイカれているのかを自覚もしているようだったし、自らの手を汚してもいた。要するに直接的だったのである。

だが、本作で描かれる暴力は、間接的とまではいかないが歪んでいる。それもかなり狂っている。

自らの欲求を満たすために「正義」を降りかざすアルテミスの面々と、「被害者」という仮面をつけ、自由に身動きの取れない“鹿”たちを一方的に叩きのめす人々。

これはどこかネット社会をも想起させる。「正義」とか「被害者」という錦の御旗があれば、匿名という安全圏から何を言っても良いのだという風潮。

果たしてこんなことをイメージしながら本作が作られたのかはわからないけれど、本作に登場した「人間狩りをやってみたい」と、どうやら大金を積んでアルテミスの“鹿狩り”に参加した裕福そうな人たちと、ネット上で叩ける対象を探し続ける暇を持て余した人たちの姿が重なる。

素顔は仮面で隠したまま、下卑た笑いを浮かべ、本物の銃を人間に向けるその姿は、私には皮肉のメタファーに見えるのだ。

そこかしこに見えるわざとらしさ

高岩さんのファンだから、ということもあって、基本的に私の目には“好意的”なフィルターがかかっている。だが、そんな私でも気になるところが何点かあったので、これについては忖度なしに伝えておきたい。

本作における最大のウリは、ミスター平成ライダーこと高岩成二さんのアクションシーンであることは疑いようがない。だから当然、そこを大々的に描くわけだが、序盤の宅配シーンはやりすぎだった。

30分以内に注文されたランチを届けなければ代金無料という、一昔前のピザ屋のような設定で、九條が昼時の人混みを縦横無尽にすり抜けて目的地に辿り着くというシーンなのだが、本作最初のアクションシーンということで気合を入れたのはわかるけれど、無理矢理感がハンパなかった。

高岩さんのアクションを見せたい! という気持ちは痛いほど伝わってくるし、我々もそれを観たいと思っているのは確かだ。しかし、そうは言ってもあんまり無理やりぶっ込まれてもなあ、という想いも同時に浮かび上がる。自分で言っていてわかる。ファンとはわがままなものなのだ。

コメディタッチなところも本作の魅力の一つではあるので、こうしたやりすぎ感を出そうとしたのは理解できるけれど、もうちょっとサラッとこなしてくれた方が名刺代わりとしては良かったんじゃないだろうか。ところどころに挟まれるコメディ要素も、ちょっと古すぎてクスッとさえできなかった。『白い巨塔』的なネタなんかは、若い世代にはまるでピンと来ないだろう。これでは“おっさんホイホイ”と言われても仕方がない。

また、シリーズ化ということで、いわゆる“お約束”となるネタをぶっこもうとしたのはわかるのだが、前作のヒロイン・玲実の歌う楽曲を街角で耳にした途端、当時話題になったオタ芸を披露し始めたのは流石に取ってつけた感が酷く、なんとなく観ているこちらが気恥ずかしい感じになってしまった。

ただしその後に登場する仮面ライダーフォーゼ(前作はWだった)のお面で顔を隠すシーンや、仮面ライダー今回はフォーゼ)の決め台詞「タイマン張らせてもらうぜ!」を口にするシーンなどは「待ってました」とばかりに楽しめたので、やはりやり過ぎ、狙いすぎは良くないということなのだろう。

前作超えは果たせたのか?

さて、それではここで本作の感想をまとめてみたい。

ひとことで言えば、良作のアクションだ。観て損はないと断言できる。

前作同様、ライダー俳優が出ている、なんて売り文句は単なる一部熱狂的なファンに向けた限定的な客寄せパンダに過ぎず、そんなことを無視して観ても普通に楽しめるアクション作品だ。

ケインコスギさんとの息もつかせぬラストバトルは圧巻だし、クライマックスのお約束「グッドモ〜ニング!」と絶叫してからの大逆転劇はクセになるし、半田さん演じるラスボスとの顛末も悪くない。

ただし、前作を超えているか? と言えばそうではない。

なんと言っても、盛り上がりが足りない。これは、九條が命懸けで戦う理由が、前作ではこれ以上ないほど濃厚だったことも原因の一つだ。続編であるために、どうしてもそれとこれとを比べてしまう。

元傭兵だった九條が芸能事務所のマネージャーなんて仕事を始めたのは、女優を目指す、亡き戦友の一人娘・玲実を見守るため。

売れない地下アイドル・玲実は、悪質なストーカーにつけ回されていた。そのストーカーはグリムリーパーズという半グレ集団の一員で、玲実は映画の最終オーディションの直前に連れ去られてしまう。

亡き戦友との約束を守るため、そして玲実の夢を叶えるため、九條は単身、グリムリーパーズのアジトへ乗り込む…。というのが前作のあらすじだ。これと比べると、圧倒的に戦う理由が薄すぎて、まるで感情移入できなかったというのが本当のところ。

ディスるつもりは全くないのだが、前作も本作も物語自体は割とありきたりなものだ。元々ストーリーテリングよりもアクションで押すタイプの作品なので、そんなことは全く気にならないのだが、盛り上げる導線だけにはこだわって欲しかった。

前作と同等とまではいかなくとも、もう少し命を張るだけの理由づけができていたら、もっと良かった。

本作だけ観ても普通に楽しめるとは思うが、前作を観ないとわからないネタも結構多いので、できれば前作から続けて2作ご覧になることをオススメしたい。そうすると、いかに前作が凄い作品だったか、というのもわかるはずである。

ちなみに本作はNTT Docomoが提供する新サービス「Lemino」で配信されている。

私もこの作品のためだけに加入した。しかも最初の1ヶ月は無料期間となっており、契約を継続するかどうかはその間に決めれば良いということで、かなり心理的なハードルは低い。

おそらく半年ほどもすれば、TTFC(東映特撮ファンクラブ)などでも視聴できるようになるはず(前作はそうだった)だが、TTFCはその名の通り、東映特撮オンリーのサービスであるため、そこに興味のない方にとっては、この作品を観るためだけに加入するのは、はっきりと無駄だろう。

何か面白そうな動画配信サービスがないかな? とお探しの方は、これをきっかけにLeminoを試してみる良い機会かもしれない。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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