1977年2月9日放送『快傑ズバット』第2話「炎の中の渡り鳥」(監督:田中秀夫、脚本:長坂秀佳)
まるで西部劇の世界に迷い込んだような村。しかし、ここはジャパァ〜ン。登場人物も全てジャパニーズ。看板には「City」と書いてあるが、完全に村だ。This is a village。
吊るされた爺さんを助けたことがきっかけで、村を狙う悪党・ブラックハート団との戦いに巻き込まれていく私立探偵・早川 健の姿を描く『快傑ズバット』第2話を4つの見どころに絞ってレビューしたい。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
まずは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品も是非チェックしてみて欲しい。「え? あの人が出てたの?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
快傑ズバット/早川健:宮内 洋
飛鳥みどり:大城信子
寺田オサム:中野宣之
彦左:柳谷 寛
良子:今井敦子
ミチ:香山リカ
ブラックスター:湯浅洋行
声:北山年夫
首領L:はやみ竜次
ダッカー幹部:江頭昭之
ナレーター:青森 伸
東條進吾:斉藤 真
風流之介:天本英世
用心棒・風流之介
早川が助けた爺さんの店を襲う悪党の名は、ブラックハート団。その用心棒が風流之介。居合い斬りの達人である。顔を見ればわかる通り、元・死神博士の天本さんである。これはこれで、まるで雰囲気が違って面白い。仮面ライダーV3 対 死神博士というドリームマッチである。
挨拶代わりに、ぶった斬った瓶ビールをドヤ顔で飲む流之介。居合いのムダ使い。
しかし、ドヤる流之介に「日本じゃ2番目の腕前」と煽り、1番は自分だと自信満々の早川。
爽やかな笑顔が眩しい。
居合い斬りの頂上決戦は、流之介の先攻。爺さんのチェック柄のシャツをハート型に切り抜く流之介。顔に似合わずファンシーな趣味。
後攻の早川は、その流之介が切り抜いたハートをふわりと宙に浮かせて居合い斬りを披露。
すると、ハートの型抜きの中に、極小のハートが切り抜かれている。宙を舞う布切れ一枚に正確無比なこの神業。「ファンシー居合い斬り対決」は、早川の勝利。悪が栄えた試しはないのである。
ジジイよ永遠(とわ)に
早川がファンシー対決を制した夜のこと。爺さんの店に火をつけられる。やったのはもちろん、ブラックハート団だ。
いち早く異常に気付き、「火事だーーーーー!!」と叫ぶ早川。そこにヒーローの面影はないが、正装で寝ているところに、いつ何が起こっても対処してやるという意気込みは感じる。
みんなで必死の消火活動。昔ながらのバケツリレーだ。
そんな中、怪しげな人影を見つけ、追いかける爺さん。
白シャツに白い股引き(今風に言えば「レギンス」)。腰に巻くのは赤い紐。「水天宮」の戌の紐かも知れない。さらにマタギのような毛皮のベスト。右手には槍まで持っている。やる気満々。見た目だけなら、完全にこちらの方がヤベー奴だ。
逃げる人影に向かい「ワシの槍に恐れをなしたかー!?」と煽った途端に銃殺。勝ったと思った途端、死亡フラグが立ったようだ。
早川の腕の中で息絶える爺さん。一応、「彦左」という名前のある役であった。チーン。
ブラックハート団のボス・ブラックスター
ここに来て、ようやく今回のボスが登場する。その名もブラックスター。顔の半分をビニールコーティングしたような悪辣な風貌がいかにもなヒールだ。ブラックハート団のボスなので、肩書きは「団長」だろうが、確かにサーカスの団長っぽくもある。安田大サーカスの団長とは、なんの関係も無かろう。
胸につけてる「D」のアップリケは悪の大組織「ダッカー」の一員である証。今回の騒動も、そのダッカーのため。ちなみにダッカーの首領Lはこんな人↓
年中、赤ら顔で目元は不健康そのもの。あんた、酒やめなはれ。個性的すぎる被り物の効果で、オフィシャルあご髭ダンディズムも、ただの無精髭に見えてくる。
ブラックハート団は、この町を買収して巨大な賭博施設を建設することが目的のようだ。そこでの売上金をダッカーに納めるという、暴力団的構造。
そのブラックハート団の新たな用心棒として、死んだ彦左の店に現れたのが、まさかの早川。
自称「あたい」というおませな彦左の孫・ミチにボロクソに罵られても顔色ひとつ変えない早川だが、その真意はブラックハート団を内部から潰すこと。つまり、潜入捜査というやつだ。
しかし、ブラックスターにその意図はバレバレ。逆に、ミチを人質に取られてしまう。
電ノコがうなりを上げてミチに迫る。
鎖で手足を縛られ、身動きの取れない早川。まさに絶体絶命のピンチだ。
しかし、悪党たちがふと目を逸らした瞬間、姿をくらませる早川。それだけでも大イリュージョンだが、遥か彼方からズバッカーに乗って爆走してくるという一大スペクタクルを見せてくれる。
その場で変身して助け出した方が効率は良いだろうが、正体を明かすわけにはいかない。非効率的であろうとも、それがヒーローの流儀。
着替えている最中に電ノコでミチが絶命したら、その罪も背負って戦い続けることだろう。
ズバット参上!
「ズバット参上。ズバット解決。人呼んで、さすらいのヒーロー!快傑・・・ズッバァァァット!!」
正直、誰も呼んでいない。
「罪もない老人を殺し、店に火を放ち、あまつさえ、女子供を手にかけようとしたブラックスター・・・許さん!!」
このラストバトル直前の決め台詞は、これから毎回続くことになる。時代劇でしか聞かないような「あまつさえ」という副詞がイカす。
ムチを振るい、敵をなぎ倒すズバット。
最後はボスのブラックスターをボコって、「飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな?」とお約束の詰問。
「俺じゃない!」
どうやら違うとわかると、トドメの一撃。
この「ズバットアタック」という技は、飛び上がって相手の顔面に股間をぶつける(ように見える)のだ。別名「股間にもんまり」である。
ここまでで制限時間5分経過。
現場に駆けつけた警察の前に、既にズバットの姿はなく、行動不能となったブラックスターと、1枚のカードが残されているだけ。
最後の「!」マークがお茶目だ。おっさんが無理して使った絵文字みたいな効果がある。
快傑ズバットを視聴するには
「早川さーーーーーん!!」
草原の中で早川を呼ぶ、みどりとオサム。そして、ミチ。
毎回、こうして余韻を残すエンディングがズバットらしさ。どことなく手塚治虫先生の”ブラックジャック”なども想起させる。70年代という時代性もあったのかもしれない。
また、次回予告では、「ちびっ子の皆さん、ズバットの真似は絶対にしないでください。真似をするととても危険です」という注意喚起が。この注意喚起は、以降もずっと続く。これも時代ゆえだろう。
ちなみに『快傑ズバット』は全32話。「Amazon Prime Video」などで1話ずつレンタルすることも可能だが、1話100円としても結構高くつく。
そこでオススメは「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」だ。
月額960円(税込)で、東映の特撮作品のほとんどを視聴することが可能。スマホでもPCでも動画を視聴することができる。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /