【神回】舞い降りた最悪|『ウルトラマンデッカー』第24話感想

雷堂

2023年1月14日放送「ウルトラマンデッカー』第24話「夢の果て」(監督:武居正能 脚本:根元歳三)をレビュー

地球を覆ったスフィアバリアが収縮するまで3時間。

それが地球に残された時間。

刻々と迫る終わりの時を前に、カナタとアガムスの因縁にも決着の時が訪れる。

わりとテンプレ通りではあるけれど、神回と言っても良い熱い展開。

ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

※本記事で使用している画像は、特記のないものは全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。

目次

侵食

前回、テラフェイザーたちとの戦いに倒れたカナタ。

アスミ カナタ

松本大輝

目覚めてみれば、いつの間にか自身の身体もスフィアに侵されていることに気づく。脇腹のあたりにべったりと食い込んだスフィア細胞の映像はなかなかに強烈だ。

しかし、現在地球が置かれている絶望的な状況は、消耗したカナタを待ってはくれない。

スフィアに乗っ取られたテラフェイザーによって生み出された3本のオブジェクト。まるで避雷針のようにも見えるそれらを、GUTS-SELECTは「スフィアオベリスク」と名付ける。これが存在する限り、スフィアバリアの収縮は収まらない。計算では、完全に収縮するまで3時間。それまでにこれらを破壊することが、唯一地球を救う方法なのだ。事態は一刻を争う。

3本のスフィアオベリスクと動けないナースデッセイ号

凄まじい電磁波を受け、行動不能となったナースデッセイ号だが、どうにかナースキャノンだけは使える様子。それをスフィアオベリスクの中でもメインとなるα(アルファ)と名付けた1本に撃ち込むことができれば、この窮地を打開できる。しかし、ナースデッセイ号とスフィアオベリスクαを結ぶ直線上にはγ(ガンマ)と名付けたスフィアオベリスクが立ち塞がっていて、このままではどうにもならない。しかも、テラフェイザーも番人のようにそれらを守っているのだ。

そこでGUTS-SELECTは、ナースデッセイ号の前に聳え立つアルファオベリスクγを地上作戦によって破壊し、その先にあるスフィアオベリスクαをナースキャノンで破壊するという作戦を立案。そのためには、アルファオベリスクγの足元にある4本の根を破壊しなければならない。そこで、カナタ、リュウモン、イチカ、カイザキ副隊長の4人がそれぞれに隊を率いて、4本の根のそれぞれに爆弾を仕掛けることになる。

リュウモン ソウマ

大地伸永

キリノ イチカ

村山優香

カイザキ サワ

宮澤佐江

スフィアソルジャーの攻撃を掻い潜りながら、全ての爆弾の設置に成功。γが倒壊した直後、一人ナースデッセイ号に待機していたムラホシ隊長がナースキャノンを発射。スフィアオベリスクαを撃ち砕く。

ムラホシ タイジ

黄川田雅哉

だが、テラフェイザーの反撃によってナースデッセイ号は大破し、ムラホシは負傷。さらにテラフェイザーは地上部隊にも攻撃を加える。仲間たちが倒れ、カイザキも負傷する。イチカの悲痛な叫びが響く中、満身創痍のカナタがテラフェイザーに向かって走り出す。

アガムスの涙

ウルトラマンデッカーへと変身するカナタ。通常なら青く輝くはずのカラータイマーは既に赤く点滅している。前回の戦いの傷が癒えていないことの証だ。そんな自分を鼓舞するようにダイナミックモードへとチェンジし、テラフェイザーと対峙するカナタ。アガムスはスフィアに意識を奪われ、完全に自我を失っていた。

アガムス

小柳 友

既に語られている通り、アガムスが未来のバズド星から時空を超えてやってきたのは、スフィアによって地球を滅ぼすためだった。

それは、バズド星がスフィアとの戦いに巻き込まれたそもそもの原因は地球人の宇宙進出だったと決めつけたからだ。地球人が宇宙に進出さえしなければ、スフィアと遭遇することもなかった。バズド星にたどり着くこともなかった。バズドの人々がスフィアと戦うこともなかった。多くの同胞たちが命を落とすことも、最愛の妻・レリアまで失うことはなかった、と全ての罪を地球人に被せたのである。単なる逆恨みだ。

レリア

藤山由依

だが、そんな逆恨みのためだけに、自らスフィアに侵され、時空を超えて宇宙に本格進出する前の地球にまでやってきたアガムス。無事に元の世界に帰るつもりなどない玉砕覚悟のバンザイアタックである。彼にとっては、大切な人たちが次々に命を落としていく中で、自分だけが生き残ってしまったこともまた許せない事実だったのだ。

そんな憎しみの対象となった地球と自分とを同時にこの宇宙から消し去ってしまいたい、という想いを感じ取っていたカナタは、アガムスに必死の説得を続ける。以前、記憶を失ったアガムスが語ってくれたレリアとの思い出。「いつか地球に行ってみたい」と語っていたレリアが、今のアガムスを見たらどう思うのか。カナタの必死の叫びが、スフィアに奪われていたアガムスの記憶を呼び覚ます。

アガムスの涙

レリアが生前、「花、木々、空、風・・・」と、まるで連想ゲームのように呟いていたのは、地球の言葉をそらんじていたことを思い出したアガムスが、記憶の中のレリアと呼応するように言葉を紡ぐ。とめどなく溢れる涙。表情も先ほどまでとは異なり、完全に人の心を取り戻したように見える。まるで憑き物が落ちたようだ。

TRメガキャノンで残った最後のスフィアオベリスクを打ち砕き、崩れ落ちそうになるデッカーを抱き止めるシーンは感動的だ。時空を超え、憎しみを超えて、種族をも超えて分かり合えた二人の男たち。

デッカーを抱き止めるテラフェイザー

「ありがとう」と晴れやかに微笑む顔が眩しい。カナタが未来人デッカーの「アガムスを救ってくれ」という願いを叶えることができた瞬間である。

最悪の事態

スフィアオベリスクが崩壊したことで、地球を覆っていたスフィアバリアは消滅。同時に、これまで途絶えていた火星との通信も回復する。カナタたちは遂に地球の危機を救ったのだ。全員が喜びを爆発させる。

その直後。

空から何かが猛烈な速度で落下してくる。

轟く地響き。

吹き上がる土煙。

そこには、ウルトラマントリガーが倒れていた。

そうだ。第23話のラストは、トリガーが宇宙で遭遇した禍々しい存在に戦いを挑むところで終わっていた。だとすると・・・

予想通り、そのトリガーを追うように巨大な何かが舞い降りる。

禍々しきオーラを全身に纏ったラスボス・マザースフィアザウルスである。

マザースフィアザウルス

トリガーとデッカー、そしてテラフェイザーが戦いを挑むが、マザースフィアザウルスの力は圧倒的だ。しかもテラフェイザーに宿っていたスフィアの力を吸収し、我がものにしてしまう。

まずはトリガーが敗れてしまう。しかも、その正体がケンゴであることがイチカたちにバレてしまう。

マナカ ケンゴ

寺坂頼我

デッカーも死力を尽くして挑むが、まるで歯が立たない。

いよいよデッカーも倒される・・・そう思った刹那、テラフェイザーがデッカーの身代わりとなってマザースフィアザウルスの攻撃を受ける。消滅するテラフェイザー。消えゆくアガムス。

ようやく心が通じ合ったと思った途端の悲劇。

そして、これ以上動くことのできないデッカーは変身が解けた上、変身アイテム・ウルトラDフラッシャーが目の前で砕けてしまう。

カナタの目の前で・・・

スフィアに侵され、変身すらできなくなったカナタ。そして、マザースフィアザウルスはエタニティコア(『ウルトラマントリガー』に登場した宇宙開闢と同等の力を秘めるとされる謎の物体のこと)の輝きを呼び覚ます・・・

喜びの直後に訪れた最悪の事態。この絶望的な状況をどうやって覆すのか? 最終回に向けて加速する『ウルトラマンデッカー』から目が離せない。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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