「無理だ。普通のホモサピエンスに聖剣は抜けない」
そんな、やや狙いすぎた感のあるセリフが、いきなりTwitterでトレンド入りを果たした『仮面ライダーセイバー』第1章「はじめに、炎の剣士あり。」をレビューします。
「文豪にして、剣豪。」
そんなキャッチコピーで登場した令和第2段の仮面ライダーは、どんな物語を見せてくれるのだろう?
忖度なしに、感じたまま書きます。どうぞ最後までお付き合いください。
スタッフ・キャスト
まずは、主要スタッフとキャストをご紹介します。
ウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品などもチェックしてください。
【スタッフ】
監督:柴﨑 貴行
脚本:福田 卓郎
アクション監督:渡辺 淳
特撮監督:佛田 洋
音楽:山下 康介
【キャスト】
神山 飛羽真(カミヤマ トウマ)/仮面ライダーセイバー:内藤 秀一郎
新堂 倫太郎(シンドウ リンタロウ):山口 貴也
須藤 芽依(スドウ メイ):川津 明日香
ストリウス:古屋 呂敏
レジエル:高野 海琉
ズオス:才川 コージ
謎の少女:岡本 望来
幼い飛羽真:前川 伊織
亨:榎木薗 郁也
美沙:今野 杏南
亮太:西山 蓮都
ゴーレムメギドの声:白熊 寛嗣
タッセル:レ・ロマネスクTOBI
先代・炎の剣士:平山 浩行
【スーツアクター】
仮面ライダーセイバー:浅井宏輔
仮面ライダーカリバー:富永研司
【主題歌】
「ALMIGHTY〜仮面の約束〜 feat.川上洋平」東京スカパラダイスオーケストラ
作詞:谷中 敦 英語詩翻訳:川上洋平 作曲:川上つよし 編曲:東京スカパラダイスオーケストラ 歌:川上洋平
【エンディングテーマ】
「仮面ライダーセイバー」東京スカパラダイスオーケストラ
作詞:谷中 敦 作曲:加藤隆志 編曲:東京スカパラダイスオーケストラ 歌:茂木欣一
神山飛羽真
主人公である神山飛羽真は、「ファンタジック本屋かみやま」というエキセントリックな名前の本屋の店主にして小説家。
「ロストメモリー」という小説がヒットした若き成功者である。
”本屋の店主で、怪物退治”などと聞くと、私などは京極夏彦先生の「京極堂」あたりを連想してしまうのだが、店内には大きな自作のジオラマが鎮座し、ガシャポンなどもあったりと、一般的な本屋のイメージとはかけ離れている。本も読めるプレイランドみたいな雰囲気だ。
しかも、急に子供たちと寸劇を始めたり、本人も相当明るい。今のところ、「京極堂」的な雰囲気は薄い。
ただし、少年時代に印象的な何かがあったことだけは確か。どうやら飛羽真自身は覚えていない様子だが。
崩壊する世界。謎の剣士。空間の狭間に吸い込まれていく少女・・・。
これらが今後、どうやって物語を揺らしていくのか楽しみにしておこう。
ストーリーテラー
初回らしく、主要登場人物同士での説明セリフが多めなのはお約束だが、導入部でストーリーテラー・タッセルが語る、剣士とワンダーライドブックについての説明は、本作の世界観を理解する上で、かなり重要。
また、前作『仮面ライダーゼロワン』では、”A.I”がさらに進化した近未来といった設定であったのに対し、”聖剣”や”剣士”といったファンタジックな要素を盛り込んだ物語がどのように展開するのかには興味津々。
ファンタジー要素で塗り固めたエフェクトも含め、剣戟(ケンゲキ)にこだわったバトルシーンは本作の大きな特徴となるだろう。
放映前から10人以上の仮面ライダーが登場すると公表されていたことや、”ワンダーワールド”と呼ばれる異世界の存在など、戦国武将をモチーフにした『鎧武』の西洋版とでもいった雰囲気になるのだろうか。
そして、ナレーターでなく、ストーリーテラーを設けたのは初の試み。
タッセルの独特な雰囲気は、異世界ワンダーワールドに似つかわしくもあるし、ただのメタ的存在というわけでもないだろう。
まるでブラッドスターク
そして、ライダーファンなら誰もが気になったのは、3人のメギドと共に何かを企む様子の「仮面ライダーカリバー」に漂う「ブラッドスターク」感だろう。
ディテールもカラーリングも違うが、パッと見の雰囲気が似通っていることは事実。
意識してのことなのか、ネタ切れなのか。
いずれにしても、ブラッドスタークはライダー史上に名を残す屈指のヒールである。
カリバーも見た目だけではなく、ライダー史上に爪痕を残す名ヒールになってもらいたいものである。
巨大化するメギド
それよりも気になったのは、仮面ライダーのスーパー戦隊化、もしくはウルトラマン化である。
追い詰められた怪人「ゴーレムメギド」が巨大化して襲いかかってくるシーンのことだ。
仮面ライダーは人間サイズ同士での戦いにこそ醍醐味がある、と思っている。
自らも巨大化して巨大怪獣と戦うウルトラマンとも、最後は巨大化した敵と巨大ロボットで戦うスーパー戦隊とも違う。それがライダーのアイデンティティだ。『仮面ライダーJ』のように、ライダー自体が巨大化するなんて、個人的にはあり得ない。
人間サイズのライダーが巨大な怪人をぶっ倒すというのは、まるで『一寸法師』のような図式で、そういったところを面白いと感じる方もいらっしゃるだろうし、それを否定するつもりもない。
しかし、バトルシーンはどうしたってCGバリバリの合成バトルになる。そうなると、ライダーの醍醐味であるハイスピードな格闘戦は姿を消してしまう。
これがどうしても個人的には好みでない。ドラマとしては好きだった『響鬼』が、個人的なランキングでどうしても上位にならないのは、まさにそれが原因である。
初回ということもあり、たまたま今回は敵が巨大化した、というなら仕方ないとも思うが、これが当たり前になるようだと、ちょっと萎える。
物語は始まったばかり
先述した仮面ライダーカリバーと共にいる3人の男たち。
ストリウス、レジエル、ズオスというのが彼らの名前で、今回の悪役である。
その彼らと戦うのが、唐突に覚醒した仮面ライダーセイバー・神山飛羽真。
さやに収まった聖剣という、かなり独特なデザインのドライバーから聖剣を抜くことで変身するが、変身時に流れる大塚明夫さんのボイスがめちゃくちゃカッコいい。「烈火抜刀!」のひとことで、ご飯3膳はイケる。
そして、本作のヒロイン・須藤芽依は、オーバーリアクション気味でコメディエンヌ路線まっしぐらか?
ただし、過去に空間の狭間に飲み込まれた少女のことも気にかかる。まさかのダブルヒロイン?
さらに、ラストでライオンに乗って登場するという本作のバディ・新堂倫太郎。
「普通のホモサピエンス」の一言で、話題を独占してしまったが、さて、今後どういった活躍を見せてくれるのだろうか?
始まったばかりの物語が、果たしてどんな結末を迎えるのか、楽しみに観ていきたいと思う。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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