2023年1月22日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン45話「カカむらガガむら」(監督:加藤弘之 脚本:井上敏樹)をレビュー
放送終了まで残り1ヶ月というタイミングでようやくメンバー全員が揃ったドンブラザーズ。
物語はいよいよ佳境。謎めいた存在・獣人についての核心に迫っていく。
そしてこのタイミングで登場する2人の新キャラ。
最終盤だというのに、まだまだお祭り騒ぎは終わらない。
ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
※本記事内で使用している画像は、特記したものを除き『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。
謎に迫る者
44話にしてようやく分かったイヌブラザーの正体に沸くドンブラザーズの面々。それを祝って食事会をしようと集まったのだが、犬塚 翼はそれどころではない様子でマンガを読み耽っている。それは椎名ナオキ(未来から来た鬼頭はるか)が未来へ戻る直前に残していった作品で、犬塚はその中に獣人たちに関するヒントが隠されているかもしれないと考えていた。彼にとっては、恋人の夏美を取り返すことが何よりも大切なのである。
犬塚 翼/イヌブラザー
柊太朗
確かに、椎名ナオキは去り際に「私のマンガの中に・・・」と、いかにも意味ありげな言葉を残していた。桃井タロウもそのことを思い出す。
桃井タロウ/ドンモモタロウ
樋口幸平
マンガは、ガガ村という場所を舞台に、人間の姿をコピーする悪魔と戦う物語だった。この悪魔は獣人をモチーフとしたものだろう。そして、桃谷ジロウの故郷の名がカカ村であることを知った犬塚はタロウと共に、ジロウの帰省に同行する。
桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ
石川雷蔵
ところが、到着した村には人の気配がまるでない。前回、ジロウが雉野に幼なじみ(ジロウは“彼女”と言っている)のルミだと見せてくれた写真には、ジロウしか写っていなかった。しかし、ジロウにははっきりとルミの姿が見えていたのである。
まるでホラーだが、実際にはオバケではなく、獣人が関係しているようだ。村を歩くタロウたち3人を物陰から見つめる獣人たちの姿が映し出される。
ジロウが育った駐在所にたどり着いても、やはり人の気配はない。ジロウは育ての親・寺崎を探しに出てしまう。残されたタロウと犬塚は、椎名ナオキのマンガに描かれていた“駐在所にある冷蔵庫が、悪魔の住む森への入口”というヒントに基づいて駐在所の冷蔵庫を勝手に漁り始めるのだが、そこに寺崎が帰ってきてしまう。
寺崎
一 三
眠りの森を守る者
勝手に他人の家の冷蔵庫を漁る男たちを、さして咎めることもなく、寺崎は「作り置きだが」と手料理でもてなす。以前、ルミがジロウに届けたのと同じ、村でできた野菜の煮付けである。あの時も、何かとうるさいタロウが「美味い」と絶賛していたが、今回はタロウだけではなく犬塚も大絶賛である。味付けや調理法といった料理のスキルはもちろんだが、やはり素材の良さというのは何にも増して大きいものかもしれない。
その食事の最中、タロウは仏壇に置かれたペンギンの折り紙を発見する。問い詰められた寺崎は隠すことなく、自身も獣人であることを明かす。川をどんぶらこと流れてきたジロウを拾っておよそ20年も経つというのに、外見がまるで変わらないのは、そういう理由だったわけだ。
しかも寺崎は、獣人を作ったドン家の血族でありながら、自ら望んで獣人になったらしい。その理由は「不可殺の者になりたかった」から。人間だけでなく、脳人にとっても不老長寿は憧れのようだ。
そうして獣人へと身をやつした寺崎は、眠りの森を守っていた。獣人を森の外へ出さないよう、人間が森に入らないよう。これはドン家の者としての使命感だったらしい。
だが、寺崎の役目はもうじき終わる。
それは、寿命が尽きるからだ。
不可殺なのに寿命で死ぬとはどういうことかといえば、獣人は、コピーした人間が死んでしまうと自身もまた死んでしまうらしい。眠りの森で眠り続けると言っても、時間が止まるわけではない。眠ったまま時は流れ、やがて寿命を迎えれば肉体は死んでしまう。苦しみのない、これ以上ないほど穏やかな死だが、寺崎の本体は既に亡くなってしまったようで、寺崎の獣人ももうじき死んでしまうらしい。その前に、ジロウを後継ぎにしようというのが寺崎の考えだった。
“遊ぶ”ネコの獣人、“物語を紡ぐ”ツルの獣人に対し、ペンギンの獣人が何をするものなのかは謎だが、寺崎をコピーしただけのはずなのに、「不可殺の者になりたかった」と一人称で思い出がたりをし、「ドン家の者として森を守る」と、まるで寺崎本人のように見えるところに秘密は隠されているのかもしれない。
消滅する者
再び姿を消してしまった妻・みほを探し求める雉野は、またもやヒトツ鬼へと変貌してしまう。激走鬼、太陽鬼に続いて、これで三度目。
2001年2月から2002年2月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ第25作『百獣戦隊ガオレンジャー』をモチーフとした百獣鬼である。
百獣鬼
身長:192cm
体重:236kg
スキン:牙吠の猛獣
タロウ、ジロウ、犬塚を欠き、猿原とはるかの2人だけで対処することとなる。
猿原真一
別府由来
鬼頭はるか
志田こはく
いつもなら、どこにいようと強制的に戦いの場に転送されるドンブラザーズだが、今回は無し。相変わらずのご都合主義だが、『ドンブラ』だからというよりは、特撮全般そんなものである。こんなことに目くじらを立てていたら、特撮なんて観ていられない。
しかも、いつもならヒトツ鬼の状態で倒されてヒトツ鬼ングへと巨大化する流れだが、今回は唐突に巨大化。
百獣鬼ング
身長:52.6m
体重:2145.8t
スキン:牙吠の精霊
その理由は、『ドンブラ』の次作『王様戦隊キングオージャー』の巨大ロボ・キングオージャーをチラ見せするためだ。
当初、顔だけはドンオニタイジンという謎の仕様で登場するが、最後にはきちんと本来の姿をお披露目してくれる。クワガタ、トンボ、チョウ、カマキリ、ハチという5体のロボが合体した姿は文句なしにカッコ良い。ドンオニタイジンがカッコ良かっただけに、次の巨大ロボのデザインはハードルが高かったと思うが、これを見てガッカリする人は少ないはずだ。ついでに、変化球どころか消える魔球くらいのイロモノ感満載(褒め言葉)だった『ドンブラ』に対し、今度の戦隊は王道を行く感じなので、こちらも期待したい。
そのキングオージャーに倒された百獣鬼ングは、いつもならそのまま人間の姿に戻るところを、なぜか人型サイズに戻ってしまう。
その途端、以前登場した脳人のソノシと、新キャラ・ソノゴとソノロクが現れ、とどめを刺してしまう。
ソノゴ
高井真菜
ソノロク
脳人の女性は美人というのがデフォなのだろうか。ソノニよりもお高く止まった感じのツンさが際立つ。ソノロクは脳筋キャラっぽく、以前も登場したオネエキャラのソノシとは全く被らない。
それにしても、いつの間にか人間に惹かれるようになってしまったソノイ、ソノニ、ソノザたちが、新たな脳人の出現によりどのような運命を辿るのか。希望通り、ドンブラザーズに加入できる日は来るのだろうか? 想像の中、みんなで名乗りを上げて笑い合う姿が描かれたが、是非とも実現できる日が来る日を心待ちにしている。
ソノイ
富永勇也
ソノニ
宮崎あみさ
ソノザ
タカハシシンノスケ
特に、眠りの森に隠されていると言われる“許しの輪”というアイテムが、彼ら3人をどのような運命に導くのか要注目だ。
なお、とどめを刺された雉野は、いつかのタロウのように消滅してしまう。死んだのではなく、別次元の牢獄のような空間に幽閉されているだけだとは思うが、こちらの救出劇もまた見ものだろう。
後を継ぐ者
眠りの森を探すタロウと犬塚の耳にジロウの声が飛び込んでくる。
見ると、村の公民館のような場所で、ジロウが料理の置かれたテーブルを前に談笑している。だが、ジロウの他には誰の姿もない。
しかし、ジロウには見えているのだ。ルミをはじめとする幼なじみの姿がしっかりと。「いいものをあげるから目を瞑って」というルミの声に従い、目を瞑ったジロウの口元にペンギンの折り紙が迫る。
咄嗟にその折り紙を奪い取るタロウ。
そこに「邪魔をする気か?」と寺崎が現れるのだが、タロウは「獣人を生み出した責任は俺が取る」と、自らペンギンの折り紙を飲み込んでしまう。
それによって、眠りの森に囚われるタロウ。
迫る獣人たちの影。
最終盤に向けて、物語は一気に加速していく。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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