それは本当に唐突だった。
2021年4月1日、TTFC(東映特撮ファンクラブ)にて、『天津垓より「NEXT1000%」新しい挑戦に関する緊急発表【会見中継】』という動画がアップされたのだ。
内容は『仮面ライダーゼロワン』の登場人物、天津 垓(アマツ ガイ)が、サウザンインテリオンという新会社を設立するという発表と、『仮面ライダーサウザー THE PRESIDENT』という作品を制作するというものだった。
その翌日には、『天津垓より「4月1日会見」に関するお詫び、及び真相のご説明【会見中継】ー株式会社サウザンインテリオン』という新たな関連動画がアップされた。
「エイプリルフールに発表したことで、ウソだと言われたが、新会社設立も、仮面ライダーサウザーの制作も、どちらも本当だ」と弁明する天津だったが、突如苦しみだし、倒れた背中からモヤのように立ち上ったのは『仮面ライダーゲンムズ』のタイトルロゴ。
エイプリルフールに絡めたのは、制作するタイトルだったというわけだ。
こういった遊び心は、なかなかニクいし、『仮面ライダー滅亡迅雷』を公開した直後だからこそ、また『ゼロワン』関係で盛り上げるのかと思いきや、『ゲンム』を復活させるあたりもファンとしては嬉しい限りである。
しかし、なぜ『ゲンム』ではなく、『ゲンムズ』と複数形なのか?
最後までおつきあいいただければ幸いだ。
スタッフ・キャスト
ここでは主要スタッフとキャストをご紹介する。
【スタッフ】
監督:諸田 敏
アクション監督:宮崎 剛
脚本:高橋悠也
音楽:ats-,清水武仁&渡辺 徹(Blue Bird’s Nest)、坂部 剛
【キャスト】
壇 黎斗(ダン クロト)/仮面ライダーゲンム:岩永徹也
天津 垓(アマツ ガイ):桜木那智
厘(リン):メドウズ舞良
壇 正宗(ダン マサムネ)/仮面ライダークロノス:貴水博之
ストーリー
新会社「サウザンインテリオン」を立ち上げた天津 垓は、リンと名付けた秘書型ヒューマギアと共に事業をスタートしようとした矢先、倒れてしまう。
その天津の身体からモヤのようにひとりの男が現れる。男の名は壇黎斗。黎斗は自分をウイルスだと言い、天津がゲーム病に罹っていると告げる。過度なストレスによって消滅してしまう天津。天津を消し、完全体になろうと目論む黎斗は、秘書のリンを連れ去ってしまう。
黎斗を追う天津は、サウザーに変身して黎斗を倒そうとするが、何故か身体は真っ黒で、黎斗の変身したゲンムには歯が立たない。
いよいよとどめを刺されるかといった瞬間、ピタリと時間が止まる。2人の前に現れたのは、黎斗の父・壇正宗/仮面ライダークロノスであった。
ゲンムコーポレーション社長の座をかけ、戦いを繰り広げるゲンムとクロノス。果たして、勝者はどちらか?
それを傍観する天津は何を感じるのか?
仮面ライダーゲンム
壇黎斗が変身した姿。
『仮面ライダーエグゼイド』に登場した仮面ライダー。
デザインはエグゼイドと全く同じで、カラーリングが違うだけなのに、この迫力である。
エグゼイドを初めて見た時には悪夢のようなデザインだと思ったが、ゲンムを見た時には普通にカッコいいと思ったのは私だけだろうか?
悪役っぽいデザインということなのかも。
スーツアクターは縄田雄哉さん。
仮面ライダーサウザー(黒)
天津 垓が変身した姿。
何故か本編とは違う黒のカラーリング。
黒い姿になったことに驚く天津に、黎斗は「それは私のイメージカラーだ」といった台詞もあったが、本当のところはよくわからない。
ウイルスに感染したためなのか、先日公開された『ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷』に登場した「仮面ライダーザイア』の宣伝のためか。
実際、TTFCで『仮面ライダー滅亡迅雷』が有料解禁された際、「ゲンムズよりも前の物語。ゲンムズでサウザーが黒かった理由がわかるかも」といった記述があったが、番宣という以外の理由はさっぱりわからなかった。
スーツアクターは永徳さん。
仮面ライダークロノス
壇 正宗(ダン マサムネ)が変身した姿。
『ジョジョの奇妙な冒険』第三部のディオのように、時を止める能力を持つが、今回、時を止めたのは登場時の1回きり。
その後は、息子・黎斗と単なる殴り合いを延々続けるだけだった。
スーツアクターは浅井宏輔さん。
史上最低の親子げんか
「クゥルォトォォォォォォォォ!」
「ムァスァムゥヌェェェェェェェ!」
「クゥルォトォォォォォォォォ!」
「ムァスァムゥヌェェェェェェェ!」
何度も繰り返し叫びながら殴りあう親子の姿は、怪演×怪演という地獄絵図。
『バキ』における、範馬刃牙 vs 範馬勇次郎を超越する史上最低の親子げんかである。
ゲンムコーポレーションという会社を巡り、創業者である正宗の「会社愛」と、ゲームを愛する黎斗の「事業愛」とがぶつかり合う。
いつの間にか単なる傍観者となってしまった天津だが、二人の殴り合いを見て、会社経営に最も大切なのは「愛」だと知る。
そんな天津の言葉によって、黎斗と正宗も和解する。
まさかのトゥルーエンディングである。
主題歌
主題歌「GAME CHANGER」を歌うのは、壇 正宗を怪演した貴水博之さん。
浅倉大介さんとのユニット「access」としてブレイク後、ソロになった途端、急にポップなトロピカルソングみたいなものを歌い出した時はちょっと引いたが、50歳を超えた今も、歌声は健在である。
Apple Musicなどでサブスク配信もされているので、気になったら聞いてみて欲しい。
『仮面ライダーゲンムズ』を視聴するには?
本作はTTFC独占配信作品であるため、視聴するにはTTFCに加入するしかない。
加入さえすれば、見放題となるため、追加課金は不要である。
ただし、作品としては前後編+冒頭で紹介した天津 垓のエイプリルフールネタを含めても25分程度なので、サクッと楽しめる反面、内容的には大したことはない。
あくまでも壇 黎斗ファン、壇 正宗ファンに向けた作品だと思っていい。
二人のことを憎からず思っている人たちにとっては、まあ見てもいいとは思うが、二人を知らない人たちが見ても、ちょっと何言ってるかわからないと思う。
一見さんお断り的な雰囲気が強いけれど、『エグゼイド』が好きだった人たちにはオススメできる。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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