2022年1月23日放送「デモンズ注意報、ヒロミ包囲網!?」(監督:坂本浩一 脚本:毛利亘宏)をレビュー。
「我が命をかけて、世界を守る!」と、変身のたびに叫んでいた門田ヒロミ。それは単なる覚悟の表明だったはずだが、悪魔が宿りし「デモンズドライバー」にとっては、そうではなかったようだ。
ずっと体調がおかしかったヒロミのメディカルチェックの結果は、なんと、脳や内臓など、表面上見えない部分の年齢が80歳オーバー。人生100年時代とはいえ、十分すぎるくらいのおじいちゃん。何故、こんな不可解な現象が? と考えるまでもなく、それは「デモンズドライバー」の仕業なのである。
そもそも「リバイスドライバー」、「エビルドライバー」、「リベラドライバー」は、それぞれに扱いは違えども、必ず装着者自身の中に潜む悪魔が姿を現していた。しかし「デモンズドライバー」だけは、これまで装着者であるヒロミの中に潜む悪魔が姿を現すことはなかった。ところが、今回はついに、その悪魔が姿を見せる。と言っても、声だけなのだが、ヒロミに語りかけてくる。それも最悪な形で。
今回は、ついに訪れたヒロミのファイナルカウントダウン(?)前編ともいえる内容。見どころを中心にレビューします。ネタバレもそれなりにありますが、最後までおつきあいいただければ幸いです。
キャスト
まずは今回のキャストをご紹介します。本作初登場(これまで登場していたものの、役名と演者名が番組内で初公開という方も含む)でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておきますので、他の参加作品も是非チェックしてみてください。「え? あの作品に出てた人?」といった発見があるかもしれません。
【キャスト】
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーライブ:日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ:浅倉 唯
オルテカ:関 隼汰
玉置 豪:八条院蔵人
門田ヒロミ:小松準弥
牛島 光:奥 智哉
デモンズドライバー(声):津田健次郎
山桐千草:奥山かずさ
田淵竜彦:宇治清高
赤石英雄:橋本じゅん
若林健次郎:田邊和也
五十嵐幸実:映美くらら
五十嵐元太:戸次重幸
狙われたヒロミ
メディカルチェックの結果を受け、「今後、仮面ライダーへの変身は禁止」と言われてしまったヒロミ。デモンズへの変身禁止。いわゆる「デ禁」である。
自身の体組織のほとんどの年齢が80歳超えになっているというこの異常事態の原因について思い当たるのは「デモンズドライバー」のみ。しかし、「まさか」と半信半疑のヒロミに、ドライバーの嘲笑う声が聞こえる。
こうなると、体の内部だけ老化するという現象は、いかにも悪魔の仕業に思える。装着者が見るからに老けてしまっては、周りがすぐにその異常に気がついてしまうためだ。「ヒーローになりたい」というヒロミの想いに応えて、超人的な力を貸し与えてきたその見返りがこれだ。だから悪魔は恐ろしい。
「デモンズドライバー」の声まで聞いてしまっては、もはや疑うべきは、それを提供した男、ジョージ・狩崎しかいない。狩崎に掴みかかり、「デモンズドライバーの秘密を教えろ」と迫るヒロミ。しかし、狩崎は「知って面白いことなんて無い」と涼しい顔。
それでも食い下がるヒロミに「強いていえば、あのドライバーは本来、キミのものじゃあない」と答える。
今回の冒頭で、フェニックス長官・赤石英雄の「デモンズドライバーの様子はどうだ?」という問いかけに「順調ですよ。これが元に戻るのも、そう遠い話ではなさそう」と狩崎が答えるシーンがあった。
つまり、「デモンズドライバー」は、新たに開発されたドライバーというわけではなく、過去、誰かが装着していたドライバーであり、それが何らかの理由で力を失っていた(既に十分強いが、本気のデモンズはこんなものじゃない、ということなのだろう)ことになる。その力を取り戻すため、フェニックスはヒロミを生贄にしていた、と考えられる。
では、そもそもの装着者とは誰なのか? 露骨に怪しいのは赤石長官だが、もうひとつ、ギフという可能性はないだろうか。研究という名目でフェニックスが保管しているギフ像だが、どうも復活を望んでいるようにも見える。結局、フェニックスもデッドマンズもギフという伝説の悪魔を蘇らせ、自分たちの欲望のままに使役したいだけではないのか? そのフェニックスの目的達成のために必要な装備が、エネルギーの満ちた「デモンズドライバー」なのでは? なんて想像をするのも楽しいものである。当たるかどうかといえば、まるで自信はないけれど。
そんなヒロミの体調不良に気づいたオルテカは、強力な五十嵐兄妹ではなく、まずはヒロミに狙いを定める。これもまた「デモンズドライバー」が目的のようだ。やはりこのドライバーは特別な臭いがプンプンする。
ひとりぼっちのアギレラ様
さくらの通う空手道場に現れたのは、フリオ。いや、元フリオだ。実際、「フリオ」と呼びかけたさくらに「玉置と呼んでくれ」と語りかけている。オープニングにも、フリオではなく玉置豪としてクレジットされている。
憑き物が落ちたようにすっきりとした顔で、「もう敵対する意志はない」と言い切る。
ただ、唯一の心配事は、残されたアギレラのことらしい。そこで、さくらにアギレラの話し相手になって欲しいと頼み込む。
今回のエピソードを見ただけでは、人間に戻ったフリオと、悪魔のままのアギレラとの関係がどうなったのか明らかにはならなかったが、まあ、今まで通りとはいかないだろう。フリオが玉置と名乗っていることを考えれば、フリオは自宅に戻っている可能性だってある。いや、そもそも指名手配されていたのではなかったか? 悪魔憑きが人間に戻ったからお咎めなし、とでも言うのだろうか? そうでなければ、逃亡生活は続けているのかもしれない。
しかし、こうしてアギレラのことを心配していることからして、少なくとも現在アギレラとは別行動をとっていると考えてよさそうだ。
その言葉を受けて、さくらはアギレラの隠れ家を訪れる。しかし、アギレラは意固地になって、さくらの気持ちを受け入れることはない。お互いに変身してぶつかり合う。
ジャンヌが強すぎるのか、それともアギレラに迷いがあるのか、今回はわりとあっさり負けてしまうアギレラは「もうここには来ないで!」と言い残して立ち去ってしまう。
「ただ、現実を見て欲しい」たったそれだけの言葉がアギレラには届かない。寂しそうに立ち尽くすさくらと、その二人の様子を影から見つめる牛島 光。
やはりこの第2クールは、彼ら牛島一家がキーマンとなる予感がする。
フェニックスの真の姿とは?
今回、ヒロミの同期として、新たに登場した二人。
一人は分隊長の田淵竜彦。ヒロミのことを誰よりも心配しているにも関わらず、それを素直に表現することのできないナイスガイ。ちなみに『ウルトラマンギンガS』のショウ。さらに『仮面ライダーフォーゼ』ではユニコーン・ゾディアーツを演じていたという特撮ファンにはおなじみの方。
もう一人は山桐千草。今や東映特撮には欠かすことのできない女優さんの一人、奥山かずささんが演じる、美しすぎるフェニックス隊員である。
この千草、ヒロミの命令によって、今は密偵としてオルテカの元に潜り込んでいることになっているのだが、実は二重スパイ。今はオルテカに従っており、同期である田淵がギフテリアンに変えられそうになっても、眉ひとつ動かさない。
「どうして・・・?」というヒロミの悲痛な叫びにも、フェニックスの真実を知ったからオルテカに従っていると冷静さを失わない。オルテカも「どちらが正義か教えてやる」と、謎に自信満々。
やはり、フェニックスという組織の後ろ暗さは確実なようだ。ただし、この主人公たちが信じる組織が実は…という展開は、前作『仮面ライダーセイバー』を彷彿とさせる。全く同じような展開にはならないだろうけれど、『セイバー』がものの見事にスベってしまったことで、似たような臭いがするたびにドキッとしてしまう。
さらに言えば、個人的には大好きだった『ゼロワン』も、第2クールは完全に明後日の方向に行ってしまい、失速した。
ここに来て初めて脚本がメインライター木下半太さんの手を離れたことで、若干の不安が頭をもたげたのは事実(毛利さんがダメというワケでは決してない)だが、『リバイス』はとにかく各キャラが立っているので、そんなにおかしなことにはならないだろうという、妙な安心感があるのも事実。
とにかく、この第2クールを上手く乗り越えられるかが、名作となるための試金石のような気がしている。第1クールをあれだけの熱量で終えた『リバイス』だからこそ、この第2クールも期待以上のものを見せてもらいたい。
若林再び
今回、今は亡き若林司令官が再登場したのは、かなりの胸熱ポイントだ。ファンは歓喜したことだろう。
それも、安易に蘇ったワケではなく、ヒロミたちの回想シーンに登場したのが良かった。若林司令官に救われ、憧れた若者たちの記憶の中にのみ生きているというのは、寂しくはあるけれど、失われた命は戻らないという大切なことを改めて教えてくれる。
とりわけ、同期入隊した仲間たちがメキメキと力をつけていく中、一人取り残され、落ちこぼれそうになっていたヒロミに「敗北し、挫折し、それでも這い上がってきた者こそが、最も強い真のヒーローだ」と、ヒーローの条件を説く若林。
ありがちといえばそれまでだが、『スラムダンク』の安西先生をはじめとして、こういうのが嫌いな人ってほとんどいないのも事実だ。「もう辞めよう」と現実から逃げ出そうとしていたヒロミは、この一言で生まれ変わり、ついに司令官の立場にまで上り詰めたのだから恐れ入る。
さらに、「デモンズドライバー」によって身体が蝕まれていることを知ってもなお、戦うことを辞めない理由にもなっていたというのだから、若林の死を知ったときの、あの号泣は頷ける。
さて次回は、そんなヒロミの「最期の戦い」と銘打たれたエピソードとなる。本当にその言葉どおりの展開となってしまうのか、それとも何か新たな展開が待っているのか?
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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