2022年11月19日放送『ウルトラマンデッカー』第18話「異次元からのいざない」(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)をレビュー
「異次元」
その言葉を目にするとき、昭和世代のウルトラシリーズファンなら、真っ先に思い浮かべるものがあるはずだ。
空間自体が不安定なのか、ゆらゆらと絶え間なく歪み続け、その中に垣間見える人影。
異次元人ヤプール。
『ウルトラマンA』の宿敵として登場して以来、さまざまな作品にも登場しているので、平成世代もご存知だとは思う。だが、あの不気味さは、やはり昭和の頃の技術レベルだったからこそ、醸し出されたものだったと今でも思う。拙いが故に怖い。ホラーなどと同じである。
そんなヤプールがデッカーにも登場。アガムス同様、光(ウルトラマン)が目障りだという理由らしいが、さて、ウルトラシリーズ最凶の悪魔と言われたヤプールが、ここからどのように関わってくるのだろう。注目の第18話を、ネタバレ込みでレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第18話のキャストをご紹介。
以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。
アスミ カナタ
松本大輝
キリノ イチカ
村山優香
リュウモン ソウマ
大地伸永
カイザキ サワ
宮澤佐江
ムラホシ タイジ
黄川田雅哉
アガムス
小柳 友
マナカ ケンゴ(回想)
寺坂頼我
デッカー・アスミ(回想)
谷口賢志
レリア(回想)
藤山由依
ハネジローの声
土田 大
ヤプールの声
菊池康弘
ウルトラマンデッカー:岩田栄慶
テラフェイザー:岡部 暁
アリブンタ:永地悠斗
ヤプール:桑原義樹
怪獣を超えるもの
地中に現れた異常な熱反応の調査に赴くカナタ、イチカ、リュウモンの3人。
熱量から察するに、これが生物ならば、怪獣を超えた存在だという。『ウルトラマンA』でも散々聞かされた情報である。間違いなく超獣だろう。
崩壊した地下駐車場に足を踏み入れると、不意に異空間から姿を現したアガムスによって連れ去られてしまうカナタ。他の2人は気づいていない。そのまま、ヤプールがカナタの姿に化けてしまう。病的な顔つきが印象的だ。メイクというものが、人の印象作りにどれほど重要かが理解できる。
偽カナタの「あっちから声が聞こえた」という嘘に惑わされ、さらに奥へと潜っていく2人の前に、巨大な顔が現れる。
大蟻超獣アリブンタである。
大蟻超獣アリブンタ
身長:57m
体重:62,000t
超獣が登場するのは予想通りだったが、まさかアリブンタとは思わなかった。『ウルトラマンA』第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」に登場した、両腕から放つ炎と、何でも溶解する蟻酸を武器とする強力な超獣である。GUTSグリフォンを手玉に取るなど、本作でもその力は絶大だ。
カナタとアガムス
一方、異空間に連れ込まれたカナタは、アガムスと対峙していた。
未来人デッカー・アスミの「アガムスを救ってやってくれ」という言葉に駆り立てられるカナタと、それを疎ましく思うアガムス。未来の地球人が、アガムスたちに何をしたのか? どれほどのことをしたら、ここまで憎まれるのだろう。その憎しみの根源を探るカナタに、アガムスは答えを明かさない。
アリブンタが地上へと姿を現すと共に、睨み合っていた2人もまた異空間から姿を現す。
その場を逃げ出すアガムス。そして、カナタたちはアリブンタに応戦する。
二手に分かれて(カナタ1人と、イチカとリュウモンの2人組)行動を始めるが、アリブンタに狙われたイチカたちを助けるため、デッカーへと変身するカナタ。身バレしてもおかしくない距離感だ。
強力なアリブンタに苦戦する中、アガムスの操るテラフェイザーまで現れ、ストロングタイプの力をもってしても、一方的にボコられるデッカー。
アリブンタに羽交い締めにされた状態で、テラフェイザーがTRメガバスターのエネルギー充填を始める。このエネルギー充填の際、アガムスが“かめはめ波”のようなアクションをするところが面白い。エネルギーを溜めて放つ、という動きとして、あれほどわかりやすいものはない。
それにしても、アリブンタごと貫くつもりだろうか。アリブンタも、まさか自分まで貫かれるとは思ってもいないだろうが、もしも理解しているなら、超獣なんかにしておくにはもったいない、ナイチンゲール顔負けの自己犠牲精神の持ち主である。
そんな絶体絶命の状況を打破するため、カナタが選んだのはミラクルタイプだ。瞬間移動でアリブンタの拘束から抜け出すと、2体に分身してそれぞれアリブンタとテラフェイザーを相手にする。1対1の戦いなら、決して負けていない。スピードで翻弄し、最後は剣でテラフェイザーを切り裂く。
消えたデッカー
デッカーによって破壊されたテラフェイザーは、コクピットからアガムスを吐き出すと、自身は異次元へと姿を消してしまう。どこかで修理を受けようというのか、ひょっとしたら自己修復機能が備わっているのかもしれない。
残るアリブンタは、ダイナミックタイプへとチェンジしたデッカーによって倒されてしまう。
不意にひきつった笑顔を見せるアガムス。病的な顔つき。それは異次元人ヤプールが化けたカナタのよう。そうなのだ。ここにいるアガムスはヤプールの化けた偽者だったのだ。いつ入れ替わったのかはわからない。テラフェイザーに乗っている時からなのか、それとも吐き出された後なのか。
その直後、空が割れ、デッカーが呑み込まれる。
異次元へと連れ去られたデッカー。カラータイマーはとっくに赤く点滅している。ハネジローが思わず発した「カナタ・・・」という呟きは、周囲の誰の耳にも届かないのだろうか。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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