2022年5月29日放送『仮面ライダーリバイス』第37話「激戦必至!決死の悪魔奪還ミッション!」(監督:柴﨑貴行 脚本:木下半太)
『リバイス』が、「平和と自由」のために戦う仮面ライダーの系譜であることを高らかに宣言したエピソード。
「かりそめの平和」のために心を砕く者と、「自由」を求めて無謀とも言える戦いを続ける者たち。その両者を繋ぐのは、「平和じゃない自由も、自由じゃない平和もイヤだ」という一言。
ネタバレも含みつつ、第37話の見どころをレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第37話のキャストをご紹介する。
以下で使用している画像は全て『仮面ライダーリバイス』より引用している。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ
前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声)
木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ
日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ
井本彩花
ジョージ・狩崎
濱尾ノリタカ
夏木 花/仮面ライダーアギレラ
浅倉 唯
玉置 豪
八条院蔵人
牛島 光/仮面ライダーオーバーデモンズ
奥 智哉
狩崎真澄(声)
藤 真秀
御子柴朱美/ギフデモス
藤岡沙也香
牛島公子※画面手前
乃 緑
幼いジョージ・狩崎
平賀 仁
アナウンサー
安藤聡海
牛島太助
矢柴俊博
赤石英雄
橋本じゅん
地獄を彷徨う天使
第35話において、公衆の前で、自らが命を絶たれるフリをしたことで、ギフの脅威を示した赤石。このまま姿を隠し、影で人々を操るつもりかと思った矢先、メディアを使って、自らが無事であったことを公表する。自分の命を救ってくれたのはギフで、そのギフと対話できた、という白々しいウソと共に。
その狙いは、人類への牽制だった。ギフを倒すべき敵ではなく、不可侵の脅威として認識しなさい、という。
「ギフに人類を滅ぼすつもりはない、ただ、刺激せずにおけば安全だ」というが、この言葉の真偽は不明である。ならば人類を生かしておく理由は何なのか? 食糧として? 奴隷として? 「触らぬ神に祟りなし」みたいにも聞こえるが、相手は悪魔である。それも異次元とも呼べる圧倒的な力を持つ。言うなれば、人類は眠る巨象の足元を歩くしかないアリのようなものだ。象が身じろぎもせず眠ってくれている間は何事もないが、ふとした弾みでカンタンに踏み潰されてしまうのだ。
そういった残酷な現実を知りつつも、「人類のため」にフェニックスを離れられない五十嵐大二。
前回、新たに登場したヘルギフテリアンに完膚なきまでに叩きのめされたことも大きいのだろう。ギフには勝てない、と完全に負け犬ムードになっていた。一輝やさくらの「協力して戦おう」という言葉にも耳を貸すことはなく、「これ以上、ギフを刺激するな」と言うばかり。
ただ、赤石が野に放ったギフジュニアたちを、死んだ魚のような目で、黙々と始末する。黙々と。ただ黙々と・・・。
しかし、それが不毛であることは、大二本人が一番強く感じているはずなのだ。人類を守るためとはいえ、この無間地獄のような毎日を積極的に肯定することなどできなかったのだろう。
倒しても倒しても湧いてくるギフジュニアたちを前に、雄叫びを上げる大二。
薄暗い地下で、頼りない照明に照らし出されたその影は、まるで堕天使である。
カゲロウという自らの中に潜む悪魔を排除し、完全に光の属性を持ったはずの大二が、行先の見えない闇の中で葛藤する。地獄を彷徨う天使の姿が、このカットに集約されているように思える。
光が強いほど影は濃くなる、というのは、よく耳にする言葉だが、今の大二はまさにそうだ。「正義のため」という強い光が、その闇を逆に深めている。
当初、一輝に嫉妬していた頃のことが、かわいらしく思えるほど。カゲロウを宿していたあの頃より、今の大二の方がよほど心配である。
これは、カゲロウ復活の兆しかもしれない。
朱美奪還計画
前回、一輝との戦いの中、消えゆく自我を振り絞って朱美が伝えてくれた「ギフを倒すには、ギフの力が必要」という一言をヒントに、一輝はウィークエンドと共に朱美奪還計画を企てる。
狩崎真澄の見立てでは、体内からギフの細胞を全て取り除けば、朱美は元に戻るはずだという。さらっと凄いことを言ったわけだが、ウィークエンドには、無免許の天才外科医でもいるのだろうか?
さらに、ピノコ・・・ではなく、朱美から取り除いたギフの細胞を使って、新たなバイスタンプを完成させるつもりのようだ。その名も「GIFFARD REX VISTAMP(ギファード・レックス・バイスタンプ?)」。
ギフの力を取り込んだリバイス。まさに無敵、と言いたいところだが、この最終フォームっぽいものが、次回、第38話で登場するという流れは、前作『仮面ライダーセイバー』でクロスセイバーが登場した時と同じ流れである。つまり、最終のようで最終ではない、という可能性があるということだ。
おそらくは、最終戦に向けて、もう一つ真の最強フォームが登場するということである。令和になってからのライダーは、『ゼロワン』のリアライジング・ホッパーも、『セイバー』のオールマイティセイバーも、原点回帰というか、初期のフォームに戻る、みたいな感じになっているので、それらを踏襲するのか、もしくは五十嵐三兄弟が合体するという『ジオウ』におけるジオウ・トリニティみたいなものだと予想する。
と、余談が長くなってしまったが、朱美奪還作戦開始直前、街にギフジュニアたちが出現したとの連絡が入り、朱美奪還は一輝とさくらが、ギフジュニア殲滅には花と光が向かうことになる。
ここで、花と光のダブル変身。
第35話では、仲間を救うため、緊急措置として変身しただけ(走りながらだったので、変身ポーズは無し)に見えた牛島 光だったが、オーバーデモンズの変身者として正式に認められたようだ。これが初の変身シーンとなったわけだが、その表情には、少し緊張が見られる。空手の正拳突きをイメージしたようなポーズは、シンプルだけど、光らしいと言える。
そしてもう一方の、一輝とさくらの前に立ちはだかるのは、ギフデモス(朱美)と、前回、大二を一撃で行動不能にしたヘルギフテリアンと赤石。
赤石は高みの見物。一輝とさくらを、まるで古畑任三郎のような台詞回しで称賛する。今回も赤石劇場は健在だ。
一輝は朱美を止めるため、ジョージに強化してもらったバリバリッドレックスで応戦する。バリッドレックスの強化版。以前はシールドだけだったバイスもきちんとゲノムチェンジしたのが特徴だ。凍らせて、そのままお持ち帰りしようということらしい。
それにしても、バリッドレックスはカッコいい。今のところ、個人的にはジャックリバイスに次いで好きなリバイスである。ボルケーノはイマイチ、リバイスはごちゃごちゃしすぎている。強いけど。
そして、さくらはヘルギフテリアンと戦うのだが、これがあまりに強力。何と言っても、ギフの超再生能力が絶大で、腹に風穴を開けられても、一瞬で修復されてしまう。
やがてさくらは劣勢に。
一輝とバイスが変身が解けてしまったさくらを助けようとしたところで事件が起きてしまう。
バリッドレックスによって氷漬けになった朱美が、赤石とギフに消滅させられてしまったのだ。
めちゃくちゃビームが出ているが、何故か、一輝もバイスもさくらも気づいていない。赤石たちが姿をくらました後で、ようやく朱美の異変に気づくという始末だ。
そこに大二が駆けつけるも、一歩及ばず。
「正しさのためにひとりぼっちにならないで・・・」とアドバイスし、「カッコいい男になりなよ・・・」と、大二の目の前で消滅してしまう朱美。やるせなさだけが残る。
大二の拳を止めた者
これまで抑えていた大二の感情が爆発する。そこには、単に朱美を救いたい、というだけではない、憧れとも恋心とも言えるものがあったようにも見える。
朱美を始末したのは一輝だと勘違いし、殴りかかる。さくらの制止にも耳を貸そうともしない。
「お前のおせっかいじゃ、世界は救えない」と雄叫びというよりは絶叫しながら、再び一輝に振り下ろされた拳を止める手。
「え?誰?」ではなく、「このタイミングでこの登場の仕方はまさか・・・」と、誰もが思ったはずだ。
「ただいま」と微笑む門田ヒロミ。最悪の場面で、最高の登場。これぞ、ヒーローの復活である。
とはいえ、オーバーデモンズは既に光のもの(ワンポイントリリーフか?)。ヒロミの変身が早く見たいぞ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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