ソノイ復活!終わりなき戦い|『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン32話感想

雷堂

2022年10月9日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン32話「けっせんソノ2」(監督:山口恭平 脚本:井上敏樹)をレビュー

ソノイを倒した桃井タロウに、ソノニとソノザが決戦を挑む。

繰り返される戦いの中、あの男が姿を現す。

終盤戦に突入したドンブラザーズに新展開。ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここではドン32話のキャストをご紹介する。

本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。

なお、以下で使用している画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。

桃井タロウ/ドンモモタロウ

樋口幸平

猿原真一/サルブラザー

別府由来

鬼頭はるか/オニブラザー

志田こはく

犬塚 翼/イヌブラザー※画面左

柊太朗

雉野つよし/キジブラザー

鈴木浩文

桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ

石川雷蔵

五色田介人※画面手前右

駒木根葵汰

ソノイ

富永勇也

ソノニ

宮崎あみさ

ソノザ

タカハシシンノスケ

ドンムラサメ(声)

村瀬 歩

大野 稔

榊原卓士

大野の母

水野千春

老人

豊田一也

黒天女

渡辺 望・加藤萌朝・井田彩花

桃井 陣

和田聰宏

マザー(声):能登麻美子

デジャヴュ

今回は開始早々、まるでデジャヴュのような展開が待っている。

ソノニとソノザは、桃井タロウに決戦を挑む。2対1とは、いささか大人げない気もするが、タロウはその不利な状況をむしろ楽しむように不敵な笑みを浮かべて真っ向から受けて立つ。

打倒桃井タロウを胸に、ソノニとソノザはドンムラサメを相手に特訓を始める。これは以前、ソノイがソノニとソノザを相手に特訓したそのままの展開。ただし、相討ち狙いの末に敗れたソノイを反面教師として完全勝利を目論む。あえて2対1という数的有利な状況で挑むのも、なりふり構っていられないということだろう。

なんと言っても、相手はあのソノイを倒したタロウである。その実力は認めざるを得まい。

下手なプライドは捨て、勝つことに執着する。なんとしてでも生き残ろうとする執念は、死んでも構わないという達観より強いものかもしれない。

だが、一方の桃井タロウは周囲の心配をよそに、これまで通りの生活を送り続ける。自信満々なところは、いつも通りだ。

そうして決戦の日を迎える。

決戦の地で待つソノニとソノザ。しかし、一向に姿を現さないタロウ。

喫茶どんぶらでは、仲間たちが決戦の結果にやきもきしている。

そこにふらりと現れるタロウ。なんと、普通に宅配の仕事をこなしている。

これはソノイの時とまるで同じ。

この後、待ちきれなくなって迎えに来たソノニとソノザが、タロウの配達を手伝うことになる。

これもまた同じ。

さらに、タロウがクレーマーに絡まれてしまい、その窮地をソノニが救う。これもまたソノイの時と同じ展開である。しかも、そのクレーマーがおでんを食べているところも、手の甲に口づけをしてご機嫌取りをするところも全く一緒だ。

ここまであえて展開を変えないのは、もちろん遊んでいるからである。同じ展開でも、異なるキャラクターが演じることで見える個性の違いによる面白さもあるだろう。しかし最も大事なのは、この後に訪れる“新たな展開”と“以前とは違う結末”を引き立てることである。2〜3球のストレートで目を慣らしておいてから放つフォークボールの威力は計り知れない。

これもデジャヴュ?

タロウがソノイを倒したドン27話「けっとうマジマジ」にも登場した大野 稔がまたまた登場する。ゲストとしては最多となる3回目の出演。手裏剣鬼、魔法鬼と2体のヒトツ鬼の宿主となった男である。

既に忍者になることを諦め、母親と平和に暮らしている様子の大野だったが、ふとしたことで再び宿敵・桃井タロウを倒したいという想いが暴走し、新たなヒトツ鬼へと変貌してしまう。

2006年2月〜2007年2月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ第30作『轟轟戦隊ボウケンジャー』をモチーフとしたヒトツ鬼・轟轟鬼である。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

轟轟鬼(ゴウゴウキ)

身長:191cm

体重:233cm

スキン:しつこき冒険者

ドン3話に登場した快盗鬼の色違いで、顔の右についていたレンズがプレシャス・コンパスに置き換えられた程度。最小限のコストで違いを表現しているのは、ドラクエにおけるスライムとスライムベスの関係性に近しい。

これもまたデジャヴュに見えるが、この後に待つ結末はなかなか哀しい。ドンブラザーズによって倒されたヒトツ鬼は元の人間に戻るが、脳人に倒された人間は消滅してしまう。

大野は、「母ちゃん、ごめん」と言い残して消滅してしまう。悪ふざけのキャラだったが、母と二人で平穏な暮らしをしていた一人の男が、母を残して先立ってしまう。残された母のことを思うと、なんだか胸が苦しい。

復活

大野を容赦なく斬り捨てたのは、ソノニでもソノザでもない。桃井タロウの生命エネルギーによって蘇ったソノイであった。

まるでタロウのように神輿に乗って登場するソノイ。寡黙だったソノイが扇子を片手に高笑いをし、名乗りを上げる。よく見れば、髪の毛の所々にピンクのメッシュが入り、瞳の色も違う。しかも、ソノニとソノザをお供扱い。タロウとソノイが混じり合った存在となっていることは一目瞭然である。

再び対峙する両雄。お互いのことを「互いに向き合いながら、決して交わることのない海と空のよう」だと表現したソノイのセリフは、いかにも脚本家・井上敏樹さんらしい詩的表現だ。

そうして最後は、またまたドン27話の繰り返しで締め括る。

剣を片手に、無言で歩み寄る二人。

向き合うと同時に剣を振り下ろす。

前回、ここで倒れたのはソノイだったが、今回倒れたのはタロウ。

力なく倒れたタロウに一瞥もくれず、歩み去っていくソノイ。

そうして倒れたタロウを担いでどこかへ向かうのは桃谷ジロウ。

手塚治虫先生の『ブラックジャック』のような余韻を残し、静かに幕を閉じる。


今回は他にも、二つの人格を持つ桃谷ジロウが今より強くなるためには、この二つの人格が一つになること、というヒントが提示されたり、ドンムラサメがブラックオニタイジンにチェンジするなど、いつも以上に盛り沢山だったが、このあたりのことはこれからさらに広がりを見せるはずだ。

今回はソノイが前回の汚名を返上した形で終わったが、ソノイが蘇ったことに驚きを隠せないタロウに対して放った「お前が生きているからだ」と言ったセリフは、おそらく次回以降に意趣返しという形で使われるだろう。

終わらない二人の男の戦いの顛末はどうなっていくのか? 楽しみだ。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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