『仮面ライダーセイバー』第22章・感想|「双子」の個性と商品価値

雷堂

2021年2月14日放送『仮面ライダーセイバー』第22章「それでも、人を救いたい。」(監督:杉原輝昭 脚本:長谷川圭一)。

「個性的」であろうとするために、そもそもの「個性」を殺す。そんな不条理な現代を抉る。不満もあるけれど、それでもゲスト回はそれなりに輝きを放つのが『セイバー』。今回も、ヒーローらしいメッセージ性のあるエピソードとなっている。

見どころも、気になるところも、忖度なしに本音でレビューするので、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは今回のキャストをご紹介。

【キャスト】

神山飛羽真/仮面ライダーセイバー:内藤秀一郎

新堂倫太郎:山口貴也

須藤芽依:川津明日香

尾上 亮/仮面ライダーバスター:生島勇輝

緋道 蓮/仮面ライダー剣斬:富樫慧士

大秦寺哲雄/仮面ライダースラッシュ:岡 宏明

ユーリ/仮面ライダー最光:市川知宏

ストリウス:古屋呂敏

レジエル:高野海琉

ズオス:才川コージ

神代玲花:アンジェラ芽衣

尾上そら:番家天嵩

伊本マミ:MIO

伊本レミ:YAE

司会者の声:澤田賢一郎

タッセル:レ・ロマネスクTOBI

最強の子育て王

大泰寺が組織を離れたことでショックを受けた倫太郎と蓮の代わりに飛羽真の元に向かったのは、自称“最強の子育て王”尾上。

尾上と飛羽真
画像引用元:仮面ライダーセイバー

なんともこっ恥ずかしいネーミングだが、その強さはなかなかのもの。

重そうな大剣を振り回すだけでも大変だろうに、あの見るからにゴツゴツして動きづらそうなアーマーで臨機応変な対応を見せる。

セイバーとバスター
画像引用元:仮面ライダーセイバー

亀(玄武)の甲羅ということで防御力は高そうだから、わざわざ避ける必要はないのかもしれないが、それにしたって、普通じゃこうは動けないという見事な動き。凄すぎる。

これはもう、伝説のスーツアクター岡元次郎さんだから、としか言えない。それしか言えない。

しかし、ドラゴニックナイトなどの強力なライドブックでパワーアップを果たしているはずの飛羽真なのに、何故か標準仕様で戦って重傷を負う。

画像引用元:仮面ライダーセイバー

この後、立ったまま気絶するが、プルプル震えて生まれたばかりの子鹿のようだ。

再び現れるメギド

飛羽真が重傷を負って動けない間に、再び双子を飲み込んだメギドが現れる。

マミとレミ
画像引用元:仮面ライダーセイバー

飛羽真の代わりに立ち向かう大秦寺とユーリ、そして、ソードオブロゴスから尾上と蓮も参戦するが、双子を救うことができない。

そこに、現れた傷だらけの飛羽魔。マミとレミを救いたいと強く想ったとき、火炎剣烈火の刀身が赤く輝き、メギドから二人を切り離すことに成功する。

飛羽真素面バトル
画像引用元:仮面ライダーセイバー
レミとマミ
画像引用元:仮面ライダーセイバー

トドメはユーリ。おいしいところは前回登場したばかりのXソードマンが持っていくというわけだ。

今回は全てのパーツを右足に集め、キックでトドメ。

Xソードマン
画像引用元:仮面ライダーセイバー

『電王』のクライマックスフォームにも同様のモードがあったが、演出の派手さは『セイバー』が遥かに上。

Xソードマン
画像引用元:仮面ライダーセイバー

いかにも杉原監督らしい、アニメと実写の融合と言えるド派手なエフェクトで、この戦いは幕を下ろす。

「双子」という商品価値

双子のフードファイター”爆食ジェミニ”として登場するのは、MIOさんとYAEさんという双子の女優さん。以前、KINCHOゴンゴンのCMに登場して息のあったダンスを披露していた二人なので、見覚えのある方も多いのでは?

マミとレミの二人は、“双子”であることだけを商品価値とされることに苦悩し、しかし、いつの間にか慣らされてしまっていたという設定。

なんだかドラマだけの設定とは思えない。実際の芸能界でも、ザ・タッチやマナカナといった似たようなケースはすぐに思い浮かぶだろう。生々しい世界の描写がここにある。

そもそも”個性”とは、誰もが生まれついた時に持っているものだ。しかし今回の設定では、“双子”を個性として売り出されてしまっている。そこに個人であることは必要ない。元々の”個性”が殺されて、作られた”個性”を前面に押し出されてしまっている。つまり、本人の意思で動いているのではない状況だ。

二人を「遺伝子も姿形も何もかも同じ人間」と言い放つストリウスは、まさにプロモーションする売り手側の投影。

その意見を、「この世界に何もかも同じ人間なんかいない。誰もがみんな、それぞれ違う夢や未来を持った、ひとりひとり特別な価値がある人間だ」と、切り捨てる飛羽真の言葉は、そんな個人を商品扱いする世界へのアンチテーゼであり、“個性”や“意思”に蓋をされていた人々を救う言葉だったろう。

子供にもわかりやすく表現していても、その根底にはしっかりとしたテーマが見え隠れするというのは、まさに「絵本」のよう。

ファンタジックな要素を取り入れ、まるでスーパー戦隊のように集団で戦う『セイバー』は、前作『ゼロワン』よりも対象年齢が下がったと感じていたが、こうして世の中の不条理と戦う、あるべきヒーローの姿をきっちり示してくれたことは素直に称賛されるべきだと思うし、人間の自由のために戦う戦士「仮面ライダー」の系譜なのだと再認識できた回だった。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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特撮ヒーローのレビュー(旧作から最新作まで)が中心ですが、ガジェットやゲームなど、好きなものを思いつくままに書いています。僕と握手!
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