復活!不死鳥の如く|『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン33話感想

雷堂

2022年10月16日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン33話「ワッショイなとり」(監督:加藤弘之 脚本:井上敏樹)をレビュー

パワーアップして蘇ったソノイに倒されたタロウ。

タロウ復活のカギを握るのは、やはりあの人?

スーパー戦隊のお約束をことごとく跳ね除けてきた異色作『ドンブラザーズ』も、流石に看板スポンサーの商品展開まで跳ね除けることはできなかったらしい。

スーパー戦隊のお約束であるレッドのパワーアップを、ドンブラらしいはちゃめちゃ展開で描く。ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここではドン33話のキャストをご紹介する。

なお、以下に使用している画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。

桃井タロウ/ドンモモタロウ

樋口幸平

猿原真一/サルブラザー

別府由来

鬼頭はるか/オニシスター

志田こはく

犬塚 翼/イヌブラザー

柊太朗

雉野つよし/キジブラザー

鈴木浩文

五色田介人/ゼンカイザーブラック

駒木根葵汰

ソノイ

富永勇也

ソノニ

宮崎あみさ

ソノザ

タカハシシンノスケ

ドンムラサメ(声)

村瀬 歩

雉野みほ

新田桃子

金天女

井田彩花

マザー(声):能登麻美子

みほの正体

消えてしまった恋人・夏美に瓜二つな雉野みほのことが忘れられない犬塚 翼は、みほを尾行する。その行為は完全にストーカーだが、再び彼女に逢える日を夢見て、1年間もの間、逃亡を続けてきたのである。それがようやく逢えたと思ったら、自分のことを忘れているどころか、なんと人妻になっていたというのであるから、簡単に諦めなどつくはずもない。仮に私が似たような境遇だったとしたら、きっと同じようなことをするに違いない、とも思う。こういう時にいつまでも引きずるのは、女性よりも圧倒的に男性である。“女々しい”なんて言葉があるのは伊達ではないのだ。

たどり着いた先は、とある美容室。みほが美容師として働く店である。

みほに髪を切ってもらう犬塚。

そこで働く美容師は、みほ一人ではない。きっと、犬塚が指名したのだろう。例えネット予約であっても、初めて行く美容室で美容師さんを指名することなどできない私からすれば、飛び込みでいきなり指名するなんて、信じられない行為である。ある意味ではキャバクラで女の子を指名するよりハードルは高いかもしれない。なんて個人的感想はどうでもいい。

別に何を話しかけるわけでもない。

ただ、シャキシャキというシザーの心地良い音が聞こえるだけだ。

過去を思い出す。

それは、夏美に髪を切ってもらった思い出。田舎では美容師志望だったと言っていた夏美と、みほが重なる。

確かに切り方には個々のクセがあるかもしれない。

犬塚は確信する。

彼女は夏美だ、と。

ソノイとお供たち

前回、まさかの桃井タロウ化して復活したソノイにお供扱いされるようになったソノニとソノザは反発するが、パワーアップしたソノイには二人がかりでも敵わず、屈辱に塗れながら、お供であることを受け入れ、忠誠を誓うのだった。

だが、ソノイはそれだけでは飽き足らず、今度はドンブラザーズの面々までもお供にしようと動き出す。

そこで初めて、桃井タロウがソノイによって倒されたことを知る猿原、はるか、雉野の3人。犬塚はストーカー行為で忙しく、ジロウは虫の息のタロウを救う方法を求めて彷徨っていた。

ソノニとソノザは実力行使でお供にしたソノイだったが、ドンブラザーズの3人とは何故かクソくだらないゲームで勝敗を決することになる。ここでは、そのゲームの詳細については触れないが、マジでくだらない。ドンブラらしいといえば、らしいのだが。

最終的に、ドンブラの3人はゲームに負けて額に「脳人」とマジックで書かれるという屈辱を受ける。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

そこでソノニとソノザが「同じ脳人といえど、私たちは1軍でお前たちは2軍」とマウントを取ろうとしたのをきっかけに、自分たちの地位の向上を求める猿原たちにソノイが与えた試練は「自らの欲望に打ち勝てるか、否か」というものだった。

ヒトツ鬼は欲望が暴走した人間から生まれるものであり、脳人がヒトツ鬼化しないというのは以前から語られてきたことである。つまり、欲望に負けてヒトツ鬼化しなければ脳人並みだということになる。

ソノイの能力で解放される猿原たちの欲望。

以前、2度もヒトツ鬼化した雉野は予想通り3度目のヒトツ鬼化を果たしてしまうが、猿原とはるかもあっさりヒトツ鬼となってしまう。

3人揃って顔が太陽ということで思い浮かぶ通り、1981年2月〜1982年1月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ第5作『太陽戦隊サンバルカン』をモチーフとした太陽鬼である。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

太陽鬼

身長:192cm

体重:225kg

スキン:サンシャイン会社員

『サンバルカン』の主題歌の一節「フォロー・ザ・サン」「キャッチ・ザ・サン」にちなんだ太陽パワーで周囲を焼き尽くす太陽鬼は意外に強力だ。

しかし、レッドの代わりにピンク(雉野)がイーグル、イエロー(はるか)はパンサー、ブルー(猿原)がシャークと、なかなか上手いこと当て嵌めたな、と思ったのも束の間、猿原とはるかはすぐに正気に戻り、雉野だけがヒトツ鬼となり続けてしまう。これで3度目。愛妻家であることは間違いないけれど、流石に戦隊メンバーをクビにしたほうが良いのじゃないかと思えるレベルだ。

誕生!ゴールドンモモタロウ

前回、ソノイに倒された桃井タロウは、桃谷ジロウの手によって喫茶どんぶらに運び込まれた。

ここからまた、いつもの悪ふざけが始まる。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

手術台に横たえられる桃井タロウ。喫茶どんぶらにはオペ室まであるらしく、しかも介人は手術までこなすようだ。とはいえ、この場面でわざわざゼンカイザーブラックに変身したのは、『ブラックジャック』へのオマージュかもしれない。同様にブラックであることに加え、無免許であることについても。

術式が終了した後、未だクソくだらないゲームを続けるソノイたちに「大食い競争」をけしかけ、そこから溢れたエネルギーをギアトリンガーで抽出してジュースにする。

それを無理やり飲ませることで、タロウが復活。このあたりの件は、ソノイが復活した時に似ている。ソノイはタロウのエネルギーを注がれたことでタロウ化したが、みんなのエネルギー(犬塚とジロウのものは無し)を注がれたタロウにも変化が起こるのだろうか?

それはともかく、目覚めたタロウの目の前に立ち塞がったのは三度ヒトツ鬼となった雉野。

タロウは、新たな力「オミコシフェニックス」を使って、金色の戦士・ゴールドンモモタロウへと変身する。

キビ弾丸を高速発射するとされるオミコシフェニックスも強力だが、必殺技の「抱腹絶桃(ホウフクゼットウ)・フェスティバル縁弩(エンド)」はさらに強力。両手で形どった桃型バリアに敵を封じ込め、ヒトツ鬼を心地良く浄化する。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

バリアに封じ込めた敵を倒すのは、古いネタで言えば『ウイングマン』のデルタエンドを思い出すのだが、この技を受けたヒトツ鬼が「気持ちいいなあ・・・」と口走っていることから、ある種の快楽があるところは全然違う。

それに、この両手で桃を形どって敵をロックオンするというやり方は、前作『機界戦隊ゼンカイジャー』第42カイにドンモモタロウが先行登場した際に見せていたもの。ああ、次の戦隊ヒーローの必殺技はこういう感じなんだと思っていたら、本編開始後は、まるでそんなもの無かったかのように一切触れられずにここまで来たので、なんだか懐かしささえ覚える変な感覚である。

画像引用元:暴太郎戦隊ドンブラザーズ

前番組と後番組の関係のように、『ゼンカイジャー』よりも『ドンブラザーズ』の方が時間的にも後に起こった物語、みたいな感覚を受けてしまうが、あの時のことを思い返すと、実は『ゼンカイジャー』も『ドンブラザーズ』もほぼ同じような時代に起こった二つの並行世界の出来事だったりするのかもしれない。だとすれば、桃型バリアの件も、二人の介人の件も、無理やりではあるが説明はつくかもしれない。

といったことはさておいても、今回、もうひとつ謎だったのは、ドンムラサメと彼に指示するマザーの思惑である。ドン王家によって創られた人工生命体ドンムラサメが、何故ドン王家のタロウを狙うのか? その答えが明かされるのは、いつのことだろうか。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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