2022年10月15日放送『ウルトラマンデッカー』第14話「魔神誕生」(監督:武居正能 脚本:根元歳三)をレビュー
前回の総集編を挟み、『ウルトラマンデッカー』が第2章へと突入した。
ウルトラマンデッカーとテラフェイザーの評判が高まり、浮かれるカナタたち。
そんな空気を切り裂くように始まる主題歌「Wake Up Decker!」では2番の歌詞が流れる。よくある手法だけれど、これだけでこれまでとは明らかに違う何かを予感させるには十分。ウォームアップは終わったのだ。
ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第14話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品などもチェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。
アスミ カナタ
松本大輝
キリノ イチカ
村山優香
リュウモン ソウマ
大地伸永
カイザキ サワ
宮澤佐江
アサカゲ ユウイチロウ
小柳 友
ムラホシ タイジ
黄川田雅哉
謎の男
谷口賢志
ハネジローの声
土田 大
男性:黒木俊穂
女性1:鈴川琴音
女性2:西谷菜々恵
ウルトラマンデッカー:岩田栄慶
テラフェイザー:岡部 暁
スフィアザウルス:高橋 舜
ミクラス:新井宏幸
アギラ:桑原義樹
ウインダム:瀬名日出樹
キャスターの声:本郷 章
蘇ったスフィアザウルス
新章開始と共に姿を現したのはスフィアザウルス。カナタがウルトラマンデッカーとして最初に戦った相手が、このタイミングで登場したのは偶然などではない。カナタが新たな一歩を踏み出すための試金石として登場したと理解するべきである。
実際、スフィアザウルスはただ蘇ったわけではない。GUTSグリフォンの一撃で身体の一部を欠損しても、すぐに元通りになってしまうほどの自己修復能力(実際にはスフィアで穴埋めしているようなので、これは以前登場したスフィアネオメガスに準じるものと見られる)に加え、デッカーとテラフェイザーの二体を相手にしても一歩も引くことのない強大な力をも手に入れたようだ。
スフィアザウルスが蘇ることができたのも、これほど強大な力を手に入れることができたのも、いずれもその原因はスフィアネオメガスが地中に送り込んだエネルギーによるもののようだ。あの時は、大地からエネルギーを吸収していたスフィアザウルスとは真逆のスフィアネオメガスの行動には疑問しかなかったが、こうして無事フラグ回収されたわけだ。
ちなみに今回、かませ犬としてノイズラーという怪獣が冒頭に登場しているが、これは『ウルトラマン80』に登場した怪獣である。
身長は60mで体重は40,000t。使い回しの多いウルトラ怪獣としては、実に42年ぶりに登場したという変わり種。しかも、42年前は80の手で宇宙に送還されただけなので、倒されたのは今回が初。騒音を食べるという習性は、新幹線や飛行機などの騒音が大問題となっていた1970年代の日本の社会を風刺した怪獣だったと言えるだろう。
アサカゲの影
「花、木々、空、風、雲、太陽、虹、海・・・」
そんな謎めいた独り言を呟きながらテラフェイザーの調整を続けるアサカゲ博士。
テラフェイザーが完成した時にふと見せた笑顔の裏に潜んでいた狂気が、やはり見間違いではなかった(第11話参照)ことは、すぐに明らかとなる。
スフィアザウルスを倒すために出撃していたテラフェイザーを司どるA.Iハネジローが突如ダウン。動きを止めたテラフェイザーに歩み寄る一人の男。それがアサカゲであった。
GUTS-SELECTにいる時とは違い、身体にピタリとフィットした服をまとった姿は、いかにも宇宙人。
手には銃のような形をした謎のガジェット。
テラフェイザーの足元で、そのガジェットを使う(空に向けて銃を撃つようなイメージ)と、アサカゲはたちまちテラフェイザーの中へと吸い込まれてしまう。同時に、テラフェイザーから何本かのコードがヘビのように伸びてアサカゲに接続。ダウンしたハネジローの代わりにアサカゲ自身がテラフェイザーの頭脳となる。これこそが本来描いていた完成形だったのだろう。顔の部分に浮き上がる模様が、禍々しいものに変化する。
スフィアザウルスに苦戦するデッカーに襲いかかるテラフェイザー。
驚きを隠せないカナタに「キミが、この時代のデッカーだったとは」と語りかけるアサカゲ。このあたりの設定はいかにもウルトラシリーズらしい。
しかも、「キミを倒すために創ったテラフェイザーだ」と言うのだから、どうやら因縁は深い。
アサカゲの操るテラフェイザーは強力で、デッカーを援護しようとしたナースデッセイ号も、デッカーが呼び出したウインダムも一撃で沈黙。さらにTRメガバスターでデッカーを変身解除にまで追い込んでしまう。
さらにカナタにトドメを刺そうと、人間体へと戻り、銃を向けるアサカゲ。
「キミに恨みはない。その身に宿した光が目障りなんだよ」
真のデッカー
絶体絶命のカナタと、今まさにその命を奪おうとするアサカゲの間に割って入ったのは一条の光。
「悪い。待たせちまったかな?」
この状況にあって、不敵な笑顔を見せる謎の男。
その男に対し、「この時代まで追ってきたか・・・」と呟くアサカゲ。また「時代」というキーワードが登場した。
この二人にはかなりの因縁があるらしい。特に、「レリア」という、おそらくは女性の名前にアサカゲは激しく反応していた。
そして再び始まるテラフェイザーとデッカーとの戦いだが、今度のデッカーはカナタではない。先ほどの謎の男がデッカーへと変身する。
しかも、カナタとは違い、かなり戦い慣れしている。相手を挑発する余裕もある。
シチュエーションによって瞬時にタイプチェンジするといった判断も的確な上、これまでカナタが単発で呼び出していたウインダム、ミクラス、アギラという三体のディメンションカード怪獣を一気に呼び出し、スフィアザウルスを足止めするなど、とにかく隙がない。
さらに、ネットでも話題になっている通り、この謎の男を演じている谷口賢志さんは、スーパー戦隊(『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のゴーブルー)、仮面ライダー(『仮面ライダーアマゾンズ』の仮面ライダーアマゾンアルファ、『仮面ライダーセイバー』の仮面ライダーファルシオン)に次いでウルトラマンにも変身した史上二人目(一人目はケイン・コスギさん)の俳優となった。まさに偉業。
ただし、この偉業が2022年になってからバタバタと達成されているのは謎でしかない。
ケイン・コスギさんが達成したのが『仮面ライダーリバイス』の夏映画だったことを考えると、ほんの3ヶ月ほどの公開の差でしかなかったわけで、谷口さんはもちろん悔しいだろうが、ひょっとしたらデッカーの製作陣はもっと悔しかったかもしれない。やはり史上初と二番目では話題性に差があるからだ。
という余談はさておき、真っ向勝負のデッカーとテラフェイザーの戦いは終わっていない。次回、カナタがこの時代のデッカーとして覚醒するようだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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