2021年4月11日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第6カイ「不快不可解ゴミあつかい!」(監督:諸田 敏 脚本:香村純子)
ゴミワルドが生み出すゴミに侵食される世界を救うのは、お掃除大好きブルーンか? 片づけられないマジーヌか? そして、突然現れたイケメンの正体は? 見どころ満載の第6カイをレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここではキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。「え? あの作品に出てた人?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
セッちゃん(声):福圓美里
ボッコワウス(声)中田譲治
バラシタラ(声):乃村健次
イジルデ(声):竹田雅則
ゲゲ(声):鈴木達央
ゴミワルド(声):姫野恵二
ステイシー:世古口 凌
街の人:椿 直 ・ 鈴木奈津子
五色田ヤツデ:榊原郁恵
ゴミワルド
今回登場する怪人はゴミワルド。
「ゴミトピア」という世界のパワーを操る。想像しただけで気持ち悪くなるが、この世界にも、ゴミ屋敷という小規模なゴミトピアに生息する人もいる。私などは、ゴミそのものよりも、そこに群がる虫が無理なのだが、ああいったところに暮らしていると、まるで王蟲と会話するナウシカのような心情になるのだろうか? とにかく、そういった空間を住みやすいと思う人たちもいることを考えると、ゴミトピアという世界が荒唐無稽とは言い切れない気もする。
ゴミワルドの能力は、頭にあしらわれたゴミ箱から無尽蔵にゴミを吐き出せることだ。その吐き出したゴミ山で世界を埋め尽くすことができるほどらしい。さらに、そのゴミから発するゴミ電波で人々の心を蝕み、ゴミのような人間にすることができるというのだから有能である。
実際、あのポジティブ全開な介人でさえ、無気力になっている。
その様子を見ていたボッコワウスは、「ゴミにまみれた世界など欲しくはない!」と怒りをあらわにするが、いやいや、ちょ待てよ、ゴミトピアを閉じ込めてた(手に入れていた)のはお前らじゃねえのかよ? とジュランばりにツッコミたくなる。
片付けられない女
今回のキーマンは、ブルーンであるかのように見える。なんといっても、元トジテンドのお掃除係だ。ゴミワルドが無尽蔵に吐き出すゴミの山を、器用に、かつ迅速に分別し、片づけていく。
しかし、本当のキーマンはマジーヌである。
ザ・片づけられない女。ブルーンとは真逆と言ってもいいほどのガサツさが目立つ。ゴミ屋敷とまではいかないが、部屋は散らかし放題。お掃除だとか整理整頓というのが大の苦手の様子だ。その代わり、普段から散らかった中で生活していることもあって、ゴチャッとした山の中から必要なものを見つけ出すスキルを持っているらしい。
確かに、デスクの上が書類の山になっているのに、どこに何があるのかを結構正確に把握している人というのは存在する。
そんなマジーヌだからこそ、ゴミワルドとの相性は悪くない。ファンタジーRPGでよくある属性で例えれば、ブルーンとゴミワルドが氷と炎なら、マジーヌとゴミワルドは炎と炎みたいなものである。同じ属性同士なので、お互いに決定打を与えることが難しい(物理勝負は別)が、ゼンカイジャーは5人パーティである。パーティーの中にゴミワルドの攻撃に屈しないメンバーが一人でもいることで、パーティー全体での勝率は上がる。ピンチは敵と相性の良いメンバーに凌いでもらい、機を見て他のメンバーの攻撃で逆転するというのは、RPGではある意味定石である。
ゴミワルドの力で、介人、ジュラン、ガオーンの3人が、生ゴミ、粗大ゴミ、不燃ゴミなどの袋を被せられてしまうが、落胆するどころか、「世界初! ゴミのヒーローだ!」とくじけない。
最後はマジーヌとブルーンのコンビネーションが光る。毎度おなじみのスーパー戦隊の力も二人で使用する。今回は、センタイギア36『ゴーバスターズ』の力だ。
『特命戦隊ゴーバスターズ』は、2012年2月から2013年2月まで放映された3人組のスーパー戦隊。前作『海賊戦隊ゴーカイジャー』まで連綿と続いてきたスーパー戦隊のさまざまな「お約束」の変革を目指した作品として登場。リアリティを重視したドラマ重視の作風が特徴。未視聴の方には是非オススメしたい。
謎のイケメン
介人の前に、謎のイケメンが現れる。
彼の名は「ステイシー」。今回はきちんと名乗ったわけではないが、オープニングの役名で確認できる。細身のコートのような衣装がクール。そのコートをなびかせるようなアクションも、いちいちクールだ。
今後、介人のライバルとして活躍するはずだが、驚くべきは敵幹部・バラシタラの息子らしい。
詳細は次回以降、明らかになるのだろうが、この機械の身体のどこにこんなイケメンの遺伝子があったのか? それは母親譲りなのかもしれないが、そもそも生身の人間との間に子供をもうけられるその技術力(?)に脱帽だ。
昔、水木一郎アニキが歌う『グレートマジンガー』の主題歌の中で「俺は涙を流さない(ダダッダー)ロボットだからマシンだから」という一節があったが、バラシタラの場合、涙どころか、さまざまなものを垂れ流しのようである。
それにしても、今回のマジーヌの活躍は『ゼンカイジャー』の作風を象徴する出来事だったと思う。整理整頓くらいできて当たり前、といった、清く正しく美しい、典型的な正義のヒーローではなく、長所も短所も持つメンバーたちが、お互いの足りない部分を補い合って戦うという内容に仕上がっているし、もっと言えば、欠点だと思っていたものが、翻って長所になることもあるということを示唆している。5人で結束して戦うスーパー戦隊だからこその見せ方だろう。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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