2022年9月25日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン30話「ジュートのかりゅうど」(監督:諸田 敏 脚本:井上敏樹)
鬼頭はるかの叔母・ゆり子が誘拐されてしまった。誘拐したのはアノーニ。本作でいうところの戦闘員で、人間に紛れ込んでいる存在である。
そのアノーニたちがドンブラザーズに対し、ゆり子を人質に突きつけてきた条件とは?
物語も後半となり、様々な謎が明かされはじめたドン30話をレビュー。ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここではドン30話のキャストをご紹介する。
なお、以下で使用している画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。
桃井タロウ/ドンモモタロウ
樋口幸平
猿原真一/サルブラザー※画面手前
別府由来
鬼頭はるか/オニシスター
志田こはく
犬塚 翼/イヌブラザー
柊太朗
雉野つよし/キジブラザー
鈴木浩文
桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ
石川雷蔵
五色田介人
駒木根葵汰
ソノイ※画面奥
富永勇也
ソノニ※画面右
宮崎あみさ
ソノザ
タカハシシンノスケ
鬼頭ゆり子
三輪ひとみ
雉野みほ
新田桃子
狭山健児
杉本凌士
獣人※画面左
坪内 守
小山
矢野たけし
花村静香
阿部瑞歩
青年アノーニ
イノウエタイチ
イケメンアノーニ※画面左・中央
後藤光輝・桜井鉄也
ドキッ!イケメンだらけの拉致監禁
警察官である鬼頭ゆり子を誘拐したのは3人のアノーニたち。
わざわざ敵陣である喫茶どんぶらにまでやって来て、誘拐した理由を説明するアノーニ。一般的な誘拐犯とは思えないほど紳士的な態度に驚くが、自分たちの天敵である獣人をドンブラザーズに駆逐して欲しいというのが彼らの望みだった。
不可殺の者。
脳人が獣人を語るとき、必ず登場するキーワードだ。切っても突いても死なない存在。それが人工生命体・獣人。確かにこれまで、誰も傷ひとつつけることができなかった。
しかし、ドンムラサメの登場が全てを変えた。
前回、襲いかかる獣人を一撃で消滅させたムラサメ。それこそがムラサメの持つ特別な能力。それにアノーニたちは目をつけたわけだ。
ゆり子を人質に取られ、気が気ではないはるかだが、当のゆり子は、イケメンだらけの誘拐犯たちに豪勢な食事とマッサージで誠心誠意もてなされ、密かに大喜びしていた。キャビアやフォアグラを高級食材として描いているのは、いかにも昭和的な発想だが、誰にでもわかりやすい。
嵐の前の静けさ。
そんな言葉がこれほどピタリと当てはまることもない。
唐突にアノーニたちの隠れ家に大挙して押し寄せてきた獣人たちによって、イケメン3人はあっけなく吸収されてしまい、誘拐ごっこは終了。その騒動に巻き込まれたゆり子は、そのまま獣人たちの手に落ちる。
喫茶どんぶらに姿を現した獣人・狭山は、ドンブラザーズに「ムラサメを渡せ」と迫る。自分たちの脅威となるムラサメを押さえておきたいということなのだろう。前回、犬塚が振るったムラサメによって切り裂かれた頬の傷が未だ生々しく残っていることが、獣人にとってムラサメが脅威であることを示している。
時を同じくして、犬塚の前にソノニが現れ、共通の敵・獣人を倒すために共闘を持ちかけられる。確かにムラサメは今、ソノザが所持している。ソノイを欠いたとはいえ、ソノニとソノザ、そしてドンブラザーズが揃えば、獣人を一網打尽にできるかもしれない。
未だ単独行動している犬塚にとっては、獣人とかムラサメとか、何を言っているのか理解はできないが、偶然出会った仲間たちにソノニからの情報を伝えたことで、ゆり子が囚われている大丹村の白い邸宅へと向かうことになる。
辛すぎ注意
獣人と脳人たちがざわざわしているのとは、まるで無関係なところで今回のヒトツ鬼が誕生している。この主軸となるシナリオとは別筋で怪人が生まれるのは、良くも悪くもドンブラザーズならではのお約束的展開だ。ヒトツ鬼という存在がドンブラザーズと敵対する脳人の手先どころか、むしろ脳人にとっても憎むべき存在として描かれている以上、仕方のないことではある。
さて今回は、小山という男が自らの欲望に溺れて変異してしまうのだが、その欲望というのが「もっと辛いものを食べたい」というクソくだらないもの。まあ、人間の欲望なんて大概つまらないものであることが多いけれど。
スーパー戦隊シリーズ第10作目『超新星フラッシュマン』(1986年3月〜1987年2月放送)をモチーフとした超新星鬼は、危険の意味なんて忘れて超辛成(ちょうしんせい)分の唐辛子をかけまくる、らしい。ただのダジャレとフラッシュマンの歌詞の引用である。
超新星鬼
身長:187cm
体重:235kg
スキン:プリズム恒星
道ゆく人たちを襲う中、忘れた頃にやってくるドンドラゴクウにあっさり倒され、巨大化。超新星鬼ングへと変貌する。
超新星鬼ング
身長:52.2m
体重:2150.9t
スキン:プリズム大恒星
頭上にコズモエネルギーを集中させ、巨大な超新星を作り出して放つという、まるで『ドラゴンボール』の元気玉のような強力な技を持っているが、トラドラオニタイジンによってあっさり敗北。
最近のロボ戦は特に、この残り時間数分でのやっつけ作業感が凄まじい。ヒーローがピンチを越えて敵に勝利する、といったカタルシスを感じるシーンはドン1話からほとんどない、というのが正直なところで、感情を揺り動かす部分というのはドラマパートに集約されている。このあたりの配分は好き嫌いが分かれるところだとは思うが、私は嫌いではない。
獣人の秘密
タロウの前に姿を見せたのは雉野みほ。獣人だ。タロウは、それが雉野の妻とはわかっていない。
みほの口から、獣人に関する情報が語られる。
「獣人は人間をコピーする。そして獣人が死ねば、コピーされた本物の人間も死ぬ」
この事実を知ったタロウは、脳人たちとの獣人殲滅作戦を中止する。理由は誰にも明かさずに。
獣人が、タロウの血縁であるドン王家によって創られたという事実を突きつけられ、その責任を感じた部分もあったろう。自分たちの手で生み出した生命を、今度は奪おうとする身勝手さ。これは空想の世界のお話ではなく、人間が抱える業である。実験やビジネスとして生み出され、そして命を奪われてきた生物など、振り返れば枚挙に暇はないだろう。そして今後、本当に人間のクローンが誕生することになれば、必ずや直面する問題ともなるだろう。タロウはそんな問題に直面したのだ。迷うのも当然だ。
また、獣人には「ネコ」「鶴」「ペンギン」の折り紙を折る者たちがいるというのは、以前にも明かされた内容だったが、今回はもう少し深掘りされている。
「ネコは気ままに遊び、鶴は物語を紡ぐ」らしい。
現在あちこちでアノーニを襲っているのはネコの獣人たちであり、あれは遊んでいる、ということのようだ。そして鶴であるみほは今、雉野の妻として物語を紡いでいる。さらに言えば、この雉野みほは、そもそも犬塚の恋人・夏美だったのだ。犬塚の元に戻るのではなく、他人と結婚生活を送っているというのは不思議だったが、コピーだとすれば納得はできる。
この、恋人の夏美が雉野の妻だったという事実については、今回ついに犬塚も知ることになったが、雉野みほが夏美のコピーだとすれば、最終的にはコピーのみほと雉野は今まで通り仲睦まじく、犬塚は本物の夏美と仲睦まじく暮らしましたとさ、めでたしめでたし・・・となるのだろうか? 獣人も脳人も人間も仲良く共存する未来が来てハッピーエンドというのもありそうだが、劇的な展開を考えるとしたら・・・?
そもそも「愛を知りたい」と言っていたソノニの、犬塚を見つめる目も気になる。あれは恋する目ではないのか。やがて犬塚が夏美と元の鞘に収まるとして、ソノニの気持ちはどこへ向かうのだろう?
そして残された獣人・ペンギンの正体とその目的は?
まだまだ楽しませてくれそうなドンブラザーズ。次回はいよいよ犬塚が身バレするとかしないとか。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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