2022年5月8日放送『仮面ライダーリバイス』第34話「悪魔が悪魔を呼んでいる」(監督:石田秀範 脚本:毛利亘宏)
「わらう」と一言でいうのはカンタンだが、世の中には様々な「わらう」という表現が存在する。
今回のリバイスでは、様々なキャラクターたちが、実にバリエーション豊な「わらい」方を見せてくれた。
そして一方では、とっくに復活しているのに、未だに「わらう」どころか「語る」ことさえしないギフが異常な存在感を見せている。
第34話「悪魔が悪魔を呼んでいる」を、ネタバレも含みつつレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。
なお、以下の画像は全て『仮面ライダーリバイス』から引用している。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ
前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声)
木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ
日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ
井本彩花
ジョージ・狩崎
濱尾ノリタカ
夏木 花
浅倉 唯
玉置 豪
八条院蔵人
牛島 光
奥 智哉
御子柴朱美
藤岡沙也香
ベイル(声)
津田健次郎
狩崎真澄(声)
藤 真秀
牛島太助
矢柴俊博
五十嵐幸実
映美くらら
赤石英雄
橋本じゅん
咲(ワラ)う、さくらと花
前回、さくらによって悪魔から解放されたアギレラは、夏木 花としての生活を満喫していた。
さくらと共に、ウィンドウショッピングを楽しみ、スイーツの話題に花を咲かせる。
デッドマンズで女王様として君臨していた時には決してできなかった普通の生活だろう。
そんな二人を、ボディガードと称して追いかける二人(牛島 光と玉置 豪)の怪しさはストーカーのそれでしかない。
このあたりの対比の面白さは、石田監督っぽい気もする。
「アギレラ様の楽しそうな姿を見ていたいだけです」と言ったのは玉置だが、確かに、本作のヒロイン二人が咲いあう様子は、見ているだけで幸せな気分になれる。
ちなみに玉置のしゃくれた笑顔も、怪しさ満点で、私は大好きである。
笑う大二
前回、赤石長官に「風林火山」でコテンパンにされた大二。
「恐らくあれはギフの力」と予想するが、それ以外に何があるのか。
殴りかかる大二を、まるで『ドラゴンボール』のようにシュッと高速移動でかわして背後を取る。これが『ブリーチ』だったなら、「なん・・・だと?」案件である。
未だに戻らない朱美を救い出すため、そして何より、このフェニックスという組織を腐敗させていると思しき赤石を排除したいという想いで、大二はジョージとウィークエンドに協力を求めるのだが、大二の様子がどこかおかしい。
作戦の一か八か感も酷い。「それで大丈夫なのか?」と不安を口にする一輝に対する回答が「俺が必ず助ける!」である。そんなものは作戦とは呼べない。全体的に「俺が、俺が」と鼻息の荒さばかりが目につく。
「この命を賭けても、守りたい正義がある」などと熱っぽく語る大二の顔が、どこか笑っているのも違和感ありまくりである。
これではまるでヒーロー・シンドローム。
「大丈夫か?」と心配する牛島太助の気持ちがよくわかる。
実際、作戦は赤石に見透かされて、のっけから崩壊。
それなのに、強がりなのか何なのか、「やはり罠だったか!」と開き直る大二がコントのようである。誘い込まれたわけではなく、自分から仕掛けた作戦だろうに・・・。
その後、やぶれかぶれで突っ込もうとするが、赤石の一撃で大二は負傷。
一応、ホーリーライブに変身した直後だったというのに、この出血。赤石の恐ろしさが改めて浮き彫りとなった。
他のメンバーも皆、失神してしまい、作戦は大失敗となる。
嘲笑うベイル
前回、実体化したベイルが「このまま(元太が)隠れていれば、一人ずつ、家族が犠牲になる」と言っていた通り、戦う力を持たない母・幸実が狙われる。
ベイルとバイスがそっくりのデザインなのは、父・元太の悪魔と、長男・一輝の悪魔だから、というもっともらしいことが理由として挙げられるけれど、実は、ベイルのスーツこそが、バイスとして用意されたものだったらしい。
スーツアクターの永徳さんが、「動きづらい」ということで却下したスーツが倉庫に眠っていたのを、ベイルとして掘り起こしたというのが真実のようだ(『TTFC限定配信・仮面ライダーリバイス第34話オーディオコメンタリー』より)。
そんなベイルの魔の手から幸実を守るため、ボディガードをするバイス。
なんというか、どこからどうツッコめばいいのかわからなくなるが、これも石田監督っぽいといえば、そうかもしれない。
金八先生感満載。もしくは、ハイキングウォーキング。さすがに「卑弥呼さまー!」はやらなかったけれど。
こういったバイスの様子を見て、嘲笑うのはベイル。
人間のために身を呈するバイスに「お前も悪魔らしく生きてみろ」と煽り、助けに駆けつけた一輝を見ても、まるで動ずることなく「悪魔はいずれ人間に捨てられる。俺のようにな」と不安を煽る。
悪魔(ベイル)が悪魔(バイス)に悪魔の囁きを仕掛けたワケだが、これがバイスにはぐさりと刺さったのである。
一輝とのコンビネーションはガタガタ。
何気ない一輝の言動ひとつひとつに不安になる。
「疑心暗鬼」というヤツである。
これまで幾多の修羅場をくぐり抜け、ついに「リバイス」という最強フォームを手に入れた二人の絆を、ほんのわずかの囁きで揺るがしてしまうベイルの本物感。
ただし、津田ボイスで耳元で囁かれたら、誰だってあっという間にやられてしまうだろう、とも思うが、この唐突な展開は、『仮面ライダーセイバー』の第16章以降の流れを彷彿とさせて、ちょっとだけ不安になる。
疑心暗鬼になったバイスの質問攻めはウザいだろうが、一輝が急に挙動不審になった理由がイマイチわからない。
さらなるリバイスの強化に向けての試練として、うまくまとまってくれることを祈るばかりだ。
嗤う英雄
悪の本性をあらわし始めてからというもの、ねっとりとした顔芸が増えた赤石長官。
前回の「風林火山」も最高だったが、今回はこれでもかというほどに様々な嗤い方で視聴者を魅了する。
赤石を演じる橋本じゅんさんの引き出しの多さを垣間見る想い。
ジョージ・狩崎たちの作戦を見透かしていながらも知らぬふりの愛想嗤い、ギフには決して勝つことができないという諦めにも似た寂しさの香る嗤い、若輩者の一輝たちを睨め付けて小馬鹿にしたような嗤い、愚かな大二を見下した高嗤い・・・と、嗤いという表現だけでこれだけのバリエーションを見せてくれるのは圧巻だ。
それにしても、赤石が数千年前からギフとの契約で、人類の監視者として生き続けてきたという設定はやりすぎではないか。
『ジョジョの奇妙な冒険』第2部に登場したストレイツォのように、偶然出会った古代文明の圧倒的な力に魅了された人だとばかり思っていたのだが、想像を絶する設定である。
数千年前といえば、紀元前の話である。
人類が知性を得た頃、とある文明の王だった赤石は、ギフと戦うべきか、従順な下僕となるべきかを問われ、後者を選んだらしい。
そしてまたここに、御子柴朱美という新たな下僕が誕生する。
ギフの力によって、初登場のギフデモスへと姿を変える朱美。
絶体絶命の大二を救うのは果たして誰か?
新生・デモンズドライバー(以前は装着者の生命を食らうドライバーだったが、装着者の中の悪魔の力を制御することができるようになったらしい)と、新たにチラ見せされたクワガタバイスタンプ(?)を身につけるのは、ジョージか、まさかの牛島 光か、それともついに復活の門田ヒロミだろうか?
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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