『仮面ライダー』第2話「恐怖蝙蝠男」をレビューする。
第1話のタイトル「怪奇蜘蛛男」からもわかる通り、当時はホラー要素が強かった。
確かに、特撮とホラーは相性が良いし、怪人や怪獣といった人外の存在というのも、特撮とは相性が良い。
特に、仮面ライダーは主人公からして、バッタの能力を持つ改造人間という異形の存在であるから、ホラー要素との相性は抜群である。
どうぞ、最後までお付き合いください。
イラストで描く「蝙蝠男」
今回登場したショッカーの改造人間・蝙蝠男を描いてみたところ、顔がどうにもこうにもイマイチ。
ただの顔色の悪い坊さんにしか見えない。
羽部分に手を突っ込んだ感じや、割と華奢な感じなどは、実物に近いイメージで描けたと思っているのだが、顔は本当にダメだ。
そこで、再度描き直してみたのが下のイラスト↓
ポージングは変えず。
その代わりに顔は1から描き直し、体毛も描き方を変えてみた。
これらによって、蝙蝠感が激しくアップ。
似ているか? と問われると微妙だが、二つのイラストを比べてみると、最初のイラストは”おっさん”にしか見えない。
なお、目の部分を影にしようか迷ったのだが、全身着ぐるみなのに、目だけは生身の人間という姿に、より強く”不気味さ”を感じるので、そこは実物に倣った。
”おおらか”な設定
蜘蛛モチーフの怪人と蝙蝠モチーフの怪人は、以降の仮面ライダーシリーズのほぼ全てに登場するお約束の怪人だ。
確かにどちらも不気味な生物の代表格。ホラー映画などでも定番だ。
シリーズ初登場の今回は、ショッカーが開発した”知能を持つビールス(ウイルス)”の実験のため、とあるマンションの住人全員に感染させて人体実験をするという、なかなかにエグい役。
特に”人体実験”なんて、今なら抗議の電話が来そうな設定である。
空を飛び、鋭い牙を首筋に突き立てる。
そうして、このビールスに感染した人間は、蝙蝠男の放つ超音波で意のままに操られてしまうのだ。
前回「怪奇蜘蛛男」で、ショッカーに父を殺された緑川ルリ子は、本郷猛/仮面ライダーこそが父を殺した犯人であると信じ、本郷を追ううち、人体実験場にされたマンションにたどり着く。
そこで蝙蝠男によってビールスに感染したルリ子を人質に、本郷に降伏を迫るショッカー。本郷がショッカーに従うなら、ビールスに感染した人間たちを元に戻すと言い出す。
「証拠を見せろ」と詰め寄る本郷の前で、蝙蝠男の羽にあるトゲがワクチン代わりになることを示す蝙蝠男。
その途端、仮面ライダーに変身して蝙蝠男を必殺技「ライダー投げ」でぶっ倒す本郷。呆れるほど卑怯であるし、ショッカーの間抜けぶりが有り余る結末である。
ここでようやく、ルリ子の父親殺しの疑いが晴れた本郷だが、その表情は晴れない。
その理由は、自分が普通の人間でなくなってしまったことに対する悔しさだった。
ヘルメットもつけず、爆走する本郷。
今なら抗議の電話が鳴り止まないレベルだろう。
50年前の”おおらかさ”が垣間見える。
ちなみに、その”おおらかさ”はコロッと変わる設定にも現れている。
第1話で、本郷は「城北大学生化学研究室」の所属だと説明があったばかりなのに、第2話では「城南大学生科学研究室」の所属になっている。
ほんの豆知識。覚えておいても得はないけど損もないはずだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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