2022年10月2日放送『仮面ライダーギーツ』第5話「邂逅Ⅳ:デュオ神経衰弱」(監督:柴﨑貴行 脚本:高橋悠也)をレビュー
第3〜4話を鮮やかに彩った袮音回から一転、漢臭さの漂う道長回。
「全てのライダーは敵」という彼の過去に何があったのか? そのあたりの事情にも断片的ではあるが触れられている注目の第5話をレビュー。ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第5話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『仮面ライダーギーツ』より引用している。
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
簡 秀吉
桜井景和/仮面ライダータイクーン
佐藤瑠雅
鞍馬袮音/仮面ライダーナーゴ
星乃夢奈
吾妻道長/仮面ライダーバッファ
杢代和人
ツムリ
青島 心
小金屋森魚/仮面ライダーメリー
あべこうじ
桜井沙羅
志田音々
今井 透
前川 佑
テツオ※画面右
栗山英宜
ディレクター
杉山俊介
ギロリ
忍成修吾
運営ナレーション:塩野潤二
ペアで挑む第3ゲーム
「和装」「盗賊」「ゾンビ」と、ゲームごとに異なる装いを見せてくれるジャマトだが、今回は「トランプ」。『不思議の国のアリス』に登場した動くトランプさながらだ。毎回、衣装だけでなく動きそのものまで変わってしまうのはジャマトたちの旺盛なサービス精神によるものだろうか。それともゲームマスター(プログラマー?)の遊び心によるものだろうか。
「宝探し」「ゾンビサバイバル」に続く第3のゲームは「神経衰弱」。トランプといえば、これかもしれない。それに立ち向かうライダーたちは抽選でペアを組むことになる。
しかし、ここまでの戦いで生き残っているライダーは5人。ペアを組んだら1人余ってしまう。
英寿と袮音、道長と景和がペアとなり、小金屋が1人残る。
そこに姿を現したのが仮面ライダーパンクジャック。シロー、ダパーンと使いまわされてきたあのクマのマスクに三度目のカラーリングを施して再利用。運営側の人間という説明だけで、素顔はおろか、一言も発することはない。
特撮の世界におけるリサイクルは今に始まったことではない。これは最近流行りのSDGsとは無関係で、単なる予算対策だろう。
この物言わぬクマのライダーが小金屋のバディとなる。
街に現れ、恋人たちを引き剥がして回るトランプ・ジャマトたち。これも「神経衰弱」に絡めてのことだろうか?
槍を使って襲いかかるトランプ・ジャマトたち。前回のゾンビと比べれスピードはあるが、人数は圧倒的に少ない。そういった意味でのいやらしさはない。
しかし、恐ろしいのは何度倒しても蘇ってしまうことだ。
唯一のヒントは攻撃を加えた際に一瞬現れるスート(スペード、クラブ、ダイヤ、ハートのマークのこと)。
「神経衰弱」と「スート」というキーワードから想像できる通り、同じスートを持つトランプ・ジャマト2体を同時に倒す必要がある、ということだ。
それにいち早く気づいた英寿は、袮音と共にタイミングを合わせるためにダンスの特訓をし、他のメンバーを差し置いてポイントゲットに成功する。
チャンス券
一方、「神経衰弱」のカラクリがわからない他の面々はポイントゼロのまま折り返しを迎える。
コミュニケーションすら上手く取れないパンクジャックに不満を漏らす小金屋に、ギロリが1つ提案をする。それは1度だけデュオを交代できるチャンス券。
個人で獲得したポイントはそのままに、1度だけデュオを交代できるらしい。
盛り上がっているのは小金屋だけだが、小金屋がその権利を行使すれば問答無用でデュオは入れ替わってしまうのだ。それによってどんなデュオになるかは運任せだが、現時点で100ポイントずつ抱えている英寿と袮音がバラけるだけでも、未だ獲得ポイントゼロの4人に勝利の可能性が生まれるのだから、確かに悪い話ではないだろう。
次回、小金屋はその権利を行使する。生き残りを賭けたゲームの行方はいかに。
道長と透
浮世英寿のライバルである吾妻道長は、現実世界では建設現場で働いている。
前回のデザイアグランプリを制したことで世界的スターの座を手に入れた英寿との社会的地位は天と地ほどの差がついてしまっているが、その境遇に不満を感じているというよりは、もっと違う理想や目的がありそうな雰囲気だ。
デザイアグランプリの場では「全てのライダーは敵」と公言して憚らない道長だが、この一匹狼気質(英寿は「群れることを嫌う孤高のバッファロー」と表現していた)は普段から変わらないものらしい。共に働く仲間たちからも、常に距離を取ろうとする姿勢が見受けられる。
ただし、今井 透という男だけは別のようだ。
仕事を終え、軽口を叩き合う。
「田舎にランドマークを建てたい」と夢を語る透。
その刹那、ノイズが流れて透の姿は消えてしまう。自らの理想を語った途端、姿を消すとは只事ではない。これは、デザイアグランプリへのエントリー?
しかし別の道長の回想シーンでは、また違った2人の姿が見える。
ドライバーを腰に巻いた透と、そうではない道長。
透は傷つき、倒れている。
抱き起こした道長の腕の中で「こんなはずじゃなかったんだ・・・」と呟いて消滅する透。
嘲るような笑い声が夜の街に響き渡る。
道長の視線の先にはライダーたち。その中には、ジャマトと戦うギーツの姿も。
道長の目の前で夢を語っていた透は、おそらく過去の記憶なのだろう。夢を語っていた透は、デザイアグランプリに参加し、田舎にランドマークを建てるという理想のために戦ったのだろう。だが敗北。
その現場に偶然立ち会ったのが道長だった。
だとすれば、道長の描く理想の世界とは、透が叶えることのできなかった「田舎にランドマークを建てる」というものではないのか。
もしくは、透を倒して(もしくは見殺しにして)嘲笑っていたライダーたちに対する復讐かとも思ったが、「ライダーがいない世界」を実現してしまったら、ジャマトによるディストピアが完成してしまう可能性が高いので、おそらく実現不能だろう。だとすれば、透を生き返らせたい、というものかもしれない。
さて、漢臭い道長の描く理想の世界は一体どんなものなのか? そして脱落するペアは? さらにパンクジャックの正体は? ありきたりなものでいえば、実は生きていた透というパターンだろうが、全くの予想外かもしれない。当初は不安でいっぱいだった『ギーツ』だが、今のところはすこぶる順調に見える。第6話も目が離せない。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /