2022年6月12日放送『仮面ライダーリバイス』第39話「希望と絶望、三兄妹の葛藤」(監督:上堀内佳寿也 脚本:毛利亘宏)
さまざまな人たちの、誰かを「救いたい」という想い。
それは特定の誰かであったり、不特定多数であったりもする。場合によっては、自分自身かもしれない。
そんな想いは、カンタンには届かない。手が届きそうで届かない時もあれば、箸にも棒にもかからないこともある。
『仮面ライダーリバイス』第39話には、そんな届かぬ想いが詰まっている。あ、1個だけ、届いた想いもあった。それらを中心にネタバレレビューをお送りする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第39話のキャストをご紹介する。
なお、以下の画像は全て『仮面ライダーリバイス』より引用している。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ
前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声)
木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ
日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ
井本彩花
ジョージ・狩崎
濱尾ノリタカ
夏木 花/仮面ライダーアギレラ
浅倉 唯
玉置 豪
八条院蔵人
牛島 光/仮面ライダーオーバーデモンズ
奥 智哉
門田ヒロミ
小松準弥
牛島公子
乃緑
ベイル(声)
津田健次郎
狩崎真澄(声)
藤 真秀
牛島太助
矢柴俊博
赤石英雄
橋本じゅん
五十嵐元太
戸次重幸
偽りの母と子
国家安全保障特区アララトへの移住を拒む人々は、救いを求めてウィークエンドに集結を始めた。
そのことに怒りを隠せない赤石は、ウィークエンドの制圧を指示する。
ギフジュニアやギフテリアン、ヘルギフテリアンが襲撃する中、偽装家族・牛島ファミリーの母親役を務めていた公子が命を奪われてしまう。
公子が絶命する瞬間を目の当たりにした光は、公子がピンチであるにも関わらず、非情の撤退命令を下した太助に噛みつく。偽装家族とはいえ、母と子である。
「助けられたかもしれないのに何故?」と声を荒げるが、しかし、それは無力な自分に対する怒りでもあった。八つ当たりをすることで、自身の無力感から目を背けたかっただけなのかもしれない。
そんな光の心を見透かしてか、太助は冷たく突き放す。
しかし、任務だったとはいえ、公子と夫婦を演じていた太助もまた、真の意味で冷静ではなかったのだろう。感情を外に出さないため、冷たく機械的に突き放すしかなかったように見える。
一方、突き放された光はショックを隠せない。
さくらたちに慰められ、咽び泣く光。たかが偽装家族、ただの任務とは割り切れぬほどに結ばれた絆を感じさせる、切ないシーンだ。
その頃、玉置 豪もまた、公子の最後を知り、塞ぎ込んでいた。
そんな玉置に喝を入れたのは夏木 花。
「嘆くな!立て!」という台詞には、『仮面ライダーセイバー』第15章で須藤芽依が新堂倫太郎に放った一言「顔を上げろ、倫太郎!」を彷彿とさせる雰囲気があった。
芽依が唐突にあの台詞を口にした時には、「どうした? 何があった?」と、急に人が変わったような感じを受けたもので、今回のこの展開にも、当初は「アギレラがどんどん違う人になっていくな・・・」と感じたのだが、その後に続く台詞で「私たちは自分がやってきたことを忘れちゃいけない」と、玉置と自分を厳しく戒める姿が描かれていることで、悪魔として生きてきた過去を反省し、必死で贖罪をしていることが理解できた。
正直に言えば、牛島公子はそれほど存在感のある役ではなかった。しかし、命を落としたことで、周りの登場人物たちの心情や立場を改めて浮き彫りにしてくれた。物語の上では、“必要な死”だったように思う。乃緑さん、お疲れ様でした。
研究者とモルモット
帰ってきた門田ヒロミと再会を果たしたジョージ・狩崎は、ふたつの量産型デモンズドライバーをヒロミに手渡す。
とは言え、ヒロミはデモンズドライバーのモルモットにされたおかげで、既に戦える身体ではない。
ジョージは「部下に渡してくれ」と伝えていたが、おそらくコレを装着するのは、未だライダーに変身したことのない玉置と、言葉通り命がけとなるヒロミだろう。ただしそれは、まだしばらく先のことだろうけれど。
ヒロミに睨みつけられながらも、相変わらず憎まれ口を叩きつづけるジョージだったが、思い出したように「ああ、許してもらうつもりはないが・・・」と真顔になり、「悪かった」と一言。
黙ったまま距離を詰め、いつかのようにパンチを寸止めするヒロミ。おそらくジョージは殴られることも覚悟の上だったはずだが、そのまま拳でジョージの胸をポンと一突き。
振り返りもせず、しかし、ジョージから受け取ったデモンズドライバーを掲げて去っていくヒロミのカッコよさ。
ジョージは、メガネを外し、深々と頭を下げてその姿を見送る。ヒロミがドアの向こうへ消えても尚、頭を上げることはなかった。一度、二人の間に生まれた溝が埋まることはないのかもしれないが、再び、その溝を越えて手を結ぼうと歩み寄る姿勢は見えた気がする。今回、唯一届いた想いであったように思う。
人々の希望、天使の絶望
内に宿していた悪魔・カゲロウを失い、正義感だけが暴走を続けている五十嵐大二。
ギフに勝ち目のない無謀な戦いを挑むより、服従することで人類を延命させようとする赤石の思想を今は是とし、ギフジュニアたちを引き連れてウィークエンドへと乗り込む。自らの正義を貫くためなら手段は選ばない、という姿勢の現れであることは理解できるが、これではまるで、悪魔を率いる堕天使である。
ウィークエンドのアジトに集まった人々にギフに従うことこそが最善の方法であると説いてみせるが、人々は一輝たち仮面ライダーこそが希望だと、大二を罵倒する。
自分は間違ったことをしていない。なのに、誰も自分の言葉に耳を貸そうとしない。
それは人々が希望を持っているためだ。
そしてその希望こそが、大二を絶望へと駆り立てた。
力づくで人々をアララトへと連行しようとする大二は、一輝たちにも牙を剥く。慕っていた御子柴朱美が消滅してしまったことも、一輝たちがやったことだと信じて疑わず、必死で説得しようとするさくらの叫びも届かない。
大二、再びの闇堕ちである。一輝たちに銃口を向け、セーフティロックを外したところで幕が降りる。
次回は一輝と大二の一騎討ち。「魂の兄弟喧嘩」と、なんだか『バキ』みたいだが、お互いにわだかまりが消えるのか、それとも、もうしばらくこのまま引き摺るつもりなのか。
そして、今回は大二がサラッとスルーしたが、ベイルが持ちかけた「手を組まないか?」という一言も、意外と後に続く伏線なのかもしれない。見返すたびに発見がある『リバイス』に、今後も要注目である。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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