2022年11月13日放送『仮面ライダーギーツ』第10話「謀略Ⅰ:新世界のビート」(監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也)をレビュー
浮世英寿の勝利によって幕を閉じたデザイアグランプリ。
勝者はデザ神と呼ばれ、理想の世界を叶える権利が与えられるのだが、ナビゲーターのツムリは、今回の英寿の願いを叶えることに大層不満げである。
さて、どういった世界が創造されるのか?
そしてまた始まる新たなデザイアグランプリでは、何が待ち構えているのだろう?
ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第10話のキャストをご紹介。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『仮面ライダーギーツ』より引用している。
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
簡 秀吉
桜井景和
佐藤瑠雅
鞍馬袮音
星乃夢奈
吾妻道長/仮面ライダーバッファ
杢代和人
ツムリ
青島 心
晴家ウィン/仮面ライダーパンクジャック
桜井沙羅
志田音々
丹波一徹/仮面ライダーケイロウ
八木沼雪絵/仮面ライダーレター
大田 路
鞍馬伊瑠美
遊井亮子
鞍馬光聖
ベン※画像左側
マイケル・K
ジョン※画像右側
トム・コンスタンタイン
上司
枝光利雄
参加者①※画像左
参加者②※画像右
千鶴知ゐ
執事※画像右奥
本間識章
ギロリ/ゲームマスター
忍成修吾
運営ナレーション:塩野潤二
新しい世界
浮世英寿の勝利で幕を閉じた前回のデザイアグランプリ。
デザ神となった英寿が望んだのは、「デザイアグランプリの運営者と家族になれる世界」だった。ツムリが姉、ギロリが父という謎の家族関係が始まる。ただし、英寿もツムリもギロリも、本当の親子でないことは自覚しているので、家族ごっこを繰り広げているだけ。これに何の意味があるのか?ところで、今回の世界改編で理解できたのは、過去の世界はそのまま継続されるということだった。つまり、英寿は相変わらず世界的なスターという立ち位置。さらに明らかになったのは、過去のデザイアグランプリにおいて、英寿が叶えてきた望みのいくつかである。
「俺が働かなくても暮らせる世界」なんてのは、かなり俗っぽい望みだが、最初に叶えた「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加できる世界」という望みのおかげで、デザイアグランプリの常連になることができているようだ。この、都度リセットされるのではなく、上書きされていくという仕組みにこそ、デザイアグランプリというゲームを解き明かす秘密が隠されているのかもしれない。
一方、リセットされた人たちもいる。
桜井景和は、今まで通り、姉と二人で仲良く暮らしているようだが、どことなく変だ。以前は世界平和を望み、わずかでもお金があれば慈善団体に寄付をするような青年だったはずだが、一攫千金を夢見てスクラッチくじに精を出す。これは就活が上手くいかないから、という理由もあるようだが、決定的だったのは「ご飯を奢ってあげる」という姉に、「じゃあ、寿司」と答えるシーン。一番のご馳走が、たぬき蕎麦だった景和はどこへ行ったのか? 表情も、以前のゆるふわなイメージとは違う様子である。
鞍馬袮音もどこかおかしい。セレブとしての生活を捨ててでも、今いる場所から逃げ出したいと躍起になっていたはずなのに、ボディガードたちを引き連れてショッピング三昧。おまけに、母が持ってきた冴えない御曹司とのお見合い話を断ろうともしない。
果たして本当にリセットされたのだろうか?
新しい世界の幕開けと共に、少しずつ何かがずれている。そんな気がする。
狙われたギーツ
再びデザイアグランプリの参加者が集められる。
「死ぬまで参加」を表明している英寿は当然として、吾妻道長も再びエントリー。参加者を決める権利はゲームマスターにあるらしい。英寿のライバルを再び招聘するところに、確かな意図を感じる。
また、前回ラストでついに顔出しをした運営側のライダー・パンクジャックもまたエントリーされる。
しかも今回は、運営側であることは明かさず、単なる1参加者・晴家(ハレルヤ)ウィンとしてエントリー。どこからどう見ても、売れないバンドマンである。ただし、服装はそれっぽいものの、全体的にパンクっぽい雰囲気は薄い。滲み出るアウトロー感がない。常にギターを手放さないという演出はロックギタリストのお約束だが、どうにもお寒いイメージがつきまとう。なんだかコントを見ているような気分になるが、晴家の立場を考えると、あえてバカっぽく見せようという策略があるのかもしれない。「あのパンクジャックか?」と英寿に聞かれた際も、「人違いだ」とごまかす晴家。あからさまに怪しい。
最初のゲームは海賊ゲーム。自陣に立てられた海賊旗を、ジャマトに奪われないよう死守するというルール。参加者たちは数チームに分けられるのだが、英寿と晴家が同じチーム、道長は「若返りたい」と願う老人・丹波と、「10kg痩せて推しと結婚したい」と願う女性・八木沼と同じチームになってしまう。
ゲーム開始直後、早速、晴家が動く。
「お腹が痛い」という小学生のような言い訳をして戦線離脱。戦いを英寿一人に任せ、その様子を物陰から伺う。完全に英寿潰しにかかっている様子だ。
しかし、英寿の強さは尋常ではない。次々に押し寄せてくるジャマトの群れを、たった一人で殲滅してしまう。予想外の出来事に、晴家は、ただただ驚愕する。
一方、道長のチームは他の二人が怯えてしまってチーム戦としてまるで機能しない。ちなみに丹波が変身するライダーは「ケイロウ」。「敬老」と「フクロウ」をかけたのだろうか? マスクは以前登場したライダー・ギンペンのリメイクだろう。
また、もう一人の八木沼が変身するライダーは「レター」。マスクはメリーの毛をむしっただけのようだが、レターとは“Letter(手紙)”のことだろうから、羊モチーフだったメリーに対し、手紙を送った白ヤギさんがモチーフだろう。ひょっとすると、手紙を食べちゃった黒ヤギさんモチーフのブラックメリーも登場するかもしれない。
そのレターは、苦戦する道長を見て、蛮勇を奮い起こしてジャマトに立ち向かうのだが、戦い慣れしていないこともあり、あっさり命を落としてしまう。
目の前で命を落とした八木沼を見て、さらにビビり上がる丹波だったが、そこにまさかの救世主が現れる。
袮音(ナーゴ)だ。
完全新規のビートバックルを手に入れて戦場に舞い降りた袮音は、新たな力でジャマトたちを一掃する。昔懐かしいゲーム「ギターフリークス」のコントローラーを彷彿とさせるギターは、なかなか人気が出そうなアイテムである。このモチーフも、晴家が持つギターもフライングVだ。よくある瓢箪のような形状のギターよりも、いかにもロックっぽい雰囲気はあるが、スタッフの趣味だろうか?
母
こうして、本作のヒロイン・袮音も復活したわけだが、袮音の父・光聖を演じる笠原紳司さんは、2000年2月〜2001年2月まで放送されたスーパー戦隊シリーズ第24作『未来戦隊タイムレンジャー』で主人公のライバル・タイムファイヤーを演じたあの人だ。
母親の持ってきた見合い話に諾々と従おうとする袮音に釘を刺す様子を見ると、どうやら袮音のことをきちんと見てくれる父親のようだ。その後、命がけのデザイアグランプリに参加することまで了承したのかは不明だが、袮音にドライバーとIDを持ってきた不審者・ツムリを邸宅へと招き入れてしまう。母親のように、袮音を家に縛りつけたいという想いは無いように見える。
結局のところ、袮音が逃げ出したいのは母親から、なのだろう。
そんな袮音に「俺は、母に会いたい」とポツリ呟く英寿。
最後は「信じるか? 信じないか?」と、なんだか都市伝説を語る時のように煽るが、我々視聴者は、それが真実であることを知っている。そして、デザイアグランプリに勝利し、理想の世界を叶えることができるはずの英寿が、何故か「母親のいる世界」と書かないことも知っている。だが、その答えが何故なのかは知らない。
さらに、人が変わったとしか思えない景和と袮音。その理由もまだ不明である。
徐々に明らかになっていく『ギーツ』の物語に込められた謎。これまでに見たことのない仮面ライダーの物語は、まだまだ始まったばかりである。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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