『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン9話感想|理性と欲望、そしてロボ

雷堂

2022年5月1日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン9話「ぼろたろうとロボタロウ」(監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹)

今回も盛り沢山。

意味ありげに再び登場したゲスト。

あの人の初変身。

新たな敵の影。

それに対応するかのように、ついに片鱗を見せたロボ。

ドン9話の見どころを中心にレビュー。一部ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは今回のキャストをご紹介。

本作初登場で、ウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品も是非チェックしていただきたい。

なお、ここで使用している画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。

桃井タロウ

桃井タロウ/ドンモモタロウ

樋口幸平

猿原真一

猿原真一/サルブラザー

別府由来

鬼頭はるか

鬼頭はるか/オニシスター

志田こはく

イヌブラザー

犬塚 翼/イヌブラザー(画像左)

柊太朗

雉野つよし

雉野つよし/キジブラザー

鈴木浩文

五色田介人

五色田介人/ゼンカイザーブラック

駒木根葵汰

ソノイ

ソノイ

富永勇也

ソノニ

ソノニ

宮崎あみさ

ソノザ

ソノザ

タカハシシンノスケ

井沢太一

井沢太一

塚尾桜雅

井沢太一(老人)

井沢太一(老人)

原田文明

狭山健児

狭山健児

杉本凌士

バスガイド

バスガイド

三輪晴香

バスの乗客

バスの乗客(画像手前)

坪内 守

看護師

看護師

小柳ふよう ・ 坂本佳乃子

回想の子供たち

子供(回想)

城戸晴慶 ・ 戸井田竜空 ・ 地主千尋 ・ 遠藤希子 ・ 志賀由香

桃井 陣

桃井 陣

和田聰宏

実体のないヒトツ鬼

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

今回登場するヒトツ鬼は特命鬼。

特命鬼

身長:186cm

体重:223kg

スキン:バッディーなチーター

『特命戦隊ゴーバスターズ』をモチーフとしており、「ゴーバスターズギア」をドロップする。

入院中の老人・井沢太一の、幼い頃に抱えていた寂しさから生まれたという特殊なヒトツ鬼。

老人になってなお、幼い頃、友だちに「鼻たれ太一」とバカにされ、遊んでもらえなかった寂しさを抱えているという設定は、何だか妙にリアリティがあって切なくなる。

宿主である井沢太一は寝たきりであり、「みんなと遊びたい」という欲望のみが独り歩きしたという、まるで生霊のような存在のため、実体がなく攻撃が効かない。

「だるまさんが転んだ」や「鬼ごっこ」で、街の人たちを次々に消してしまう。

タロウたちは、「だるまさんが転んだ」のルールに従いながら、戦わなくてはならないという苦行を強いられる。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

そこにあるのは「遊びたい」という純粋な想いだけで、危害を加えようという明確な悪意はないが、結果的には周囲に迷惑をかけてしまうという、子ども特有の無垢な怖さがある。

タロウ、ぼろぼろ

日常生活の些細なことから剣戟まで、あらゆることを人並み以上にこなしてしまう、完璧超人・桃井タロウの様子がおかしい。

目には力がなく、足元はおぼつかない。体調でも悪いのだろうか? まるでパンチドランカーのようでもある。

街に現れたヒトツ鬼を前に、いつもの行列が登場したかと思いきや、これも何だか様子が変だ。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

いつもの華やかさは微塵もない。そもそも、タロウの登場シーンになった途端にモノクロームの映像に変わってしまうのだ。

紙吹雪というよりは、何だかゴミでも撒き散らしているようだし、御輿を担ぐ威勢のいい兄さんたちは、やる気のない不良のよう。

タロウがいつもまたがっているエンヤライドンは姿形もなく、時代劇に登場する病気のお父さんみたいに、薄っぺらい布団に横になっている。

普通に戦っても無理だと自覚したのか、登場直後、いきなり必殺奥義を仕掛けるタロウ。

しかし、いつものキレはどこにもなく、とどめを刺すどころか、ヒトツ鬼に傷ひとつつけることはできない。

さすがにこれはおかしいと、猿原とはるかは別次元の牢獄に囚われている陣に尋ねに行く。

すると、タロウはその人並み外れた力を発揮する代償として、数年に一度、こういったふぬけの状態になるらしい。

この状態を脱する方法はただひとつ。きびだんごを300個食べることらしい。『桃太郎』ベースの物語とはいえ、この設定は完全に狂っている(褒め言葉だ)。

どんぶらの裏メニュー

いきなり「きびだんご」を作って食べさせろ、と言われ、困惑する猿原とはるかの前に、喫茶どんぶらのマスター・介人が、そっときびだんごの塊を差し出す。

喫茶どんぶらに、きびだんごなんてメニューはないのに・・・と訝るはるかの前で、壁に掛けられたメニュープレートをめくる介人。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

すると、そこには「きびだんご」の文字が。価格が「時価」になっているところに、銀座の寿司屋のような貧乏人お断り感がほとばしる。裏メニューとはこういうものかもしれない。

他にも裏メニューがあるの? と、はるかが他のメニュープレートをめくると、そこには「カラフルサンデー」の文字が。『ゼンカイジャー』ファン歓喜の時。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

というか、このやりとりは『ゼンカイジャー』を知らないと全く刺さらないが、こういう「わかる人にしかわからない」小ネタは大好きだ。

「細かすぎて伝わらないモノマネ」みたいでワクワクする。

『アキバレンジャー』みたいなもので、この手のネタから元ネタ(過去作)に手を出す人も増えるだろうから、ファンとしては「いいぞ、もっとやれ!」とエールを送りたい。

介人の初変身

きびだんごを300個食べて、元気を取り戻したかに見えた桃井タロウだったが、しばらくすると、元通りに力が抜けてしまう。

陣によれば、杵と臼を使ってきびだんごを作らなかったことが原因らしい。

理論はさっぱりわからないが、脚本家・井上さんによる、手軽さばかりを追い求める最新テクノロジーへの警鐘かもしれないし、ただのネタかもしれない。

そんなことを考えていたら、思い出したのが、シャープの「ホットクック」である。

我が家でも先日購入したのだが、めちゃくちゃ便利。

便利なだけでなく、煮物系は普通に作るより断然美味しい。

カレーに入れたじゃがいもなどには、しっかり味が染み渡っていて驚いた。

確かに、ひと手間かけることの大切さは理解できるし、なんでもかんでも「時短」ばかりがクローズアップされることにはうんざりしていた私だが、この美味しさに触れてしまうと、手放せない家電のひとつとなりそうな予感がする。

話を戻そう。

このような経緯で、杵と臼を使って300個のきびだんごを作り直している最中に特命鬼が再び姿を現す。

特命鬼によって、猿原、犬塚、雉野の3人は消され、残るはタロウとはるかの二人のみ。

そこに、完成した300個のきびだんごを携えてやってきたのが介人。

身動きの取れないタロウとはるかに代わって、ギアトリンガーを取り出す。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

驚く二人をよそに、ゼンカイザーブラックへと変身を遂げる介人。これが本作での初変身シーンとなった。

変身シーンは『ゼンカイジャー』の焼き直しだが、テンションはあくまでも、どんぶらのマスターそのまま。

「ちょわー!」などとは、口が裂けても言いそうにない。

戦い方も一変。

ギアトリンガーを回すと、銃口から青い炎が噴き出す。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

噴き出した炎は、やがて細く、長く、尖った形状へと変化する。まるでガスバーナーのようだ。

それを剣のように振るって戦うのだが、これがなかなかカッコいい。

もちろんこれまで通り、ギアトリンガーは銃としても使えるようだが、個人的にはこちらの方が好みである。

ドンロボタロウ見参

スーパー戦隊のお約束として、巨大な合体ロボの存在は大きい。

本作では、スーパーバイク・エンヤライドンとジュランティラノが合体する「ドンゼンカイオー」がそれだったワケだが、これはドンモモタロウ専用機でしかなく、これまで、他の4人にはマシンさえ与えられない状態が続いていた。

それがいよいよ新展開を見せる。

それが、5人がロボとなり、合体する「ドンオニタイジン」である。

いつものことながら、本編に登場するより先にCMでバラしちゃうのはどうかと思うのだが、これがなかなかカッコいい。

ネーミングも、ふざけているようで、『桃太郎』をベースとしたことがわかりやすい良い名前だと思う。何より、頭に「ドン」とつけただけで、不思議と熱さを感じてしまうのは、こちらがすっかり『ドンブラ』脳になってしまっているせいかもしれない。

そして、暴太郎(アバタロウ)と、露骨にアバターを名乗る戦隊らしく、ロボもこれまでのように乗り込むものではなく、アバターとして自身が変身するもの、という設定が面白い。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

今回はとりあえず「ドンロボタロウ」のみの登場となったが、機動性は格段に上。他のメンバーのロボ化も楽しみだ。

それに今回は何より、そのロボタロウに変身する直前の、タロウとはるかのやり取りが素晴らしい。

300個のきびだんごを食べて調子を取り戻したはずのタロウが、なぜか唐突に崩れ落ちてしまう。

咄嗟に、それを支えるはるか。

崩れ落ちるドンモモタロウを咄嗟に支えるオニシスター
画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

考えるよりも先に身体が動いてしまう感じ。

いつも傍若無人に振る舞うだけのタロウと、そんなタロウの実力は認めながらも、どこか冷めた目で見ているはるかとの間に、いつの間にか生まれていた絆を感じさせる。

最後はタロウが、いつもの空気感にしてしまうが、なんだかグッとくる名シーンである。

新たな敵の影

今回、脳人・ソノイが恐れる存在が明らかとなった。

それが獣人(ジュウト)。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

姿形は見えなかったが、鋭い爪を持ち、ねっとりとした唾液(?)を垂らす。まさに野獣の如き存在のようだ。

理性の塊のような脳人とは真逆の存在(欲望の塊)として描かれるのだろう。

前回、敵だとばかり思っていた脳人が、実は憎んでいるのは「人の欲望」であって、「人の命」は尊いものだと考えている、ということがわかったが、これが良い布石になっている。

この流れからすると、今後は、人、脳人、獣人の三つ巴の戦いになりそうではあるが、ひょっとしたら、脳人が追加戦士になるような展開もあるかもしれない。

また、ドン5話で登場した狭山刑事が再登場したことも大きなポイントだろう。

観光バスの乗客たちがトンネルを抜けるわずかな時間で一人残らず消えてしまった現場に居合わせた狭山は、どうなってしまったのか?

「定年までに手柄を立てたい」という欲望に駆られていた時には手柄を立てることはできず、そういった欲望から解放された途端に手柄を立ててしまう、という展開はありそう。

人生とは、そういったもの、という哲学が透けて見える。

思えば、そういった人生哲学みたいなものを、子どもにも理解しやすく表現したものが、昔話とか童話といったものだったはずだ。昔のアニメなども、そうだった。

だからこそ、ある程度歳を重ねてから見直してみた時に、新たな発見があったりするのだ。大人の視聴にも耐えられるとは、そういうことである。

最近は、子どもをバカにしているような、幼稚なものも増えているけれど、そんなものは後世に残るはずもない。

願わくば、この『ドンブラザーズ』も、そういった後世に残る作品として残り10ヶ月を駆け抜けて欲しいものだ。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

特撮ヒーローのレビュー(旧作から最新作まで)が中心ですが、ガジェットやゲームなど、好きなものを思いつくままに書いています。僕と握手!
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