2022年4月3日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン5話「たてこもったイヌ」(監督:渡辺勝也 脚本:井上敏樹)
5話目にして、ようやく変身前の5人が勢揃いした『ドンブラザーズ』。しかし、お互いを「変身できる同士」として認識してはいない、という不思議(猿原とはるかだけはお互いに認識しあっているし、この二人はドンモモタロウの正体が桃井タロウであることも承知している)。こんなスーパー戦隊、かつてなかった。
今回も、じんわり沁みるいい話。指名手配犯の目にも涙。見どころを中心にレビューするので、最後までおつきあいいただければ幸いである。
キャスト
まずは今回のキャストをご紹介。
桃井タロウ/ドンモモタロウ
樋口幸平
猿原真一/サルブラザー
別府由来
オニシスター/鬼頭はるか
志田こはく
犬塚 翼/イヌブラザー
柊太朗
雉野つよし/キジブラザー
鈴木浩文
五色田介人
駒木根葵汰
ソノイ
富永勇也
ソノニ
宮崎あみさ
ソノザ
タカハシシンノスケ
タロウ(幼少期)
三浦綺羅
狭山健児
杉本凌士
金村花子
田中えみ
刑事
齋藤謙也(写真右側)
警官
高田将司
主婦
かとうずんこ
OL
大塚優希
桃井 陣
和田聰宏
前回に引き続き、ゼンカイザーのスーツアクター・高田さん演じる警官が登場する。ゼンカイザーブラックが登場しない代わりだろうか? いずれにせよ、我々ファンとしては嬉しい限りなので、もっとやって欲しい。
無実の二人?
人気マンガ家としての将来を期待されていた鬼頭はるかは、盗作疑惑によって全てを失った。連載は打ち切り。天才だなんだと擦り寄ってきていた学校のクラスメイトたちは蜘蛛の子を散らすように消えてしまった。そしてカレシも。
失ったものを取り戻したい、と必死のはるかは、謎の男(桃井 陣)の「桃井タロウに忠誠を誓えば、失った全てを取り戻せるだろう」という言葉に縋り、ようやくタロウを見つけ出すが、何を考えているのかさっぱりわからない。
再び会って、その真意を問おうと、彼の勤務するシロクマ宅配便に向かったところで、黒づくめの男とバッタリ。彼の名は犬塚 翼。警察から逃亡中の指名手配犯であるが、はるかはそのことに気がついていない。
翼は警察をかわすため、ガラスを割って、休業中のシロクマ宅配便に侵入。たまたま居合わせたはるかも巻き込んでしまう。ここからがドタバタ劇の始まりだ。
はるかが怯えて騒ぎ出さないよう、翼がひねり出したのは「ひと目惚れしたから」という、なんとも空々しい理由だが、はるかはご満悦。新作マンガのネタになるのではないかと、むしろノリノリ。話を合わせてごまかし続ける翼が哀れになるほどの勢いである。
そこにトイレを借りに雉野つよしがやってくる。翼が指名手配犯であることに気づいた雉野は、そのことをはるかに伝えるが、はるかは人質になった経験さえもマンガのネタにしようとし、110番通報を試みる雉野の邪魔をする。それどころか、雉野たちを解放しようとした翼に「最後までやり遂げてください!」と詰め寄りもする。完全にどうかしている。
そこに現れたのは桃井タロウ。彼は、翌日から再開される業務のために会社にやってきただけだったが、そこで翼が他人の荷物を開けているのを発見。翼を連れて謝罪に向かうのだが、その様子を刑事に見られ、シロクマ宅配便は警察に包囲されてしまう。翼に呼びかけを行う警察の前に現れたのは、猿原真一。
呼びかけの時でさえ、俳句を詠むこの男もぶっ飛んでいるが、こうして変身前の5人が初めて勢揃いしたワケだ。この展開自体は、流石に荒唐無稽に見えるが、縁がある人とは、本当にこうして何度でも出会ってしまうものである。
無実の罪を訴えながらも、1年間逃げ続けなければならないという翼も謎だらけだが、マンガの盗作を相変わらず否定し続けるはるかも謎である。当初は、単なる言い訳だとばかり思っていたが、本当に盗作をした覚えはないのかもしれない。
しかし、回想シーンに登場した新作マンガのタイトルを見ると、やっぱり盗作したんじゃないの? とも思ってしまう。「テニプリ」ならぬ「バスプリ(仮)」である。
こういうのを、パクリじゃなくてオマージュだと言うのかもしれないけれど、本人がややこしくしている部分もありそうだ。
はるかと翼の真実が明かされるのは、まだしばらく先のことだろうが、気になる展開ではある。
警察鬼
狭山健児は、若い頃、「猟犬」と呼ばれたこともある名刑事。
しかし、その異名とは裏腹に、定年を間近に控えた今になるまで、出世などとは縁がなかった様子。それでも構わない、と考える人たちも多いと思うのだが、狭山は違った。
最後にひと花咲かせようと、指名手配犯・犬塚 翼を執拗に追う。「手柄をあげて警視総監賞を貰う」という欲望が、今回のヒトツ鬼・警察鬼を生み出してしまう。
警察鬼
身長:189cm
体重:227kg
スキン:熱血おまわりさん
公式サイトに記載されたスキンは「熱血おまわりさん」となっているが、誰がどう見ても犬のおまわりさんである。警察帽を被ったブルドッグというのは、昔からアメコミなどに登場するイメージがあるけれど、顔の怖いブルドッグ=番犬=警察官、といったイメージなのだろう。刷り込まれてしまっているのもあるとは思うが、日本では決して見ることのないデザインの警察帽なのに、一発で警察官だとわかるのは凄いことだ。
武器は「鬼険銃(キケンジュウ)」。警察官がピストルを乱射するのは、『バカボン』の頃から連綿と続く誤ったイメージだけれど、こちらも違和感がないのは本当に不思議だ。
そして今回は巨大化もする。スーパー戦隊シリーズといえば、人型サイズの怪人と戦い、その後、巨大化した怪人とロボット戦を繰り広げる、というのがお約束だったが、本作では回ごとに巨大化したりしなかったりする。ワンパターンを脱し、物語に緩急をつける意図によるものなのかもしれないが、今のところ1体しか登場していない巨大ロボ事情もあるのかもしれない。今後、他の4人分のロボットが登場して合体するのか、もしくは『バトルフィーバーJ』のように、5人で操る巨大ロボが遅れて登場するのだとすれば、その時には今まで通りになるのかもしれない。いずれにしても今後の展開が気になるポイントである。
警察鬼ング
身長:50.8m
体重:2082.8t
スキン:グッドなパトカー
倒されると、パトレンジャーのギアをドロップする。
今回はドンモモタロウによって倒されたので、狭山刑事も無事に人間へと戻り、ギアを手に入れた介人も嬉しそうである。
ちなみに今回、警察鬼を倒す際に使われた技は、ドンブラスターとザングラソードを連動させた技である。
この連動技は、発売中の「DXドンブラスター」と「DXザングラソード」で再現できるらしい。ギアごとにさまざまな音声も用意されているようなので、楽しそうだ。なんだか前作『機界戦隊ゼンカイジャー』で終わったはずの戦隊アニバーサリーイヤーは、まだまだ続いているような雰囲気だ。
涙のハッピーバースデイ
今回、最大の見どころとなったのがこのシーンだ。
たてこもりの最中、ふとカレンダーに目をやった翼が、今日(4月3日)が自分の誕生日だったことに気づく。
「今までは、夏美がいつも祝ってくれた・・・」と、寂しそうに独りごちる翼。
その様子を見て、子ども時代を思い出すタロウ。バースデーケーキを用意して友だちがお祝いに来てくれるのを待つが、誰ひとり来てくれなかったあの日・・・。そんな孤独を知るからこそ、翼の寂しさがわかるのだろう。唐突に「ハッピーバースデー♪」と歌い出すタロウ。歌は決して上手くないけれど、翼への優しさは充分すぎるほど伝わる。それに続いて次々に歌い出す他の3人。
「そういえば」と雉野が取り出したのは、先日、おにぎり専門店の窮状を救ったタロウに、お礼として持ってきたイチゴのショートケーキ。ちょうど5個ある。一つずつ取り分けた後、みんなが自分のイチゴを翼に差し出す。
感極まって泣き出す翼。
見ているこちらも泣きそうである。このシーンだけで、神回認定したいほど良いシーンだ。
みほと夏美とモナリザと
翼が無実の罪で逃げ回っているのは、恋人の夏美を取り戻すためらしい。
この夏美が、雉野の妻・みほと瓜二つ。
いや、ひょっとしたら同一人物だったりするのだろうか?
あからさまにトラブりそうな伏線に、今から期待大である。
そして今回は、敵である脳人のアジトが初めて映し出された。
完全な異空間。宙に浮かんだモナリザは、いったい何を意味するのか? そして、脳人の狙いは? 謎が謎を呼ぶ展開に、毎週本当に目が離せない。1話見逃しただけでワケがわからなくなりそうな情報量も圧巻である。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /