2021年11月28日放送『仮面ライダーリバイス』第12話「弱さは強さ!?無敵のジャンヌ」(監督:杉原輝昭 脚本:木下半太)
新ライダーが、来るぞ来るぞと煽っておいて、爆誕したのは「変身失敗お姉さん」だったという前回。今度こそ、満を持して登場する新ライダー・ジャンヌの姿をその目に焼き付けて欲しい。
リバイスとは最高の相性を見せる杉原監督の神回をレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
【キャスト】
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーライブ:日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ:浅倉 唯
オルテカ:関 隼汰
フリオ:八条院蔵人
門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ:小松準弥
ラブコフ(声):伊藤美来
灰谷天彦:柏原収史
大森聖子:小野まりえ
大森 涼:本多陽登
若林優次郎:田邊和也
五十嵐幸実:映美くらら
五十嵐元太:戸次重幸
イキる灰谷
一輝と大二の活躍で、プラナリア・デッドマン フェーズ2から解放された聖子だったが、灰谷によって三度生み出されたプラナリア・デッドマンに攫われてしまう。
嫌がる聖子を、病気の息子・涼を救いたくないのか? と脅し、再び悪魔との共同契約を結ばせる灰谷。
プラナリアの高い再生能力を活かし、バイスタンプをも複製してしまう灰谷は、リバイとバイスを倒してみせると自信満々。
フリオに「キサマの目的は何だ?」と尋ねられると、考えたこともない、と答えつつ、自らが新たなギフとなり、アギレラと共に新たなデッドマンズを作りましょうか? と、本気とも冗談ともつかない態度でおどけてみせる。
ただのビッグマウスなのか、それとも今後の物語にも深く関わってくる存在なのか、今のところは見当もつかないが、さくらと睨み合って終わっていることから、今後も登場することは間違いないだろう。なかなか魅力的な悪役である。
ポニーテールとシュッシュッ
一輝たちが絶体絶命の場面にフワッと現れたさくら。憑きものが落ちたように、スッキリとした顔をしている。そこには“力み”のかけらも見えない。
「自分の弱さを受け入れた私は、無敵よ」
コブラバイスタンプをリベラドライバーにセットした途端、さくらが檻のようなものに取り囲まれるが、続いて鳴り響く「What’s coming up!? What’s coming up!?…」という待機音と共に、その檻が弾け飛ぶ。
この檻は、見た目から想像するに、さくらを閉じ込めるために築かれたものではなさそうだ。さくらの姿を、周りから見えないようにするための檻に見える。
つまり、さくら自身がどこかで気づいていた、本当の自分=弱い自分を、周りに見せたくないという想いが築いた檻ではないのか。いや、ひょっとしたら、そのありのままの姿を一番見せたくなかったのは、自分自身だったかもしれない。自分が弱いとは思いたくない。幼い頃に思い描いた「無敵」の自分でありたいという願いが築き上げた「強がりの檻」と言い換えても良いかもしれない。
それをぶち壊したというのは、さくらが自身の弱さを認め、それを周りにも曝け出すだす覚悟をした証だろう。
きちんと“五十嵐ポーズ”を決めて、変身の際に流れる音声は「リベラルアップ!」
厳密に言えば、「リベラルアップ」なんて英語はない。しかし、リベラル(Liberal)=“自由主義、革新的“という意味からしても、さくら自身が自由を手に入れたということだろう。ありのままの自分を曝け出すことは自由への第一歩なのである。
「Ah going my way! 仮面ライダー!蛇蛇蛇(ジャジャジャ)ジャンヌ〜!」
ネーミングの元ネタは、フランスの国民的ヒロインであるジャンヌ・ダルクだろう。凛としたさくららしい良い名前だと思う。
ブルーとイエローのカラーリングとポニーテールの雰囲気から、なんとなく、17世紀を代表する画家の一人である、ヨハネス・フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」を思い出した。
いや、きちんと見比べたら全然似ていないのはわかっている。そもそも「真珠の耳飾りの少女」はポニーテールではないし(ジャンヌの頭飾りも厳密にはポニーテールではなく、コブラの尻尾である)。しかし、思い出しちゃったものは仕方ない。この感覚を、一人でも理解してくれる方がいらっしゃれば嬉しい限りだ。
この仮面ライダージャンヌだが、今回は武器も持たず、その身一つで圧巻のノンストップアクションを見せてくれる。ポニーテールをブルンと振るってザコをなぎ倒した以外は、ひたすらシュッシュッとパンチやキックを繰り出し続けていた。まるでストⅡの春麗でも見ているかのような疾走感溢れるアクションは、共に戦うリバイやライブが霞むほど。
ふと『ゼロワン』の仮面ライダーバルキリーのデビュー戦を思い出すのは、同じ杉原監督だからかもしれないが、とにかく、初変身からフィニッシュまで息つく暇もないほどに魅せつけてくれる。前作『セイバー』で仮面ライダーサーベラを演じたスーツアクター・宮澤 雪さんの佇まいもキャラクターにバッチリ合っている。どんなに控えめに言っても、「最高」という言葉しか思い浮かばない。
それと、さくらの悪魔として登場したラブコフだが、最後までこのファンシーな姿のままとは思えない。
なんといってもコブラ=ヘビである。アステカ神話には、ケツァルコアトル(「女神転生」などのRPGに登場するケツァルカトルのこと)という羽根を持ったヘビの神様も登場するわけだし、いずれはそういった上位の存在へと進化するのではないか? ヘビっぽく脱皮するのかもしれない。逆から読んだら、フコブラ…。“フ”ってなんだろう??
ファンキーな先輩悪魔・バイスとの悪魔漫才も楽しみである。
次々に打たれる布石
今回もまた新たな布石がいくつか打たれている。
まず、さくらの元に届いた「リベラドライバー」だが、ジョージ・狩崎が一度は廃棄したものらしい。
前回、ジョージが珍しくガチで驚いているのを見て、彼さえ知らないドライバーなのかと思ったが、そうではなかった。ジョージが捨てたものをこっそり入手し、さくらに送りつけた誰かがいたということだ。これは、フェニックス内部に黒幕がいるということの示唆だろうか?
そして、アギレラ様が初めて語った自らの過去の断片。彼女は「物心ついた時からデッドマンズにいた」らしい。
てっきり、アギレラ様とオルテカとフリオの3人が結成した組織がデッドマンズだと思っていたが、そうではなかったことになる。元々あったデッドマンズという組織と、物心ついた程度の子供(アギレラ)をこれまで育ててきた誰かの存在が語られたわけだ。今後の展開に大きく関わってきそうな情報である。
さらに、ヒロミも心配だ。
戦いに身を投じる寸前、唐突に始まった自分語り。「昔はひ弱でいじめられっ子だった。いつかヒーローが助けてくれると思ったが、いつまで経っても現れてくれなかったよ…」何故、このタイミングでそんなことを? 隣の大二も首を傾げて「はあ」と間の抜けた返事しかしない。この流れでは確かに、ヒロミが空気の読めない暑苦しい男にしか見えない。笑うところなのかな? と思いきや、その後に続く「それが俺の戦う理由だ!わが命をかけて…世界を守る!」と叫んで変身するシーンからは、並々ならぬ気迫が感じられて、少し違和感を感じる。生き急いでいるような雰囲気とでも言おうか。
ドリルでザコを薙ぎ倒した直後、バッタゲノミクスへのゲノムチェンジをしようとした途端、身体に異変が起こり、気を失ってしまうヒロミ。倒れる瞬間のねちっこい演技は見ものだ。
「命をかけて」戦ってきた弊害が出てきたのだろうか? ここまで唯一姿を見せていないヒロミの悪魔に魂を喰われているのかもしれない。ヒロミは好きなキャラなだけに、退場してしまうのはなんとも寂しい。物語の最後までデモンズとしての勇姿を見せて欲しいが、果たしてこの願いは叶うのだろうか?
こうして布石は次々に打たれ続けている。これらがどのように回収されていくのか興味は尽きない。次回はリバイのパワーアップバージョン「バリッドレックス」が登場予定。カラーリングも含め、めちゃくちゃ好み。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /