『ウルトラQ』第1話感想|蘇る古代生物ゴメスとリトラ

雷堂

1966年1月2日放送『ウルトラQ』第1話「ゴメスを倒せ!」(監督:円谷 一 脚本:千束北男)

平均視聴率32.4%を誇り、怪獣ブームの火付け役となった伝説の特撮ドラマ。それが『ウルトラQ』である。

既に50年以上も前の作品であるが、特撮の原点にして頂点と言っても過言ではないだろう。特撮技術の高さは言うまでもなく、高々30分という尺の中で、毎回新たな謎を提示し、それを解決に導くストーリーテリングが素晴らしい。

本記事は、その第1話「ゴメスを倒せ!」をレビューする。

本作随一とも言える、凝ったオープニング映像も相まって、冒頭からワクワクが止まらない。本作の視聴方法もご紹介するので、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

『ウルトラQ』第1話のキャストをご紹介する。

ウィキペディアに記載のある方については、リンクを貼っておくので、是非他の参加作品などもチェックしていただきたい。

なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラQ』より引用している。

万城目 淳

万城目 淳

佐原健二

戸川一平

戸川一平

 西條康彦

江戸川由利子

江戸川由利子

 桜井浩子

東海弾丸道路・中村作業係長:富田仲次郎

東海弾丸道路・建設作業員A(アル中作業員):大村千吉

東海弾丸道路・建設作業員B:山本 廉

金峰山洞仙寺・住職:森野五郎

次郎:村岡順二

作業員:関田 裕

学者A:勝本圭一郎

学者B:山田圭介

毎日新報・新田記者:江原達怡

次郎の声:小宮山 清

地の底で目覚めたもの

東京と大阪をつなぐ弾丸道路(劇中での呼称だが、おそらくは高速道路のこと)の建設工事中に現れたのが、怪獣ゴメスである。記念すべきウルトラ怪獣第1弾。

画像引用元:ウルトラQ

ゴメス

身長:10m

体重:30,000t

学名:ゴメテウス

ファンには周知の事実だが、パッと見で気づいたあなたは鋭い。そう。これはゴジラの着ぐるみを改造したものである。

10mという身長は、およそ3階建てのビルに等しい。ゴジラと比べれば5分の1でしかないが、トンネル工事中に地中で出くわす存在としては、むしろリアリティのある大きさだとも言える。

いかにも恐竜然としたデザインだが、設定では、凶暴な肉食性の原子哺乳類となっている。地中深くで眠っていたが、弾丸道路の建設工事の影響で目覚めたらしい。

長い間、地中にいたためか、カメラのフラッシュに過剰な反応をするものの、最後は地上に姿を現し、工事現場をパニックに陥れる。突然のことに慌てふためく人々。対抗する兵器などもなく、逃げ惑う人々は助かることができるのか?

余談だが、このゴメスが絶命する直前、長い尻尾をのたうって苦しむのだが、この尻尾ののたうち具合が素晴らしい。誇張なく、生きているヘビのようであり、芝居としても断末魔の苦しみを見事に表現している。

謎のサナギ

そんな人々を救う存在とは?

長い眠りから覚めたゴメスと共に発見された謎の岩のような物体。

画像引用元:ウルトラQ

タマゴに見えるが、これはリトラと呼ばれる古代生物のサナギらしい。

鳥類と爬虫類の中間生物という設定なので、始祖鳥みたいなものだと思われるが、タマゴではなくサナギというのがよくわからない。

ゴメスの天敵とも言える存在で、それを知った次郎少年が、焚き火でサナギを温め、強制的に孵化させた。

画像引用元:ウルトラQ

リトラ

身長:5m

体重:10,000t

学名:リトラリア

怪鳥という言葉が似つかわしくない、かわいらしさのあるデザイン。雛鳥だからあどけなさが残っているのだろうか?

飛んだり、クチバシでつついたりする以外に、シトロネラアシッドと呼ばれる強酸性の液体を吐き出すこともできる。ただし、これを使うと、自身の呼吸器も溶解してしまうという諸刃の剣。命懸けで敵を刺すミツバチのようでもある(ミツバチの針には逆さの棘がついており、カンタンには抜けない。そのため、無理に抜こうとすると、ミツバチの体がちぎれてしまうのだ)。

ゴメスに襲われ、傷つけられる中、シトロネラアシッドを吐き出しゴメスを倒すが、自らも命を落としてしまう。

見え隠れする皮肉

画像引用元:ウルトラQ

自らが倒したゴメスの死体に折り重なるように絶命したリトラの姿に、「東海弾丸道路の北山トンネルを抜けると、小さな墓標が立っています。それは、次郎くんが建てた、勇敢なリトラの墓なのです」というナレーションが重なる。

こうして幕を下ろした『ウルトラQ』第1話は、『ゴジラ対モスラ』のような怪獣同士の戦いを描いた娯楽作的側面もあるけれど、人間の身勝手さを揶揄しているようにも見える。

人間を脅かしたゴメスと、人間を救ったリトラ、という構図ではあるが、リトラが人間を救ったのは、あくまで結果論でしかなく、リトラにその意志があったとは思えない。孵化したばかりのリトラには、人間との絆も義理もないからだ。生物である以上、まずは自分が生き残ることこそが本能であるはずだ。

それでも両者が戦わざるを得なくなった原因とは何か? それは人間である。自然破壊によって、2体の古代生物を揺り起こしてしまったのだから。しかも、孵化したばかりのリトラに、自分たちの身を守らせようとする傲慢さ。死んだ者を英雄化することで、自分たちの愚かさを帳消しにしようというのだろうか? 相討ちで共に命を落としたゴメスとリトラが寄り添うように死んだのは、どちらも身勝手な人間の犠牲者だということの暗示ではないのか?

もちろん表向きは、一人の少年の純粋な姿を描いたものである。リトラとゴメスは、お互いに戦うことが宿命であると信じた次郎少年が、「頑張れ!」と応援したことに罪はない。力尽きてしまったリトラに想いを寄せてお墓を建てた、というラストにも、少年の無垢な感情が垣間見える。

しかし、『ウルトラQ』が時を超えて今も愛され続けるのは、このように視聴者に考える余地を残した作品だからではないだろうか。単なる薄っぺらいエンタメに終始するのではなく、その背後に“人間の業”といった深淵なるテーマが垣間見えるのは『ゴジラ』なども同様だろう。

驚きのクオリティ

50年以上も前の作品だとは俄かに信じられないクオリティで描かれる『ウルトラQ』。

日本の特撮の礎を築いた、と言っても過言ではない本作を視聴するなら、選ぶべき動画配信サービスは『TSUBURAYA IMAGINATION』一択である。

他でも見られないことはないが、1話毎のバラ売りでは、仮に1話あたり100円だとしても、全話視聴するのに2,800円も必要となる。それが『TSUBURAYA IMAGINATION』なら、他のウルトラシリーズ作品なども楽しめて税込550円(月額)からとなっている。

かくいう私も、同サービスに加入しているので、実際に使ってみての感想を別記事にまとめておく。メリットもデメリットも率直に記載しているので、加入を迷っているならご一読いただきたい。

当ブログでは、『ウルトラQ』の各話レビューも記事にしている。そちらも併せてご覧いただければ幸いだ。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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