翔太郎とフィリップ、再び|アニメ版『風都探偵』第1話感想

雷堂

2022年8月放送『風都探偵』第1話「tに気をつけろ/魔女に恋した男」(監督:椛島洋介 脚本:樋口達人)

昨年、仮面ライダー50周年を記念して発表されたプロジェクトのひとつが、『仮面ライダーW』の正統続編を名乗るマンガ『風都探偵』のアニメ化である。正統続編とは何とも仰々しい謳い文句だが、脚本を『W』のメインライターである三条 陸さんが担当し、クリーチャーデザインも『W』と同じ寺田克也さんが担当し、『W』でチーフプロデューサーを務めた塚田英明さんが監修するというのだから、文句のつけようもない。

ひょっとしたら声優はオリジナルの俳優さんたちを揃えたりするかも? などという予想はあっさり覆され、今をときめく人気声優さんたちがずらり勢揃い。

その第1話をレビュー。ネタバレもあるけれど、これから視聴する楽しみを奪うほどのものでないことは約束する。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは第1話のキャストをご紹介する。

ウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非ご参照いただきたい。

なお、以下で使用している画像は全て『風都探偵』より引用している。

左翔太郎

左 翔太郎

細谷佳正

フィリップ

フィリップ

内山昂輝

ときめ

ときめ

関根明良

鳴海亜樹子

鳴海亜樹子

小松未可子

刃野幹夫

刃野幹夫

堀内賢雄

真倉俊と左翔太郎

真倉 俊※画像左

沢城千春

ウォッチャマン

ウォッチャマン※画像左

伊丸岡 篤

リリィ白銀

リリィ白銀※画像右

貫井杣佳

坪崎忠太

坪崎忠太

新垣樽助

立川蓮司

立川蓮司

小西克幸

サブ

サブ

興津和幸

立川の舎弟たち

舎弟※画像最奥の二人

佐々健太片山公輔

連なる“t”

今回放送されたアニメ版第1話は、原作『風都探偵』第1話「tに気をつけろ/魔女に恋した男」に『仮面ライダーW』第1話の冒頭部分、いわゆる「ビギンズナイト(英語で書くと“Begins night”。劇中では“始まりの夜”という意味で用いられているが英語としては成立しておらず、実際には“夜が始まる”という意味になっている。こんなものはちょっと調べればすぐにわかることで、それをあえてこういった表記のままにしているのは、意味がわからないわけではないし、なんとなくカッコよく聞こえるから、ということだろう。暗に、名付け親だと思われる翔太郎の“決めようとするけど決まらない”半熟ぶりを示しているようにも見える。)」のさわり部分を加えたものとなっている。

この「ビギンズナイト」の描写がないマンガ版は、あくまでも『風都探偵』という物語が幕を開ける展開だったが、それと比較するとアニメ版は遥かに『仮面ライダーW』という原点を想起させる作りとなっている。

『風都探偵』アニメ化プロジェクトが仮面ライダー50周年記念プロジェクト(『風都探偵』アニメ化、『仮面ライダーBLACK SUN』、『シン・仮面ライダー』の3つ)の1つだったことを考えると、それも当然の流れだったと言えるかもしれないが、少なくとも『仮面ライダーW』ファンなら、この幕開けだけでグッと引き込まれることは間違いない。

『風都探偵』というタイトルの通り、物語は私立探偵である主人公たちが、持ち込まれた事件の謎を探り、解決していくというのが大まかな流れ。などと書くと、TVドラマ『古畑任三郎』や『ガリレオ』を思い出すが、それらのように単に一つ一つの事件を解決し続けるというものではなく、小さな事件を解決に導きながら、壮大なストーリーを徐々に紐解いていくようなものとなっている。

今回の依頼は「魔女を探して欲しい」というもので、依頼人の名は坪崎忠太。イニシャルは“t”だ。

この魔女というのが、とんでもない美女。翔太郎の言葉を借りれば「目が吸い付くような、エロスの塊みたいな女」である。坪崎は、この美女に現金28万円の入ったバッグを奪われたらしい。もちろん追いかけたが、空を駆けるように逃げる彼女を捕まえることはできず、ふと気がつけば夕凪町のT字路に立っていたらしい。しかも自分が今来た道を振り返ると、そこは行き止まりという不思議な経験をしたのだとか。

そんなゾッとするような思いをしながらも、魔女に一目惚れしてしまったという坪崎のために、翔太郎は魔女の行方を探し始める。

調べてみると、その女が「T字路の魔女」と呼ばれていることがわかる。女は服を剥がれ、男は金を盗られる。追いかけても絶対に捕まらず、気がつくと夕凪町のT字路に立っているらしい。まさに坪崎と同じだ。

さらに調査を進めていく中で、翔太郎は魔女を発見する。彼女の名は「ときめ」というらしい。イニシャルは“t”。

逃げるときめを追いかけるが、気がつけばそこはどこかのビルの中。そのビルの持ち主は、見るからに反社な雰囲気の立川。このイニシャルもまた“t”である。

ちなみにこの立川のビル周辺では、殺人事件があったらしい。バラバラになった人体の一部が何度か発見されたのだという。

神出鬼没の魔女。そして謎の殺人事件。次から次に登場する“t”というイニシャル。これらが意味するものとは何か?

見知らぬ風都

坪崎と共にときめを探し出す翔太郎。

不意に駆け出すときめ。その時、翔太郎は、ときめが謎のガイアメモリを所持していることに気づく。

物語の舞台・風都(フウト)は、その名の通り、常に風が吹く街として描かれており、そこかしこに風車が回っているのだが、ときめを追う翔太郎は、いつしか見覚えのない風景の中を走っている。そこは風都を「庭」と呼び、街の隅々まで知り尽くしていると豪語する翔太郎の目をもってしても、どこだかわからない場所。しかも風が吹いていない。

しかも、赤と青に彩られているはずの歩行者用信号機が2つとも青になっていたり、道が黒くなっていたりと、その異様さは翔太郎でなくとも理解できる。この異世界に迷い込んだ翔太郎と坪崎に、姿の見えない謎の敵が襲いかかる。

絶体絶命のピンチを救ったのは、翔太郎の相棒・フィリップ。

ここで物語は次回へと続くため、Wへの変身は次回以降のお楽しみ、ということになるが、がっかりするようなことは一切なく、むしろここまでの熱さによって次回への渇望感がいや増されている。マンガを読んでいる身とすれば、次の展開などとうに知っているのだが、それでもこのアニメ作品として生まれ変わった『風都探偵』もきちんと観てみたいという気持ちになっている。

最初は、声に違和感を持ったりするかも・・・などと不安もあったが、蓋を開けてみれば、まるで気にならなかった。むしろ、アニメになっても翔太郎、フィリップ、亜樹子による軽妙なやりとりは健在。これが『仮面ライダーW』をそのままマンガにしたり、アニメにしたりしたなら話は別だろうが、「正統続編」として別のメディア展開をしたことが功を奏したと言えるだろう。

ただし、第1話ではライダーとしてのアクションシーンが冒頭のほんのわずかしか描かれなかったため、未だそこに対する不安は拭い切れていない。

特撮をアニメ化するというのは、めちゃくちゃ古い話をすれば、『ザ☆ウルトラマン』(1979年4月4日〜1980年3月26日放送)みたいなものが思い浮かぶ。要するに、あんまりいいイメージがないのだ。

「つのだ☆ひろ」みたいなネーミングを持つ『ザ☆ウルトラマン』は、単純にそのダサいデザインが気に入らなかったこともあるが、それまでスーツアクターさんが繰り広げてきたアクションを絵で表現することの難しさを浮き彫りにした。

『ドラゴンボール』のような作品は、そもそも動かないマンガをアニメにしたのだから違和感もクソもないのだが、現実に存在する人の動きとアニメの動きは残酷なほどに違う。もちろん潤沢な予算があって作られる映画はまた違うのだが、TVアニメ程度ではどうしたって違和感が残る。

『風都探偵』はマンガをアニメにしたのだから、この話は当てはまらない。むしろ『ドラゴンボール』みたいなものだろうと思われるかもしれないが、我々特撮ファンがマンガに登場するWを見ているとき、脳内では高岩成二さんの動きとして補完されているのであって、ただの絵を見ているのでは決してない。だから『ドラゴンボール』などとは求めるものがどうしたって違うのだ。これが贅沢なことはわかっている。しかし、ファンとは身勝手なものなのである。

ただ、不安ばかりではない。本作の椛島監督は生粋の特撮ファンだという記事を目にした。しかもスーツアクターさんが好きなのだとか。実際、本作では監督の他に「仮面ライダー作画監督」としてもクレジットされているのだ。これは期待するしかない。

本作は現在、動画配信サービス「U-NEXT」で独占公開されている。有料サービスだが、初回登録時は31日間無料となっているので、とりあえず登録してみる、というのは全然アリだ。

ちなみに『風都探偵』を観ると、『仮面ライダーW』が観たくなる。現在はU-NEXTでも『仮面ライダーW』が視聴可能となっているので、気になったら是非チェックしていただきたい。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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