2022年4月24日放送『仮面ライダーリバイス』第32話「失った居場所、女王のプライド」(監督:諸田 敏 脚本:木下半太)
さくらはウィークエンドに、大二はフェニックスに、そして元太も身を隠している。
家族みんなが笑って暮らしていた「しあわせ湯」は、少し寂しくなってしまっていたが、今はそれぞれがそれぞれの目的のため、そして再びひとつ屋根の下で笑い合えるように力を尽くすときなのだろう。
そして今回は、ひとりぼっちのアギレラ回である。
破滅に向かってひた走るアギレラと、彼女を慕う玉置、そしてアギレラを人間に戻したいと願うさくらの想いが交錯する。
第32話の見どころを中心にレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介する。
なお、ここで使用している画像は全て『仮面ライダーリバイス』から引用している。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイス
前田拳太郎
バイス/仮面ライダーリバイス(声)
木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ
日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ
井本彩花
ジョージ・狩崎
濱尾ノリタカ
アギレラ
浅倉 唯
玉置 豪
八条院蔵人
伊良部正造
西郷 豊
牛島 光
奥 智哉
御子柴朱美
藤岡沙也香
ベイル(声)
津田健次郎
狩崎真澄(声)
藤 真秀
ラブコフ(声)
伊藤美来
牛島太助
矢柴俊博
五十嵐幸実
映美くらら
赤石英雄
橋本じゅん
五十嵐元太
戸次重幸
自暴自棄のアギレラ
幼い頃から、悪魔崇拝組織デッドマンズで「ギフの許嫁」として育てられてきたアギレラ。
「悪魔の許嫁」という聞こえは悪いが、それを崇拝する人間たちにとっては、選ばれし者である。
羨望の対象であり、本人としても誇らしいものだったに違いない。
大勢の信者たちに囲まれ、お姫様のように扱われてきた日々は、ひとりの少女にとって、どれほど幸せだったろう。
それが当たり前で、彼女の知る世界の全てだった。
ところが、実は「許嫁」などではなく、ただの「生贄」だったことが明かされる。組織も崩壊してしまう。
当たり前だった世界が瓦解する。その時の衝撃は計り知れない。
それでも、ギフと融合することができれば、これまでの人生に意味はあったと感じられたのかもしれない。
しかし、結果的には、そのギフにさえ見放されてしまう。
彼女は自身の居場所を失っただけでなく、お姫様としてのプライドもズタズタにされてしまったのだ。
そんな彼女がヤケになるのも無理はない。
五十嵐さくらを挑発し、一方的に襲いかかる。
一方、さくらは「戦いたくない」と躊躇する。
それはアギレラの事情を知っているからだ。
さくらにとって、アギレラは「かわいそうな子」である。
それが伝わるから、アギレラはさらに憤る。
憐れみを受けるなど、プライドが許さない。
本当は慰めて欲しいのかもしれないが、それを表に出すことは、これまでの自分の人生を「なかった」こととするに等しい。
だから最後は、暴れるだけ暴れて、せめて大好きなさくらの手でとどめを刺して欲しかったのだろう。
しかし、さくらが迷っているせいで、ラブコフは力を発揮できない。
かつて無敵感に満ち溢れていた仮面ライダージャンヌの姿はどこにもない。
変身が解け、這いつくばるさくら。
その惨めな様子を見て、「何よ、それ・・・」と立ち去るアギレラの目には、悔しさが色濃く滲む。
赤石の秘密
今回の最大の見どころは、フェニックス長官・赤石英雄の秘密の一端がついに明かされたことだろう。
赤石長官をフェニックス腐敗の元凶と決めつけ(事実だが)、その全てを詳らかにしようと鼻息の荒い大二の代わりに、そっと赤石の部屋に忍び込んだ御子柴朱美。
そこには、廃棄したはずのバイスタンプが整然と並んでいた。
驚きを隠せない朱美の前に、赤石が現れる。
秘密がバレてしまったにも関わらず、赤石は特に慌てる様子もない。
それどころか、いかにも怪しげだった、いつもしていた黒い手袋を外して見せる。
その手のひらには、ギフの棺にもあった瞳のようなものが。
まるで『寄生獣』のようだが、これで赤石もまたギフの遺伝子を持つ存在であることが明らかとなったのだ。
つまり、狩崎真澄や牛島太助らの予想通り、赤石と五十嵐三兄妹は同じくギフの末裔であった。
手のひらの瞳が怪しく輝くと、朱美の身体の自由は奪われる。
そのまま2体のギフテリアンを召喚する赤石。
朱美を生かしておくつもりはないのだろう。絶体絶命の朱美の叫び声が、真っ暗な赤石の部屋に轟く。
揺れるさくら
ここしばらく続くラブコフの不調の原因が、リベラドライバーの不具合ではないか? と疑うさくらだったが、どうやらそうではないらしい。
狩崎真澄は、さくら自身の迷いによって、ラブコフが力を発揮できないのではないか? と予想する。
しかし、どうしてもアギレラを助けたいと願うさくらは、一輝に、アギレラを悪魔と分離して欲しいと頼む。
悪魔と人間を分離する力のないさくらにとっては、仕方のないことだったとはいえ、これがアギレラをさらに怒らせてしまう。
アギレラは人間に戻りたいわけでも、生き続けたいわけでもない。
ただ、最後まで自分らしく振る舞い、さくらの手で人生の幕を下ろして欲しかっただけなのだ。
そんな最後の願いさえも足蹴にされようとしている。
絶望とは、まさにこのことだろう。
怒りに任せて襲いかかるアギレラ。
そして、それを感じていたラブコフも、さくらに反旗を翻す。
そこでようやく、さくらは気づく。
一輝が、今まさにアギレラと悪魔を分離しようとした瞬間、自らの身を挺してアギレラを庇う。
さくらが覚悟を決める時がきた。
アギレラの未来は、死か、それとも、しあわせ湯の看板娘か?
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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