『仮面ライダーセイバー』ファイナルステージ感想【ネタバレ注意!】

雷堂

2021年10月、福岡、大阪、東京の3都市で開催された『仮面ライダーセイバー』ファイナルステージ。

セイバーファイナルステージでの10剣士勢揃い
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

10月17日に中野サンプラザで行われた千秋楽の模様が、「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」にて配信開始された(2021年11月23日〜2021年12月26日までの期間限定)。1年間、様々な意味で話題になり続けてきた『セイバー』も、ついにラスト。その感想をレビューします。感じたまま、率直に書きますので、どうぞ最後までお付き合いください。

目次

キャスト

ここではファイナルステージのキャストをご紹介します。声だけの出演は割愛しますのでご了承いただきたい。

【キャスト】

神山飛羽真/仮面ライダーセイバー:内藤秀一郎

新堂倫太郎/仮面ライダーブレイズ:山口貴也

須藤芽依:川津明日香

富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ:青木 瞭

尾上 亮/仮面ライダーバスター:生島勇輝

緋道 蓮/仮面ライダー剣斬:富樫慧士

大秦寺哲雄/仮面ライダースラッシュ:岡 宏明

神代玲花/仮面ライダーサーベラ:アンジェラ芽衣

神代凌牙/仮面ライダーデュランダル:庄野崎 謙

ユーリ/仮面ライダー最光:市川知宏

第1部 スペシャルステージ

いわゆる“ヒーローショー”だ。しかし、住宅展示場などでの客寄せイベントとは別次元。なんたって、本物のキャストが登場するのだ。それだけでも大興奮なのに、演出がまた凄い。

子供のころからシアターGロッソで本場のヒーローショーを見ていた、という方には、それが当たり前なのかもしれないが、私などは、生まれて初めて見たヒーローショーが、近所の商店街主催の「電撃戦隊チェンジマン・ショー」である。怪人と戦闘員が、集まった子供たちを怖がらせる中、司会のお姉さんの呼びかけに応えたチェンジドラゴン(レッド)が飛び出してきたのは、なんと呉服屋の奥からである。しかも登場するのはチェンジドラゴンたった一人。戦隊メンバーとは方向性の違いから解散でもしてしまったのだろうか? あれを見てからというもの、「ヒーローショーなんて・・・」というひねくれた子供になってしまった。ヒーローショーに限らず、本物を見るというのは大切なことなのである。

話を戻そう。平和を取り戻したワンダーワールドの陰に生まれたダークワールドの脅威から世界を守るため、再び戦いに臨む10剣士というのがざっくりしたストーリー。総集編としての意味合いからか、ほぼ全ての主要人物が出揃う。夏の劇場版で倒されたはずのアスモデウスは復活。舞台に登場しない主要キャストは、尾上そら、ルナ、バハトくらい。ソフィア、タッセルは声のみ。ストリウス、ズオス、レジエルも怪人態で登場する(当然ながら、オリジナルキャストが声を当てている)。

このショーの目玉は大きく2つだ。

ひとつ目は、セイバーの新フォーム・アルティメットバハムートのお披露目。

画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

ひょっとしたら、今後公開予定の映画やVシネでも登場するのかもしれないが、一応は、このスペシャルステージ限定フォームとなっている。古くは「ファイナルファンタジー」あたりから有名になった竜王バハムートの名を冠するだけあって、デザインもカラーリングも、かなり迫力のあるものとなっている。

もうひとつは、まさかの新ライダー・タッセルの登場である。

仮面ライダータッセル
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

どこかピエロを思わせるデザイン。「IT /イット “それ”が見えたら終わり。」なんて映画を例に挙げるまでもなく、ピエロというのは常に不気味さが漂うものだ。TV本編のストーリーテラーとして登場したタッセルは、実は2,000年も前から大いなる力と向き合い、その力に溺れた仲間たちに胸を痛め続けていた。しかし、そんな苦悩を見せることなく、「ヴィクトール」という本名も隠し、派手な衣装を着ておどけて見せていた彼は、なるほど、ピエロにふさわしいかもしれない。

しかし、ストリウスに続き、「わざわざ仮面ライダーって名乗る必要あるのか?」という疑問だけは消えない。仮面ライダーの基本デザインや物語のフォーマットにガチガチに縛られる必要はないと思うが、ただの敵ボスに「仮面ライダー」と名付けるのは流石にいかがなものか。

自由のために戦うのが仮面ライダーだったはずである。正義や悪といった括りに興味はないが、せめて、人や組織を、何かしらの束縛から解き放つために戦っている、といった大義名分があって欲しい。単に世界を破滅させようとする人を仮面ライダーと呼ぶのにはどうしたって抵抗がある。そもそも見た目にしたって、ストリウスもタッセルも、ライダーに見えるかどうかはともかく、どちらも怪人にしか見えない。どう贔屓目に見たって、それは覆せない。

例えば、ウルトラの星からやってきた宇宙人をウルトラマンと呼ぶのであって、土星からやってきた宇宙人はただの土星人だ。しかし『セイバー』では、その土星人にウルトラマンと名づけるくらい違和感のあることをしてしまっている。それは本当に残念なことだ。

ただし、これまた倒されたはずの四賢神も登場し、『セイバー』(ほぼ)オールスターズが所狭しとひしめくステージは圧巻だ。単にわちゃわちゃしているだけ、と言えなくもないが、これがファイナルとすれば、自然にこういう流れになるだろうとも思う。昔、ファミコンで『コナミワイワイワールド』とか、『ファミコンジャンプ』なんてゲームがあったが、まさにそんな感じである。

第2部 トークショー

キャスト10名による『セイバー』撮影時のエピソードを語るパート。

セイバーファイナルステージトークコーナー
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

内藤さんの仕切りで展開される、いわゆる“ひな壇”トークだが、みなさん芸人ではないので、「アメトーク」みたいなものを期待すると肩透かしを食らう。しかし、ファンには嬉しいエピソードがいくつもあった。

個人的には、神代凌牙が鍛錬するシーンで、汗の出にくい庄野崎さんが、素振りの際に汗を飛び散らした秘密と、市川さんが語った、四賢神戦で仲間たちを助け続けたユーリの撮影秘話が特に興味深かった。

キャスト同士の仲の良さと、各々の人となりが存分に感じられた。神代兄妹のノリの良さは、Twitterなどでも知られるところだが、劇中の登場人物と実際のキャラが最もかけ離れているのは青木さんである。めちゃくちゃふざけるし、常にカメラ目線。決してディスっているわけではなく、そういったキャストの素顔に触れられるという意味でも、こういったイベントは貴重だ。返す返すもコロナウイルスが恨めしい。

このコーナーのラストでは、9人の剣士たちが次々に変身ポーズを披露する。冬映画やVシネの舞台挨拶などで、まだ観客と触れ合う場面はあるのかもしれないが、キャストが勢揃いで変身ポーズを披露するのは、流石にこれが最後だろう。

そういったこともあってか、全員の気合が素晴らしい。およそ1年前に『セイバー』がスタートした頃とは完全に別物。会場に変身音声は流されるものの、誰一人、聖剣もワンダーライドブックも持っていない、完全なエア変身なのだが、見えない聖剣とワンダーライドブックを握っているような錯覚を覚えるほどの迫力。

参加期間が短いキャストでも半年。当初からのメンバーは1年もの期間、変身し続けてきたのだ。もはや手足の一部となっているのかもしれない。山口さんの流れるような剣さばきや、神代兄妹の決め台詞などは圧巻だ。特に、演技経験ゼロだったというアンジェラさんの「ひれ伏しなさい」にはシビれる。Mっ気のない私でも、思わずひれ伏したくなる。

アンジェラ芽衣の変身ポーズ
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

大勢の観客を前にしての全員の「変身!」という発声も堂々たるものである。『セイバー』で初めて仮面ライダーに触れた子供たちの心には、どこまでも深く突き刺さるだろう。ヒーローの、あるいはカッコよさの原体験と言っても良いかも知れない。とにかく素晴らしい。

第3部 歌とダンス

キャストによる劇中歌の生歌、生ダンスを堪能する時間。

川津明日香さんによる「will save us」。

川津明日香「will save us」
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

内藤秀一郎さん、山口貴也さん、青木 瞭さんによる「Rewrite the story」。

内藤秀一郎、山口貴也、青木 瞭「Rewrite the story」
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

そして東京スカパラダイスオーケストラによるエンディング曲「仮面ライダーセイバー」に乗せて、出演者全員のダンスで締めとなる。

セイバーキャスト9名でエンディングのダンス
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

曲自体は配信サービスでいつでも聴くことが可能だが、こうしてキャストの生歌を聴く機会はないだろう。

特に『セイバー』は、コロナ禍により、毎年恒例の『超・英雄祭』も中止されたことで、こうしてファンを前にキャストが登場する機会というのが本当になかったので、今回は最強にレアなシチュエーションだったといえる。

中でも、川津さんの歌はバックに流れる蓮とデザストの映像も相まって、なんだかジーンときた。やはりあのエピソードは『セイバー』史上最高のシーンだったと思う。倫太郎がタテガミ氷獣戦記を手に入れるエピソードも相当熱かったが、個人的には僅差で蓮とデザストの決着に軍配を上げたい。ちなみにワーストは“セイバー坂”である。

セイバー坂
画像引用元:仮面ライダーセイバー

1年間の想い

そして、ラストはキャスト一人ひとりからファンに向けて最後の挨拶。

以前、別記事でも書いたが、『セイバー』という作品自体の評価は低い。それは世間だけでなく、私にとってもである。その理由について、ここで書くつもりはないが、通常、作品に対する評価にキャストの責任は無いと思っている。面白い作品かそうでないかは、ディレクション次第だと思うからだ。例えば、役者がイマイチだ、というのは、もちろんその役者の力量もあるだろうが、その役者を選んだ制作側の責任が大きいと思う。脚本にしたって、演出にしたって同様である。

しかし、『セイバー』はやらかしてしまった。メインキャストが二人も週刊誌の記事にされてしまったのだ。それもあって、視聴者からのバッシングは作品のみならず、キャストにまで及んだ。作品がつまらないという話だけであれば、制作側が盾にもなれるだろう。キャストだって、「自分のせいじゃない」と開き直ることもできるだろう。しかし、自らが招いてしまったことは自らが責任を取るしかない。しかも、一人は替えのきかない主人公である。他のキャストであれば、最悪の場合、退場するというストーリー展開も作れたかもしれないが、主人公が代わるということはあり得ない。スーパー戦隊では前例もあるが、それはチーム戦だからなんとかなったのであって、仮面ライダーシリーズでは、非常にしづらいはずだ。逃げ出すことも、外すこともできない上に、長年続いてきたシリーズだけあって、二郎系ラーメンばりに濃ゆいファンも多い。一度愛されれば末永く愛してくれるが、逆もまた然り。番組開始直後と言っても良いくらいの時期に取り沙汰されたスキャンダルだったため、随分長い間、針のむしろに座るような思いをしていたことは想像に難くない。

だからこそ、内藤さんの最後の挨拶にはグッときた。

内藤秀一郎による最後の挨拶
画像引用元:仮面ライダーセイバーファイナルステージ

もちろん、他のキャストの言葉にも感慨深いものは感じた。これまでの様々な想いが蘇っているのだろう。言葉に詰まりながら、ライダーへの愛を、セイバーへの愛を語り、ファンへの感謝をつづる。涙を流す姿に、こちらも涙腺が緩む。

そして、これまでは固く口をつぐんできたスキャンダルにもかすかに触れながら、「最後まで演じさせていただき、本当にありがとうございました!」と涙ながらに頭を下げる内藤さんの姿は流石に泣けた。自業自得だという人もいるかもしれない。しかし、この姿を見ても尚、「ライダーの歴史に泥を塗りやがって」なんていうのは、いくらなんでも酷すぎる。そこまでいくと、ただの弱い者いじめである。1年間も辛い想いを抱え続けてきた若き俳優さんの未来を黒く塗りつぶすような真似はするべきでない。

とはいえ、振り返ってみても、『セイバー』は、個人的な歴代ライダーランキングで言えば、下から数えた方が早いのは間違いない。低評価の理由は別記事にまとめているので、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。

しかし、これまで死力を尽くして取り組んでくれた全てのキャストとスタッフの皆さんには、やはり感謝しかない。はじまった頃のドキドキも、これからどうなるの? というハラハラも、『セイバー』という作品があったからこそ感じられたこと。コレジャナイとガッカリすることもあったけれど、1年間、我々視聴者の感情を揺さぶってくれたのは間違いない。仮面ライダーに関わってくれた全ての人たちの今後の活躍を願いつつ、本記事は終わりにしたいと思う。

本公演は、2022年3月23日にはBlu-rayで発売も決定しているが、冒頭にも書いたとおり、2021年12月26日まではTTFC会員なら見放題となっている。『セイバー』に特別の思いをお持ちの方や、コレクターでもない限り、こちらを見たほうが断然お得である。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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