劇場版短編『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』レビュー

劇場短編「仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本」を観てきました。

劇場版「仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」と同時上映の作品でしたが、”短編”と銘打たれている通り、上映時間22分という極めて短い作品。TV版の1話分未満の長さしかありません。この尺で、果たしてどのような映画になっているのか? 早速レビューします。

どうぞ、最後までお付き合いください。

目次

オススメ度

まずは結論。

この作品を一言で表現すると、「最初から最後までクライマックス!ただしビニールプール並みの深さ」です。

詳しくは後述しますが、22分という極めて短い上映時間の中で深みのある物語を表現するというのは並大抵のことではありません。それに「仮面ライダーセイバー」という作品自体が、様々な個性を持つ仮面ライダーが登場し、共闘することがセールスポイントとなっている作品なので、それぞれのライダーの活躍シーンを盛り込むだけでもそれなりの尺を必要とします。余計な前置き無しに本作のラスボスが登場し、その野望を挫くために戦うというストーリー展開は必須だったのでしょう。

全体の8割がバトルシーンと言って良く、「ドラゴンボール」のフリーザ編を20分弱の総集編にしたような全開バトルムービーになっているので、とにかくアクションシーンが見たいという方にはオススメ。

ただし本当にそれだけで、「ドラゴンボール」で多くの読者(もしくは視聴者)が感情を揺さぶられたクリリンがフリーザに殺されてしまうシーンほどのインパクトは皆無。視聴後、物語を反芻しようと思ってもビックリするほど「戦ってたなー」という記憶しか残りません。子供たちの未来を守るカッコいいヒーローたちの物語、といったイントロとアウトロがある程度なので、物語を期待する方は軒並み低評価かと。そういった方は同時上映の「ゼロワン」に全てを託し、20分ほど遠浅の海で潮干狩りでもしているような気持ちで過ごしてください。

ストーリー

聖剣に選ばれた剣士たち「ソードオブロゴス」の前に不死鳥の力を持つ剣士バハト/仮面ライダーファルシオンが現れる。バハトは封印されていたはずの「破滅の本」の力を解放し、闇の力で現実世界とワンダーワールドを飲み込もうとする。

それを阻止するため、バハトに立ち向かう「ソードオブロゴス」のメンバーたち。

圧倒的な力を誇るバハトを倒し、世界の破滅を止めることはできるのか・・・?

というのが、あらすじ。短いですね。

本作の見どころ

なんといっても、バハト/仮面ライダーファルシオンを、あの谷口賢志さんが演じていること。

「仮面ライダーアマゾンズ」の鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファ役を演じた谷口さん。「アマゾンズ」では、鬼気迫る演技で、悲しみを背負ったダークヒーローという、元々「仮面ライダー」と名乗る者たちが抱えていたはずの一側面を見事なまでに演じ切ってくれました。作品が変わっても、あの怪演は健在。見事に存在感たっぷりの悪役を演じてくれており、これが本作最大の救いでした。

また、特撮ヒーローものらしいアクションシーンも見どころのひとつ。ソードオブロゴスのメンバーたちが次々に変身するシーンや必殺技のシーンでは惜しげもなくド派手なエフェクトが画面を埋め尽くし、控えめに言っても「重そう」で「動きづらそう」な着ぐるみに身を包んだスーツアクターさんたちが縦横無尽に活躍する殺陣は圧巻です。

イマイチなところ

本を題材にし、「物語の結末は俺が決める!」という決め台詞がお約束のセイバーですが、この映画についていえば物語性はあってないようなもの。誰かと映画を観に行って、その後、作品について語り合いながら一緒にご飯を食べたりするのは映画を観る醍醐味のひとつですが、本作については観終わった後に残るものがほとんどありません。かろうじて、「子供たちの未来を守る」戦士の姿だけは印象に残りましたが、それは私が絶賛子育て中だからかもしれません。

しかしそれよりも気になったのは、”売り”であるバトルシーンにあります。それはライダーの共闘シーン。

仮面ライダーの共闘シーンというのは、歴代ライダーにおいてお約束であり最大の盛り上がりポイント。過去作においても、数え切れないほどの名シーンが生み出されてきました。

それは人々の自由と平和を守るため、自分を犠牲にし、孤独な戦いに疲れ果て、苦悩するライダーに、共に戦う仲間が現れるというところがポイントだったわけですが、本作「仮面ライダーセイバー」では、大勢のライダー達が共闘することがデフォになっているため、ここでの盛り上がりに欠けます。

物語序盤でソードオブロゴスのメンバー6人が次々に変身するシーンは、仮面ライダーというよりは戦隊ヒーロー達が一斉に変身しているよう。普段はバラバラのライダー達が、一つの目的のために力を合わせるといった雰囲気は薄いです。

その後のバトルシーンも各々の個性を活かした戦い方を見せてくれるとはいえ、やはり戦隊ヒーローたちがわちゃわちゃと戦っているイメージに近いもの。脇役の5人が雑魚を引き受けて、主人公セイバーがファルシオンと一騎討ちするところだけは、かろうじてライダーらしさを残してくれたように思いましたが。

この最大の盛り上がりポイントが、そもそもの設定のために活かしきれないというのは、「セイバー」が抱える最大のジレンマのようにも思えます。

子供目線での評価

セイバー劇場版短編には満足できず、辛めな感想を書いてきましたが、これはあくまでも”仮面ライダー過去作を見てきた大人”目線の意見。一緒に観た息子(5歳)の評価は全く違いました。

私は、同時上映でストーリーにも重きが置かれた「ゼロワン」には満足して帰ってきたのですが、息子は「ゼロワン」はひとつひとつの意味が理解できなず退屈で、YouTubeのバトルシーン詰め合わせのような「セイバー」の方が面白かったというのです。

確かに「ゼロワン」は設定からして子供には簡単に理解できるものではなく、どちらかといえば大人向けな内容だったかな? とは思いますが、YouTubeの影響の大きさも無視できません。

一昔前なら、何かの作品を観ようと思えばTVやDVDで観るしかないわけで、その中でもお気に入りのシーンを観るには何度も巻き戻したり、早送りしてそのシーンを探す必要がありました。つまり観なくて良い情報まで目に入る状況だったわけですが、そのおかげで全体の流れを掴めましたし、当初観たかったシーンではなかった思いがけぬ見どころに出会えたりもしたものです。

ところが今ではYouTubeを探せば、そのシーンだけ抜粋されていたり、似たようなシーン(例えば変身シーンなど)ばかりが詰め合わせにされていたりと、「欲しいところだけ手に入る」状況。欲しくないところを見る、なんてことは時間のムダと言わんばかり。確かにそういった観点からすれば、この上もなく楽しめる映画なんだろうとは思います。最短距離を狙うばかりではなく、寄り道でこそ見つかるものもあるんですけどね。

繰り返しますが、大人だけで視聴するならオススメはしづらいですが、お子さんと観るならアリだと思います。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

世界中の子供たちと、ヒーローを忘れられない大人たちに向けて、さまざまな”ヒーロー”に関するブログと、歴代仮面ライダーを中心としたイラストを書いています。マスク割れアイコンが目印。

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