響鬼再び?|『THE LEGACY OF The Master’s Soul』

TTFC(東映特撮ファンクラブ)会員限定で無料配信されている『THE LEGACY OF The Master’s Soul』。2期前となる43番目のスーパー戦隊『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の前日譚といった内容のスピンオフで、2021年10月17日に第1話が公開。そして、2021年12月26日に、その最終話たる第3話の配信が開始された。

本記事では、その全3話を視聴した感想などを書いてみたいのだが、筆者は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』自体は未視聴である、ということはこのレビューを書く前に記しておく必要があるだろう。

何の偏見もない代わりに、本編にどのキャラクターが登場して、どのように描かれていたのか、全く知らない。だから、この手の外伝にはありがちな、唐突に本編のキャラクターが登場して歓喜する、といったファンならではの楽しみ方はできていないことはご承知おきいただきたい。

果たして、本編未視聴の私に、本編まで見てみたいと思わせてくれるような作品だったのかどうか? 多少のネタバレも盛り込みつつ率直にレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

スタッフ・キャスト

ここでは主要スタッフとキャスト(役名のある方のみ)をご紹介。ウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品も是非チェックしていただきたい。

【スタッフ】

監督・編集:たかひろや

脚本:下亜友美

アクション監督:原 隆太

音楽:吉川清之

【キャスト】

マスターレッド:黄川田雅哉

マスターブルー:渋江譲二

マスターピンク:沢井美優

ハナ:駒井 蓮

イスカ:花影香音

マユ:宮崎香蓮

コウ:一ノ瀬颯

メルト:綱 啓永

トワ:小原唯和

バンバ:岸田タツヤ

アスナ:尾碕真花

ニレ:松田賢二

いつの間にか『響鬼』を見ていたような感覚

本作は、リュウソウジャーを継ぐ者と継がれる者が織りなす物語である。

主人公は、マスターレッド、マスターブルー、マスターピンクの3人。

マスターレッド、マスターブルー、マスターピンク
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

弟子を育てるマスター(師匠)たちの物語ということで、どことなく『仮面ライダー響鬼』を想像してしまったのだが、いやいやどうして、どことなくどころか、これはガッツリ『響鬼』だ。

それは師匠と弟子との物語を描いているからというばかりではない。

マスターブルーの渋江さんは、『響鬼』でも青担当。しかも、『響鬼』で演じたイブキは、天美あきらという女の子を弟子として育てていたが、結局、あきらは自らの意思で師匠の元を去ってしまうという内容だった。それは、修行が辛いとか、そういったネガティブに彩られた理由からではなく、自らの道が、必ずしも“鬼”(『響鬼』の世界でいうライダーのこと)になることではないと悟ったからだったのだが、本作『THE LEGACY OF The Master’s Soul』でも、マスターブルーの弟子だったマユという少女は、やはり自分の進むべき道がリュウソウジャーになることではない、と気づいて身を引いたということになっている(マスターブルーに抱いていた恋心が決して叶うものではないと悟ったから、というのが本音のようだが)。

マユ
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

師匠と弟子の関係性を描こうとすれば、どうしたって似たような内容になってしまうのかもしれないが、キャスティングまでこれでは、流石に既視感が強すぎる。

さらに、先代・マスターレッドの友人役・ニレとして登場したのは松田賢二さん。

ニレ
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

松田さんも『響鬼』でザンキを演じていた。今回の役どころとザンキに何か共通項があるかといえば、共に最後は川で死んでしまうこと(今回は残念ながら、ケツ出しは無し)くらいのものなのだが、渋江さんと松田さんが揃い踏みするというだけで、『響鬼』感がより一層、色濃くなる。ファンとしては嬉しいけれど、それでも、そのことが気になって、現在進行形で視聴している作品に没入できなくなってしまうのは、やっぱりちょっと問題だろう。

例えるなら、藤岡弘、さんと佐々木剛さんと宮内洋さんの3人で『太陽戦隊サンバルカン』をやるようなものだ。誰がバルシャークをやるかは置いておいても、まるで、どこかのラーメン屋さんで、その店自慢のラーメンを食べながら、「これ、あそこ(違う店)のラーメンに似てるな」と思っているようなものである。製作者側からしても、精魂込めた作品に夢中になってもらえないのは寂しいはずだ。

マイナソーの宿主は?

本作は、マスターピンクの元で修行中のイスカという少女が、不思議な剣技を使うところから幕を開ける。

イスカ
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

敵の動きを封じるというこの剣技を、イスカはどこで身につけたのか? マスターたちがそんな疑問を抱く中、イスカと同じ剣技を使う強力なマイナソー(怪人)が現れる。

マイナソー
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

時を同じくして、マスターレッドを追いかけるハナという少女が登場する。ハナは、「以前、マスターレッドに危ないところを救ってもらった」というのだが、マスターレッドはまるで覚えていなかった。それもそのはず。実は、彼女は先代のマスターレッド・ヒイラギの娘だった。

ヒイラギは、何者かに殺されてしまったのだが、ハナは、現在のマスターレッドが、自分がマスターになるために父を殺したのだと信じていた。折悪く、そこに例のマイナソーが現れるのだが、「負けるな!」とマイナソーを応援するハナ。やはり、彼女が父を想う気持ちが、マイナソーを生み出してしまったのだろうか?

ハナ
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

本作では、このマイナソーの宿主が大きな役割を果たしている。それはいったい誰なのか? 所々にヒントが隠されているので、丁寧に見れば、その謎は自然と解くことができるだろう。これから視聴するという方に向けて、これ以上のネタバレは控えておくことにする。

爽やかな良作

全3話。各話およそ16分足らずのため、3話全て視聴しても50分もかからない。登場人物も少なく、いかにも低予算で作っていますという感じはあるけれど、物語は想像していたよりもキチンと練り込まれている。

実は当初、『リュウソウジャー』を未視聴だったこともあったし、たかだか3話程度のスピンオフなのでスルーしてしまおうか? とも考えていたのだが、見始めたらあっという間だった。

短いながらも、きちんと伏線が張られている上、どんでん返しも用意されており、短編ミステリを読むような感覚で犯人探しも楽しめる。しかも、先述したイスカの必殺技の件で、「必殺技には名前をつけた方がいい。ちなみにマスターピンクの必殺技は“ムーンライト・・・”」などという、ちょっとメタなネタ(マスターピンク役の沢井さんは、以前、実写版セーラームーンを演じていたことに由来する)もあったりと飽きさせない。

どうしてもリュウソウジャーになりたい、という一心で、突っ走ってしまったイスカをマスターピンクがなだめるシーンには、大人の女性を感じた。全3話の中でも、抜群に良いシーンだったと思う。

そして最後は、マスターたちからリュウソウジャーを受け継いだ若者たちのはじまりの物語として幕を下ろす。名作『ファイナルファンタジー』第1作目でオープニングタイトルが流れた時のような爽やかさだ。

コウとメルトとアスナ
画像引用元:THE LEGACY OF The Master’s Soul

確かに『響鬼』っぽさが強いといったところはあるけれど、一つの作品としてみれば十分に面白かったし、私はこれを見て、未視聴だった『リュウソウジャー』を見てみることに決めた。ひょっとしたら、リュウソウジャーメンバーの初々しい演技に面食らうかもしれないが、それもまた特撮の面白さの一つではあるだろう。

もちろん『リュウソウジャー』もTTFCで見放題となっている。

さて、TVシリーズを視聴した後で、再度、この作品を見たら、また印象が変わったりもするのだろうか? それもまた楽しみである。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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