2022年10月30日放送『仮面ライダーギーツ』第9話「邂逅F:Wake up! モンスター」(監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也)をレビュー
2号ライダー・タイクーンが負傷により退場してしまうという驚きの展開を迎えた「邂逅」編もいよいよラスト。
ギーツ、ナーゴ、バッファという3人のライダーによる、“デザ神”(デザイアグランプリの勝者に贈られる称号。理想の世界を創る権利を与えられるといった意味では、まさしく神)を賭けた戦いが始まる。
今回は盛大なネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第9話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『仮面ライダーギーツ』より引用している。
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
簡 秀吉
鞍馬袮音/仮面ライダーナーゴ
星乃夢奈
吾妻道長/仮面ライダーバッファ
杢代和人
ツムリ
青島 心
パンクロッカー
崎山つばさ
今井 透
前川 佑
ギロリ
忍成修吾
運営ナレーション:塩野潤二
ゲームマスターの正体
タイクーンの活躍により、ようやく決着がついたはずのナイト・ジャマトとの決戦だったが、ゲームはエンディングを迎えない。何故かナイト・ジャマトは無事のようである。それどころか、ジャマー・エリアは拡大し、エリア外へ蹴り出したはずの缶を、ナイト・ジャマトが飲み込んでしまうというまさかの展開。この緊急事態を前に、ナビゲーターであるツムリも動揺を隠せない。そこでついに、デザイアグランプリのゲームマスターが参加者たちの前に姿を現した。
その素顔は不気味な仮面に隠されているが、真っ白な服装には見覚えがある。声はボイスチェンジャーで変えられてはいるが、どこか聞き覚えのある話し方だ。そう。その正体は、ギロリである。
このゲームマスターは、第1話から、まるで藤子不二雄先生の『プロゴルファー猿』に登場したミスターXのようにひっそりと登場し続けてきたキャラで、当初からギロリっぽいとは思っていたが、予想通りすぎて拍子抜けしてしまった。しかも、そんな重要人物の正体を1クールも終わらないうちに明かしてしまって、今後10ヶ月も物語のテンションを維持できるのだろうかと不安になる。
とは言え、その正体を知ることができたのは視聴者だけであって、参加者たちには明かされていない。
よく観察すればバレそうなものだが、今のところ、執事のように甲斐甲斐しく自分たちの面倒を見てくれるギロリとゲームマスターが同一人物だとは気づいていない様子だ。いや、ひょっとしたら英寿だけは気づかないふりをしているだけかもしれない。
リアルたまごっち
さて、この終わらない缶蹴りゲームの幕を下ろすため、3人のライダーには謎のタマゴが与えられる。
ダチョウのタマゴほどの大きさはありそうで、所々に斑点のある見た目はウズラのタマゴにも似ている。真っ先に思い浮かんだのは、博物館や展覧会などで見覚えのある恐竜のタマゴだ。これを温めると、中からナイト・ジャマト攻略に必要な何かが生まれてくるらしい。昔どハマりした『ドラゴンクエストⅢそして伝説へ・・・』の影響か、こういった展開の末に生まれてくるのは大きな鳥というイメージが根強いが、おそらくは新しいバックルが出てくる、くらいのものだろう。
3人がランダムに手にしたタマゴの中身がそもそも違うのか、それとも孵化するまでの温め方によって中身が変わるのかはわからない。まるでリアル“たまごっち”だ。
とりあえず、思い思いのやり方でタマゴを温めはじめる3人。そんな状況でも、ジャマトはお構いなしに襲いかかる。こうなると、もはや“温める”というよりは“守る”と言った方が適切かもしれない。タマゴを小脇に抱えたり、安全そうな場所に仮置きしたりしながら、割られてしまわないよう気を遣いながら戦う3人。
まるでペットを愛でるように温めた袮音のタマゴからは「プロペラバックル」が生まれ、かなり雑に扱っていた道長のタマゴからは「ドリルバックル」が生まれる。しかし、「英才教育」と称してタマゴに話しかけ続けた英寿のタマゴだけは、まるで孵化する様子がない。プロペラを使って空から攻撃を仕掛ける袮音と、地上から攻撃を仕掛ける道長だが、これといった決定打を与えることはできない。
それどころか、ナイト・ジャマトの強力な攻撃により、道長はマスク割れ・・・とまではいかないが、頭部のツノが折れてしまうほどの大ダメージを受けてしまう。
左目にはヒビも入っている。気遣う英寿に、「ゾンビは死にかけてからが本番だ」と強がる道長。デザイアグランプリで命を落とした親友・透のためにも負けられないのだろう。しかし、道長の見せ場はここまで。その言葉通りにゾンビバックルの隠された能力が開花するのかと思いきや、そんなことはなく、単なる痩せ我慢だったらしい。
タマゴの中身
そしてここからがハイライトである。
道長の言葉に心を動かされたのか、いつまでも孵化しないタマゴに業を煮やしたのか、大切に温めてきたタマゴに激辛なスパルタ教育を施す英寿。ナイト・ジャマトによる渾身の一撃をタマゴで受け止める。
砕け散るタマゴの中から燦然と輝く光。その中から現れたモンスターバックル。
正直なところ、どこがモンスターなのかはわからないが、とりあえず目がついている。この目がバックルの操作によってパチパチと開いたり閉じたりするところがミソのようだが、なんだか昔ながらのおもちゃみたいである。今もあるのかはわからないが、抱き上げると目を開く赤ちゃんの人形とか、そういった類のものを連想してしまう。
といったことはさておいて、ブルーとイエローに彩られた「モンスターフォーム」の誕生である。このフォームでは、ギーツの目の色もブルーに変わっているところに注目だ。
胸や肩に刻まれた星のデザインや、まるでボクサーを意識したような両手のモンスターグローブからは、モンスターという名称が意図するものを感じ取ることはできないが、その破壊力はモンスターの名にふさわしい。繰り出したほんの数発のパンチで、ナイト・ジャマトをあっさり倒してしまう。
決着
これにてデザイアグランプリ決着。勝者は英寿。デザ神として、自身の理想の世界を創る権利を得るのだった。
が、舞台裏ではツムリが英寿の理想の世界を創ることに猛反対。
「こんな世界は創るべきではありません」とゲームマスター・ギロリに抗議するが、「これがデザイアグランプリだ」と英寿の希望を叶えるギロリ。ただし、その表情には怒りが窺える。デザイアグランプリというゲームを遊ぶ英寿の真意がわからず、翻弄されていることに苛立ちを覚えているのだろう。
それにしても、3人が静かに覚悟を決める決戦前夜と、怒涛のようなラストバトルの緩急は見事だった。
いつもとは打って変わった落ち着いたテンションで、ファンにライブ配信で決意を伝える袮音。
親友の魂に勝利を誓う道長。
行方不明の母に想いを馳せる英寿。
三者三様の覚悟の果ては、英寿の勝利で幕を閉じたわけだが、敗者の二人も決して惨めな様子はなく、むしろ次が楽しみになるような去り際であった。
次回は、英寿が創り上げた理想の世界の正体が判明するはず。さらに、正体不明だった運営側のライダー・パンクジャックも正体を明かし、さらに盛り上がりが期待される『ギーツ』の世界。徐々に明かされていく世界観から目が離せない。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /