2022年1月9日放送『仮面ライダーリバイス』第17話「裏切りの深化、バディの真価」(監督:杉原輝昭 脚本:木下半太)をレビュー
2022年一発目にして第2クールのはじまり。
悪魔ギフの復活を目前に、壊滅状態となってしまったデッドマンズ。ようやく役者が揃ったと思った途端、次々と消滅してしまった3人のギフテクスと、アギレラとフリオに反旗を翻したオルテカ。
『タイムボカン』シリーズの3悪人のように人気を獲得していただけに、今後の展開がどうなるのか興味津々の方も多いはず。それ以外にも、明らかに様子のおかしい門田ヒロミ、牛島家で謎の地下への階段を発見した五十嵐さくらなど、今後必ずどうにかなりそうな布石がてんこ盛りの『リバイス』を、第2クールも引き続きしっかりレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
【キャスト】
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーライブ:日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ:浅倉 唯
オルテカ:関 隼汰
フリオ:八条院蔵人
門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ:小松準弥
伊良部正三:西郷 豊
ラブコフ(声):伊藤美来
奥田陽介:塚本凌生
本村香苗:清井咲希
赤石英雄:橋本じゅん
五十嵐幸実:映美くらら
【挿入歌】
「VOLCANO」五十嵐一輝(前田拳太郎)&バイス(CV:木村昴)作詞:藤林聖子 作曲:tatsu
フリオの過去
ある日、しあわせ湯に奥田陽介という青年がやって来る。
彼は、フリオの過去を知る男。フリオの本当の名前は、玉置 豪というらしい。凄い情報持ってんな、と思ったら、いつの間にか、特別指名手配され、報道までされていた。こうなると、なんだか身バレしたキャバ嬢みたいな気恥ずかしさを感じる。
しかし、玉置がデッドマンズに魂を売った原因は、確かにこの陽介にあるようだった。
カードゲームが好きで、おとなしい玉置は、クラスの不良グループにはイジられ役。陽介以外に親しい友人もいなかった。不良グループのあからさまな嫌がらせにも、「気にすんな」と庇ってくれる陽介の存在はどんなに大きかったことだろう。
それが、不良グループに脅された陽介に裏切られた時の切なさといったら、その哀しみはどれほどのものだったろう?
結局、玉置は、その日を境にデッドマンズに入信し、フリオと名乗るようになる。前回、「アギレラ様に救われた」と言っていたのは、大袈裟ではなかったのかもしれない。
しかし、フリオが時折アギレラにかける、「スマーイル」という言葉が、実は陽介が玉置にかけてくれた言葉だったというのは、なんとも切ない。
忘れたいのに忘れられない。フリオにとっては無意識下のものなのだろう。一番楽しかった時の記憶、なのかもしれない。いずれ、フリオが人として生きようと考えを改めたとき、もしくは最期を迎えるときに思い出すことになりそうだ。
新生デッドマンズとギフテリアン
アギレラとフリオとは袂を分かち、カメレオン・デッドマンさえも失ったオルテカは、ついに孤独となる。しかし、その野心まで失うことはなかったようで、デッドマンズ信者たちを集めていた。
不平等な人間社会に絶望した人間たちにとって、悪魔による未知の世界がどれほど理想的に見えるのかは疑問だが、最低だとしか思えない現実とはまるで違う世界だと言われれば、少なからず期待感というものが芽生えるものなのかもしれない。
ギフ奪還を目指し、新生デッドマンズを掲げるオルテカは、手に入れたギフスタンプを使って新種のデッドマンを生み出す。
それが「ギフテリアン」。
これまで登場したバイスタンプによる契約とは異なり、押印された人間は悪魔に喰らわれてしまうらしい。◯◯ギフテリアンといったネーミングではないことから、個別にモチーフがあるわけではなく、ギフジュニアと同じように見た目の個性は奪われてしまうのかもしれない。
ただし、公式サイトによれば、その力はフェーズ2を遥かに上回るというのだから、ギフジュニアと同列に語って良い存在ではない。
押印された人間が、ギフテリアンへ変貌していく過程で目が洞穴のように真っ黒になるのは、なかなか気味の悪い演出である。
すっかり姿を変えた後、「(人間を喰らって)美味しかった・・・」と呟く演出も薄気味悪い。
登場!ボルケーノレックス
「デッドマンズの3人を助けたい」
デッドマンズベースでの決戦で、林、灰谷、偽若林の3人を悪魔から分離することができなかった一輝は、狩崎が開発中の強力なバイスタンプ「ボルケーノレックス」を使いこなせるようになるため、バイスと共に仮想空間で特訓を開始する。
二人とも素面(バイスを素面と言って良いのかは微妙だが、とりあえずライダー形態ではないので素面と表記する)で、敵として登場するリバイと戦うというものだが、やはり前田さんはなかなかの立ち回りを見せる。もちろん、バイスのスーツアクター・永徳さんとは比べるまでもないが、表情も含めて、一挙手一投足に凛々しさがある。
これと同様の特訓というのが、前作『セイバー』でもあった(「リベラシオン」という修練場で、倫太郎が特訓するというシーン)が、あれは、何もない空間で倫太郎がひたすら転げて苦しんでいる姿を映すだけだったから、異空間での特訓と聞くと、真っ先に「退屈そう」という印象を受けてしまうが、全然そんなことはなかった。
変身は、バリッドレックスバイスタンプにボルケーノレックスバイスタンプを合体させて押印する。
どことなく『ビルド』を彷彿とさせるようなギミックである。変身音は「ボルケーノ!コンバイン!バーニング!Fire!Come on!ボルケーノ!バーストアップ!オニアツーイ!バリヤバーイ!ゴンスゴーイ!パネェツヨイ!リバイス!We are!リバイス!」。
イエローのクリアパーツが目新しくていい感じだが、アクションの際、破損したら大変そうとか、余計なことも考えてしまう。アシンメトリーな額のパーツは、燃え盛る炎をイメージしているように見える。個人的にはバリッドレックスのデザインの方が好みではあるが、一輝の熱いイメージには、このボルケーノの方がピッタリくる。
このゲノムチェンジによって、バリッドレックスゲノムでは新規パーツがシールドのみだったバイスが全身に氷のパーツを纏うことになり、炎のリバイと氷のバイスという相反する属性を持った2人のライダーが誕生し、それぞれ単体でもリミックス発動時同様という凄まじい力を発揮する。
ただし、相反する属性であるが故、2人の息が合わないと、バランスが崩れてしまい、変身者へ大きなダメージがあるようだ。実際、特訓の際には、バイスが氷漬けになったり、一輝が炎に包まれるというシーンがあった。特訓終盤では、手にした「オーインバスター50」が火に包まれて、それを一輝が吹き消すといったシーンもあり、それを見たバイスが「一輝カッコいい!」と囃し立てていたが、あれは単にカッコよさを見せるためだけのシーンではなく、バランス的にはまだ微妙ということを示すシーンだったように思う。
次回は、そのバランスの悪さを克服した二人の姿が見られるようだ。当初から標榜していたバディ要素が、アクション面だけでなく、ストーリー上でもしっかり進化しているのは嬉しい限りだ。
そして、新たに姿を見せたフェニックス長官・赤石と狩崎の目配せの意味も気になる。
五十嵐さくらに「渡したいものがある」と呼び出し、あからさまに自宅の地下へと続く秘密階段へ誘い込んだ牛島光のことを考えると、実は正義の組織に見えるフェニックス自体がかなり怪しく、そのフェニックスを監視しているのが牛島一家(と、彼らが所属しているかもしれない未登場の組織?)なのか??
本当にまだまだ謎の多い『リバイス』。この2クール目で『ゼロワン』のようにおかしな方向に走り出さないことを祈るだけだ。
それにしても、オープニング映像も赤石の姿が映し出される新バージョンとなったことから、この赤石が今後のキーマンの一人になることは確実だと思われるし、それと同時に、若林司令官がいなくなってしまったんだ、ということを痛感し、寂しくなった。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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