消えゆく記憶。契約の代償|『仮面ライダーリバイス』第31話感想

雷堂

2022年4月17日放送『仮面ライダーリバイス』第31話「幻想の導き、夢のあとさき」(監督:杉原輝昭 脚本:木下半太)

再びの声優祭り。

しかし、ただの祭りでは終わらない。

『仮面ライダーリバイス』放映当初から匂わされてきた、あの謎が、ついに明かされる。

それを知った一輝は、戦い続けることができるのだろうか?

注目の第31話をレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。

なお、ここで使用している画像は全て『仮面ライダーリバイス』から引用している。

五十嵐一輝

五十嵐一輝/仮面ライダーリバイス

前田拳太郎

バイス

バイス(声)

木村 昴

五十嵐大二

五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ

日向 亘

五十嵐さくら

五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ

井本彩花

ジョージ・狩崎

ジョージ・狩崎

濱尾ノリタカ

アギレラ

アギレラ

浅倉 唯

玉置 豪

玉置 豪

八条院蔵人

ベイル

ベイル(声)

津田健次郎(画像右側)

牛島 光

牛島 光

奥 智哉

御子柴朱美

御子柴朱美

藤岡沙也香

木村 昴

木村 昴

ジーコ

池山浩二

坂田秀晃

伊藤美来

伊藤美来/ラブコフ(声)

伊藤美来

五十嵐幸実

五十嵐幸実

映美くらら

赤石英雄

赤石英雄

橋本じゅん


前回、赤石の前に現れたバイス似の悪魔の正体はベイルだった。

復活したというのに動きを見せないギフと、宿主を失っているベイルは今後どのような展開を見せるのだろう?

ふたりの約束

ラフレシア・デッドマンによる幻覚の中で、一輝は高校時代の自分自身に遭遇する。親友・ジーコと共にプロサッカー選手を目指し邁進する毎日だ。

練習中、奪われたボールを取り戻そうと、一輝が仕掛けたスライディングによって、ジーコは大怪我。選手生命を絶たれてしまう。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

一輝にとっては必死さの現れだったのだろうが、結果的には親友の未来を奪うカタチとなった。

とめどなく溢れる涙を拭うこともせず、「サッカーを辞める」とひたすら謝罪する一輝に、「お前はプロになれ」と自らの夢を託すジーコ。

その想いを受け、練習に没頭する一輝だったが、徐々にそのプレッシャーに押しつぶされそうになっていく。

そうして一輝はサッカーを辞め、ジーコとの約束もキレイさっぱり忘れてしまうのだった。そこにはバイスが深く関わっていたのだが、当然、ジーコはそんな事情を知る由もない。自らの夢を潰し、約束まで放棄した一輝は、憎悪の対象でしかなかったのは当然だろう。前回でのギスギスした感じも頷ける。

そんな中、この幻覚世界で一輝とジーコは再会する。

過去を思い出した一輝は謝罪。ジーコは、一輝がとぼけていたのではなく、本当に過去を忘れていたことを知り、そのことを許すだけでなく、自らの夢を託してしまったことを詫びる。めちゃくちゃ懐の深い良いヤツだ。

仮面ライダーとして命懸けの戦いを続ける一輝と、駆け出しの声優として走り出したばかりのジーコがそれぞれの道を進もうとする様を見て、『仮面ライダーカブト』の名言を思い出す。

「同じ道を行くのはただの仲間に過ぎない、別々の道を共に立って行けるのが友達」

じわりと染みる良い言葉である。

そんなふたりが、リンクするようにそれぞれの道に立ち向かうシーンは5月の風のように爽やかである。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

しかし、一輝とジーコが幻覚の中で出会い、和解した、というのには何者かの明確な意図を感じる。優しさ、と言い換えても良い。それこそがラフレシア・デッドマンの宿主だろう。悪意は微塵も感じられない。

デッドマンの宿主は?

大方の予想通り、木村 昴さんが宿主だった。

練習中に起こったアクシデント。その時のコーチをしていたのが昴さん、という設定。

バカ正直、と言っても良いほどにまっすぐな一輝が、ジーコとのことを忘れたフリをしているようには見えなかったから・・・という理由でバイスタンプに手を出したらしい。

何故、バイスタンプでふたりの問題を解決できると思ったのか? フェニックスの傀儡としてバイスタンプを流通させていたデッドマンズなき今、どうやってバイスタンプを手に入れたのか? という謎は残るが、そんなご都合主義でも良いじゃない。

自らの代役としてアフレコに参加してくれ、と電話で告げる昴さんに、全てを察し、感謝の言葉を伝えるジーコ。

電話で話すジーコ
画像引用元:仮面ライダーリバイス

フェニックスに連行される昴さんに、深く頭を下げる一輝。

頭を下げる一輝
画像引用元:仮面ライダーリバイス

ふたりが和解したことを知り、笑顔を見せる昴さん。めちゃくちゃ良い表情。

笑顔を見せる木村昴
画像引用元:仮面ライダーリバイス

その全てが清々しい。

アフレコシーンでは、伊藤美来さんと堀川りょうさんが本人役で登場。

アフレコシーン(伊藤美来、堀川りょう)
画像引用元:仮面ライダーリバイス

伊藤さんはラブコフの声優であるが、結構ガチめのライダー好き。感無量であるに違いない。

そして、堀川りょうさんは、『ドラゴンボール』のベジータが有名だが、『アキバレンジャー シーズン痛』ではツー将軍として出演していた方でもある。今回は白塗りはナシ。渋くて素敵だ。

神は細部に宿る

切ないシナリオも見どころだが、杉原輝昭監督の細かい演出もニクい。

まずは、牛島 光がアギレラに向けた銃。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

この銃は、クロアチアで設計・製造され、アメリカのスプリングフィールド・アーモリー社が販売している半自動拳銃・スプリングフィールドXDMというモデルのようだ。

銃に詳しくない私が見ても、明らかに質感が高い。サバゲー愛好家であるという杉原監督ならではのこだわりだろう。しかし、ここは日本である。高校生の光が、こんなに物騒なものを持ち歩いていることに疑問も感じるが、そこはウィークエンドという組織の力だと納得する他ない。ただし、威嚇用のガス銃である可能性も否定はできないだろう。

次に、仮面ライダージャンヌの戦闘シーン。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

足を踏み込んだ際、アスファルトがひび割れる。ほんのわずかなシーンだが、踏み込みのインパクトの強さがわかる素晴らしい描写である。

ついでに言うと、五十嵐兄妹の変身時の決め台詞が、今回ようやく揃った(はずだ。さくらは今回が初出だと思う)。

一輝の「一気に行くぜ!(最近は一緒に行くぜ!など以前とは異なるバージョンも使われている)」、大二の「大事に行こうか!」に続くさくらの台詞は「サクッと倒すよ!」だった。名前を文字っただけでなく、いかにもさくらが言いそうな雰囲気もある良い台詞だと思う。

さらに、リバイスとホーリーライブの共闘シーンで、ローリングバイスタンプとライブガンとをすれ違いざま擦り合わせて攻撃を繰り出すシーンは、そこに至るまでのスピーディーな流れも相まって、最高だった。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

こういったアクションシーンでの細かい演出も最高だが、杉原監督回はラストシーン、もしくはラスト間際の余韻も見どころだ。

さくらがジャンヌに変身した回も、胸にじんわりと染み渡る何かがあったが、今回も一輝とジーコが思い出のグラウンドでサッカーボールを蹴り合うシーンにはグッときた。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

ベタだろうがなんだろうが、良いものは良いのだ。

消えていく思い出

画像引用元:仮面ライダーリバイス

家族写真の中から一輝の姿が消えてしまう、という謎の演出。これは『リバイス』の放映開始当初からあったものの、それがなんだったのかは全く語られてこなかった。しかし、ここに来て、その秘密がついに明かされた。

それはバイスとの契約の代償。

バイスが力を貸すと、その代償として一輝の中の思い出が消えていくらしい。

要するに、バイスも、やはり悪魔だったのである。しかし、少なくとも現時点ではその状況にほくそ笑んでいるワケではなさそう。むしろ、そのことを憂いている様子さえある。

とはいえ、バイスに悪意があろうがなかろうが、このままライダーとして戦い続ければ、大切な家族との思い出が全て消えてしまうかもしれない、という恐怖に慄く一輝。

自らの思い出を守るため、戦いを放棄することができないのがヒーローの哀しい定めだが、思い出がなくなる、というのは過去を失うということだ。つまりは抜け殻。

一輝が、みんなのために抜け殻になってでもギフを倒すのか、そんな哀しい結末が訪れないよう、バイスが自分を犠牲にするのか、もちろん他の終わり方もあるだろうけれど、『オーズ』の時のような寂しさが残る最後を想像して切なくなる。

もうひとつ、今回と前回を振り返った際、忘れてはいけないのが、「ごめんラジデンワ」である。

人気ラジオ番組「仮面ラジレンジャー」の単なるパロディだとばかり思っていたけれど、親友との約束よりも、押しつぶされそうなプレッシャーから逃れたいがために過去を忘れた一輝の「ごめん」と、その一輝を自らの夢に縛りつけてしまったジーコの「ごめん」というふたつの懺悔の伏線になっていたのである。

物語の終焉まで5ヶ月足らずとなり、そろそろ次のライダーの噂話も出てくる頃だが、まだまだ目が離せない『リバイス』である。次回はアギレラとさくらの物語。こちらも期待したい。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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