2021年4月1日、「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」でついに見放題(会員限定)となったVシネクスト『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』。
『仮面ライダージオウ』に登場した2号ライダー「ゲイツ」を主役としたアナザーストーリー。
意外にも、ちょっぴり切ない青春学園ものとして、とても良かった。多少のネタバレもあるけれど、最後までおつきあいいただければ幸いである。
スタッフ・キャスト
ここでは主要スタッフとキャストをご紹介。ウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品についてもチェックしていただきたい。
【スタッフ】
監督:諸田 敏
アクション監督:宮崎 剛
脚本:毛利亘宏
音楽:佐橋俊彦
【キャスト】
明光院景都/仮面ライダーゲイツ:押田 岳
ツクヨミ/仮面ライダーツクヨミ:大幡しえり
ウォズ/仮面ライダーウォズ:渡邊圭祐
スウォルツ:兼崎健太郎
ウール:板垣李光人
オーラ:紺野彩夏
オーマジオウ(声):小山力也
カッシーン(声):津田健次郎
柔道界の魔王:熊野 準
草加雅人/仮面ライダーカイザ:村上幸平(友情出演)
照井 竜/仮面ライダーアクセル:木ノ本嶺浩(友情出演)
伊達 明/仮面ライダーバース:岩永洋昭(友情出演)
海東大樹/仮面ライダーディエンド:戸谷公人(友情出演)
常磐ソウゴ/仮面ライダージオウ:奥野 壮
常磐順一郎:生瀬勝久
【主題歌】
「Brand New Day」作詞・作曲:江畑兵衛 編曲:TRIPLANE 歌:TRIPLANE
ゲイツマジェスティ
本作にはタイトルそのものである、仮面ライダーゲイツの究極フォーム「ゲイツマジェスティ」が登場する。
平成の主役ライダーがてんこ盛りだったグランドジオウに対し、ゲイツは平成の2号ライダーがてんこ盛りである。
「仏壇」と揶揄されたグランドジオウよりもデザイン的には取ってつけた感が強いのは、大量のライドウォッチがそのままくっついているからだろう。
ちなみに、平成ライダー18作(2号ライダーが存在しない『クウガ』と、ゲイツ自身が2号ライダーである『ジオウ』は除く)から選ばれた2号ライダーたちは以下の通り(カッコ内は出演作品)。
G3(アギト)、ナイト(龍騎)、カイザ(ファイズ)、ギャレン(ブレイド)、威吹鬼(響鬼)、ガタック(カブト)、ゼロノス(電王)、イクサ(キバ)、ディエンド(ディケイド)、アクセル(W)、バース(オーズ)、メテオ(フォーゼ)、ビースト(ウィザード)、バロン(鎧武)、マッハ(ドライブ)、スペクター(ゴースト)、ブレイブ(エグゼイド)、クローズ(ビルド)。
これが、本作(BD、DVD)の予約購入特典だったライドウォッチ。
上記した2号ライダーたちの顔がズラッと並ぶ。壮観だ。そして、こうして見ると、2号ライダーって魅力的だったなと改めて思う。
友情出演の2号ライダーたち
変身前の姿も込みで2号ライダーたちが実際に登場するところも本作の見どころだ。
変身後の着ぐるみが登場するだけでも盛り上がるのは間違いないが、やはり歳を重ねた当時の俳優さん本人が登場するのには敵わない。
いや、むしろ変身後の姿だけの登場で、別の声優さんを使った時のガッカリ感は相当なものがある。地方のヒーローショーとほとんど変わらないのだから。
そして今回登場するのは、こちらの皆さん。
『仮面ライダーディケイド』から海東大樹/仮面ライダーディエンド。
アラサーながら、転校生のフリをして、まさかの学生姿(夏服ブレザー)も披露するが、ほぼ違和感なし。恐るべきヤングマン。
いつまでも変わらぬ姿と、いつまでも変わらぬ「お宝探し」という目的。
『ディケイド』本編はたった半年ほどの放映期間でしかなかったが、その後もさまざまな作品に出演し続けていることから、ファンの記憶に深く残っているのがディケイドとディエンドだろう。
『仮面ライダーオーズ』からは伊達 明/仮面ライダーバース。
ロン毛になっても変わらぬ渋さなのに、相変わらずのガシャポンベルトが可愛らしい。ギャップ萌えのポイントだ。
お仕事としては、お医者さんとして活躍中の模様。要するに本職に戻ったということだ。
『仮面ライダーW』から照井 竜/仮面ライダーアクセル。
いつまでも変わらぬ紅の出立ち。
久々にその活躍を堪能できるので、ファンは必見。「変・・・身!!」の叫びが素敵。
昭和のライダーたちは皆「変・・・身!」というタメを作っていたが、平成になってからは「変身!」と一息に叫ぶのが当たり前となっており、タメを作る平成ライダーはアクセルとビーストくらいしか思い浮かばない(忘れているだけかも?)。
『仮面ライダー555(ファイズ)』からは草加雅人/仮面ライダーカイザ。
特徴的な口癖はもちろん、お馴染みのウェットティッシュで指を1本ずつ拭く仕草には思わずニヤけてしまう。
こんなにサイコな2号ライダーは、もう現れないかもしれないが、今見てもやはり魅力的だ。
夢を失って気づくもの
彼ら、過去作で活躍してきた2号ライダーたちが、『ジオウ』の2号ライダーであるゲイツを見守り、助け、時には利用する。
本作は、それによるノスタルジーを楽しむだけのものではない。
ドラマの中はもちろん、ドラマ外でも多くの経験を積み重ねてきた彼らが、役柄とはいえ、若きゲイツに語る言葉は深い。
中でも、柔道の金メダリストへの道が絶たれ、今後自分がどうしたいのかさえ見えなくなっていたゲイツに向けられた照井の言葉は、将来を考える全ての人たちの胸に突き刺さる。
「生きていくうえで大切なのは、何になるかじゃない。人に、何ができるかだ。」
そこでゲイツは気づく。自分が柔道を始めたきっかけを。
最初から柔道の金メダリストになりたくて始めたわけじゃない。誰かを守れる強さが欲しくて始めたんだと。
その気づきによって、ゲイツは失っていた仮面ライダーの記憶を取り戻し、新たな道を歩み始める。
失った夢の続きを見るのではなく、「今の自分にできること」と真摯に向き合った結果だ。
人は生きている限り、今と向き合い、将来を見据えなければならない。
思い通りの人生なんて、送れないことがほとんどだろう。それでも腐らず、一歩ずつ進んでいく。その姿こそが尊いという、そんな当たり前のことに気づかせてくれる作品だ。
仮面ライダーが登場して活躍するかどうかというのは、もちろん重要だ。
しかし、ひと通り観た後で印象に残るのは、そんなことじゃない。
「自分にできることは何か? どう生きるか?」
そんなことを改めて考えている自分に気づくはずだ。
そしてエンディングで流れるTRIPLANE(トライプレイン)の「Brand New Day」がとても良い。
少し切なくキャッチーなメロディーが、10代の少年たちをテーマにした本作のイメージにぴったりハマる。
このTRIPLANEは、「Dear Friends」や「Horizon Knot〜君と見てた夢」といった曲が『ワンピース』でも使われていたバンドなので、ご存知の方も多いと思う。
Apple Musicなどでも聴けるので、是非チェックしてみて欲しい。
この曲は、アルバム「Tokyo Biotope」に収録されている。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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