2022年10月2日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン31話「かおバレわんわん」(監督:山口恭平 脚本:井上敏樹)をレビュー
物語はとっくに折り返し地点を過ぎ去っているというのに、未だに戦隊メンバーに顔を合わせていない(正体を知らないまま共闘はしている)者がいるという、異色のドンブラザーズ。メンバーが揃うところまでが一番面白い、という意見には同意だが、流石にここまで引き伸ばされるとは思わなかった。
そして31話にしてついに、最後の一人イヌブラザーの正体が仲間たちに明かされる・・・?
終わらない悪ふざけが、これでもかと繰り広げられるドン31話。ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここではドン31話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。
桃井タロウ/ドンモモタロウ
樋口幸平
猿原真一/サルブラザー
別府由来
鬼頭はるか/オニシスター
志田こはく
犬塚 翼/イヌブラザー
柊太朗
雉野つよし/キジブラザー
鈴木浩文
桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ
石川雷蔵
五色田介人
駒木根葵汰
雉野みほ
新田桃子
乾 龍二
山岸健太
大食漢
女性店員
前田鮎花
警官※後ろ姿のみ
高田将司
客
下園愛弓(左)・山口鳳華
祥子
ANITA
いぬづか と いぬい
特撮ヒーローではよく見る、流しそうめんのシーンから始まるドン31話。未だにその正体が誰だかわからないイヌブラザーの話になり、桃谷ジロウは「イヌブラザーは犬塚だ」と主張するが、他のメンバーは誰もその言葉を信じない。
それがきっかけとなり、イヌブラザーの正体を探ろうとするドンブラザーズの面々だったが、たまたま犬塚がサングラスを落としたところに居合わせた男が、イヌブラザーと勘違いされてしまう。
間違えられた男の名は乾 龍二。「嵐のスカイックボイス」という謎のキャッチコピーを掲げて路上ライブを続ける自称ミュージシャンである。何故か『鳥人戦隊ジェットマン』に登場したブラックコンドルのキャラソン「炎のコンドル」を熱唱しているが、その理由は後に明らかとなる。
この乾(いぬい)という苗字も、イヌブラザーを想起させるため具合が悪い。さらに、犬塚が落としたサングラスをかけることで乾はイヌブラザーに変身することもできてしまう。ドンブラザーズの面々が勘違いするのも無理はない。
ところが、イヌブラザーに変身した乾は勘違いし、イキってしまう。「昔から黒いヒーローに憧れていた」という乾は、唐突に髪型を整え、「俺は男と納豆が大嫌いだ」とか言い出してしまう。
これは『鳥人戦隊ジェットマン』のブラックコンドル・結城 凱のオマージュだ。先ほど「炎のコンドル」を歌っていた理由はこれだった。
戦隊ファンは歓喜するだろう。しかし、路上ライブを続けるミュージシャンとして見れば、その将来は絶望的だ。オリジナルソングとまではいかなくとも、カバーにしたって、もうちょっとメジャーな曲をやるべきである。戦隊ファンにしかわからないキャラソンを熱唱している時点で、売れる要素は限りなくゼロに近いだろう。
ちなみにここで、「炎のコンドル」(作詞:井上敏樹・そのべかずのり 作曲:松澤浩明)の歌詞をご紹介しておこう。
走るバイク
夕陽のハイウェイ
おれの体が
風に舞うとき
誰もじゃまは
させないマイウェイ
それが俺流自由な
生き方なのさ
だ・か・ら・
Hey Hey 平和な
この空奪うなら
You You おまえに
あしたはないぜ
だから Hey Hey ブラック
コンドル翼を開けば
You You 怒りの
炎は熱いぜ
仲間たちも
孤独のファイター
わかってるのさ
胸の中では
きっとおれは
流星チェイサー
好きと今風素直に
言えないだけさ
だ・か・ら・
Hey Hey 平気さ
この星護るというなら
You You みんなと
どこかで出会う
だから Hey Hey ブラック
コンドル心を開けば
You You 友情
誰より熱いぜ
だ・か・ら・
Hey Hey 平和な
この空奪うというなら
You You おまえに
あしたはないぜ
だから Hey Hey ブラック
コンドル翼を開けば
You You 怒りの
炎は熱いぜ
引用元:「炎のコンドル」
「俺流」とかところどころに見え隠れする時代感が素敵。しかし、今この曲をカバーするメリットはやはり見当たらない。戦隊ファン以外には。
人から人へ渡るヒトツ鬼
今回登場したヒトツ鬼は天装鬼。
天装鬼
身長:195cm
体重:238kg
スキン:天使像ヘッダー
ネーミングは2010年2月から2011年2月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ第34作『天装戦隊ゴセイジャー』がモチーフだが、デザイン的にはドン25話に登場した大鬼のマスクと、ドン17話に登場した鳥人鬼の羽根飾りのカラーリングを変えてミックスしただけだ。
顔だけ見ると、某◯ツコデラックスみたいにも見えるが、気のせいだろう。
天装鬼は、とある大食漢(名前はない)の「ダイエットしたい」という欲望から生まれたものなので、普通に考えれば無害なのだが、自分より痩せた人間を見ると嫉妬して襲いかかる。なんとも厄介だ。
ところが転機が訪れる。
宿主である大食漢が「大盛り無料」の言葉に釣られてフラフラと入ったご飯屋さんで女性店員からかけられた「たくさん食べる人が好き」という一言で、憑きもの(ヒトツ鬼)が落ちてしまう。
大食漢から離れた天装鬼は、そのまま浄化するかと思われたが、今度は「別れた恋人に戻ってきて欲しい」と強く願った乾 龍二に取り憑いてしまう。
みほと夏美と祥子
前回、自身の恋人・夏美と瓜二つの女性・みほが雉野の妻であることを知り、驚きを隠せない犬塚は、雉野にみほとの馴れ初めをそれとなく聞いてみる。すると、美容師のみほに一目惚れした雉野が、猛アタックの末に射止めたらしい。
それを聞き、以前は美容師志望だったという夏美の言葉を思い出して混乱する犬塚。もちろん、みほが獣人であることなど知るよしもない。みほが夏美のコピーだとして、それでは獣人によって連れ去られた夏美は今どこでどうしているのか。それは犬塚だけでなく、観ている我々にとっても未だ謎である。
それにしても、毎日美容室に通ったという雉野のエピソードでの悪ふざけがハンパない。最初はロン毛だった髪が日に日に短くなっていくのは当然として、最後だけ何故か髪が急に伸びてパーマがかかるというのはお約束みたいなものだが、どの髪型も絶妙に似合わないというのが凄い。その絶妙さに匠の技を感じるが、美容師としての腕前を考えると、これはなんとも微妙である。
さらに偶然みほを見かけた乾 龍二は、別れた恋人・祥子に似ていると主張する。
みほと夏美と祥子、まさかの一人三役かと思われたが、祥子は単にオチとして使われただけ。
結局、みほと夏美の謎も、犬塚の正体も明かされないまま終わってしまった31話。進んでいるようで進まない展開にイラつく人もいるかもしれないが、「スーパー戦隊とは」なんて面倒くさいことは考えず、ドンブラザーズはこういうものだと、さっさと諦めてしまうべきだ(良い意味で)。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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