2022年12月25日放送『仮面ライダーギーツ』第16話「謀略IR:キツネ狩り」(監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也)をレビュー
ついに迎えた第1クール最終回。
なんとしてもギーツを脱落させたいギロリが企んだ悪辣な作戦とは?
そして、ついにデザイアグランプリの真実が明かされる。
盛大なネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
※以下で使用している画像は全て『仮面ライダーギーツ』より引用している。
最後のターゲットはギーツ
浮世英寿の活躍によってラスボスを倒し、今回のデザイアグランプリも終焉を迎えたかに見えたが、何故かゲームは終わらない。それもそのはずで、デザイアグランプリの各ゲームはゲームマスターの承認がなければ終わらないらしい。要するに、ギロリが英寿を勝者として認めない限り、このゲームは終わらないということだ。
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
簡 秀吉
だがギロリは、英寿を世界を救った英雄として祝福するどころか、あくまでも排除しようとする。残った二人、景和と袮音に課された最後のお題は「キツネ狩り」。ギーツ(キツネ)を倒した方を勝者として認めるという。
桜井景和/仮面ライダータイクーン
佐藤瑠雅
鞍馬袮音/仮面ライダーナーゴ
星乃夢奈
二人は、理想の世界が実現できるぞというギロリの甘い囁きと、これまで何度も世界を救い続けるという偉業を達成してきた英寿に対する想いの間で苦悩する。なんといっても、これまで共に戦ってきた仲間である。ゲームにおいてはライバルだが、少なくとも直接手を下すべき相手ではない。
しかし、ギロリは二人の迷いが晴れるのを待ったりはしない。
自らの配下(?)に英寿を炙り出させ、景和と袮音に否応なく戦いを強いる。
それどころか、前々回、仮面ライダーグレアの力で、その精神を支配した晴家ウィンを人間爆弾として英寿の命を狙うのだった。これによって英寿は負傷し、晴家は命を落としてしまうのだが、それを見ても「最後まで役立たずだった」と、まるでコマ扱い。その様子を見たツムリは、我が物顔でゲームを支配するギロリに怒りを滲ませる。
ツムリ
青島 心
二人の決意
「退場した全ての人たちが蘇った世界」というのが景和の願いである。これが実現すれば、過去にデザイアグランプリで命を落とした人たちが蘇るだけでなく、巻き添えを食った景和の両親も蘇るはずだ。
それを「素晴らしい願い」だと褒め称えるギロリは、英寿の願い「デザイアグランプリの運営になる世界」が書かれたカードを景和に晒し、「こんなくだらない願いに、キミの素晴らしい理想が邪魔されるなんてことはあってはならない」とけしかける。さらに「必要なら・・・」と英寿が持つのと同じコマンドバックルもチラつかせる。
それでも迷い続ける景和だったが、今は亡き両親の話を少し寂しそうに語る姉・沙羅を見て決意を固める。
桜井沙羅
志田音々
一方、袮音は父・鞍馬光聖に「鞍馬財閥がデザイアグランプリのスポンサーだ」という事実を突きつけ、何事か交渉を始める。
鞍馬光聖
笠原紳司
キツネとタヌキ
覚悟を決めた景和は、英寿の前に立つ。その手にはコマンドバックルが見える。ギロリから受け取ったのだろう。
同じコマンドフォームを纏ったギーツとタイクーンが対峙する。ギーツが圧勝するかと思いきや、意外と善戦するタイクーン。これまでの戦いによって成長したこともあるだろうが、やはり覚悟を決めたことが大きかったのだろう。ギーツは「お前も強くなったな」と労うが、まだまだ余裕がありそうだ。
といったところで、ギロリがひっそりと現れる。
ギロリ/仮面ライダーグレア
忍成修吾
変身し、ギーツの背後からとどめを刺そうとするグレア。その瞬間、タイクーンの両肩のキャノンが火を噴く。放たれた光弾はギーツではなく、グレアを直撃。
「どういうつもりだ?」とタイクーンに凄むと、そこにニラムが仰々しく姿を現す。
ニラム
北村 諒
隣には袮音の姿も見える。
実は袮音が、父のスポンサーという立場を利用して、ゲームマスターよりも上位の存在であるゲームプロデューサーのニラムに「不正が行われている」と告発したのだ。それを受けたニラムは、不正の現場を押さえるため、こうして現場に出張ってきたというわけだ。
ニラムの権限により、ゲームマスターの地位を剥奪されるギロリ。
「キツネ狩り」ゲームのラストは、勝者なきエンディングを迎えるのだった。
新シーズン開幕に向けて
今回のハイライトは3つ。
まずは、謎に包まれたデザイアグランプリの真実が明かされる。それはリアリティーライダーショー。要するに、エンタメだ。スポンサーもいる、立派なコンテンツなのである。『グラップラー刃牙』などでも描かれている地下格闘技のように、命懸けの戦いを見て楽しむ、趣味の悪い金持ちの道楽みたいなものだろう。
次に、ジャマトの秘密である。
アルキメデルの元に、ジャマトの肥料が届くシーン。その肥料とは、予想通りデザイアグランプリの敗者だった。やはりジャマトたちが過去の参加者たちの台詞を口にしていたのは、その敗者を養分としていたためだったのだ。
そして今回届いた肥料は、前回敗れた吾妻道長だった。
吾妻道長
杢代和人
倒れた道長の手を舐めて何かを確かめるアルキメデルがかなり気色悪い。
アルキメデル
春海四方
そしてもう1つ。
新キャラが登場した。その名はジーン。あの、特撮オタク・鈴木 福さんである。
ジーン
鈴木 福
別記事にも書いたが、デザイアグランプリの運営の中枢にいる人たちは皆、目に関する名前になっていた。ギロリ(睨む時の表現)、ツムリ(目を瞑る)、ニラム(睨む)、サマス(目を覚ます)といった具合だ。
しかし、ジーンという名前と目が結びつかない。あえていえば、感動する時の擬音「ジーン」だろうか。マンガで涙を流すようなシーンに描かれるアレである。ただしアルキメデルのように、ギロリらとはまるで違う文法で名付けられた名前もあるので、ひょっとしたらジャマトサイドの人物という立ち位置なのかもしれない。
次回から始まる新シーズン。そして、ツムリが頑なに口をつぐむ、英寿の母・ミツメの真実。
徐々に謎が明かされてきたとはいうものの、まだまだ謎の多い『ギーツ』。次の第2クールをどう乗り切るか。そこに作品の成否がかかっているといっても過言ではない。『ゼロワン』も『リバイス』もそこでコケた(『セイバー』はずっと微妙だった)。どうか『ギーツ』は、同じ轍を踏まないようにと祈るばかりだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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