正直、なめていた。
TTFC(東映特撮ファンクラブ)にて限定配信が開始された『ヨドンナ』のことだ。
『魔進戦隊キラメイジャー』で大人気。悪の女性幹部・ヨドンナのスピンオフ。
本編でヨドン皇帝に殺されてしまったヨドンナは、地獄の入口で、とあるアイテムを手に入れ、現世に戻る。そこは地球。ヨドンナはいわば幽霊のような状態で、他人に姿は見えない。
とあるアイテムとは、死者と生者の心臓を繋ぐコード。それを繋がれた生者はエネルギーを奪われて死んでしまうが、死者は復活することができるのだ。
ヨドンナは、せっかくなら強いヤツから命を奪いたいと考え、充瑠(キラメイレッド)を狙うが、ふとした手違いで、その場にいた柿原瑞希にコードを繋いでしまう。
そのせいで、瑞希とだけは意思疎通ができるようになるのだが、ヨドンナが復活するまでには6時間ほど瑞希とコードを繋ぎっぱなしにしなければならない。しかし、その時間内に瑞希が死んでしまったらヨドンナも消滅してしまうらしい。そんな時に限って瑞希は大きな事件に巻き込まれてしまう。
ヨドンナは6時間、瑞希を守り復活を遂げることができるのだろうか?
ただのかわいこちゃんを使ったスピンオフだろうと思っているなら、もったいない。
本記事では4つの見どころをご紹介。ある程度ネタバレもするが、これから本編視聴予定の方でも楽しめる程度に留めておくのでご心配なく。
スタッフ・キャスト
ここでは主要スタッフとキャストをご紹介する。
それぞれウィキペディアにリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品についてもチェックしていただきたい。一部リンクを貼っていない方は、ウィキペディアに記載のない方である。
【スタッフ】
監督・アクション監督:坂本浩一
脚本:井上テテ
音楽:松本淳一
【キャスト】
ヨドンナ:桃月なしこ
柿原瑞希:西葉瑞希
柿原章介:岸 洋佑
西之浦矢那子:伊澤彩織
頭尾:才川コージ
嶋佐:島津健太郎
マカロン:天使もえ
苺大福:二階堂 夢
取引相手:ジャッキーちゃん
常連客A:村岡弘之
常連客B:寺本翔悟
熱田充瑠:小宮璃央(友情出演)
射水為朝:木原瑠生(友情出演)
モーズの声:神谷浩史
ヘルンの声:江川央生
ダチュラの声:高戸靖広
江ノ島徹:神尾 佑
鯨咲秀樹:石黒英雄
【挿入歌】
「キラフル ミラクル キラメイジャー/出口たかし」作詞:藤林聖子 作曲:岩崎貴文 編曲:籠島裕昌 振付:幸
虚をつかれるほど暴力的
「スーパー戦隊」シリーズといえば、同じニチアサ枠の「仮面ライダー」シリーズよりも明らかに子供向けの作りである。そのスピンオフである本作も、どうせその延長線だろうと思っていたら、のっけから流血シーンで驚かされる。
基本、「血はNG」というニチアサ枠は軽く飛び越えた様子。その後も、「臓器売買」といった露骨にヤバいキーワードが飛び交う。
刃物を使ったり、殴ったり蹴ったりしても、変身した姿なら生々しさがなくなるのは、『ガンダム』などと一緒である。首を落とした、腕を切断した、という残虐なシーンも、生身の人間同士の殺し合いなら物議を醸すだろうが、ロボット同士や、まるでロボットのようなスーツを着た存在同士なら別物に見えてしまうというマジック。
斬られても血ではなく、火花が散るだけなら尚更である。そう考えると、やはり『クウガ』は特別だった。
目を疑うほど本格的
本作は圧倒的に本格的なアクションも見どころである。
序盤では屋外で、ヤクザ相手に瑞希をリードして戦うシーン(ヨドンナの姿は他人には見えていない)では、瑞希を二人羽織の要領で操る。攻撃する側も、受ける側もかなり大変そうなシーンだ。
さらに後半では、メイド喫茶でメイドたちを相手に連続バトル。動きも激しく、かなり本格的なアクションで正直驚く。
頭尾役の才川コージさんもアクロバティックなアクションを披露している。
才川さんは『仮面ライダーセイバー』でのズオス役も記憶に新しい。頭尾(ズオ)ってこと? ズオスの時もかなりの身軽さでアクションシーンを盛り上げてくれた。
圧巻なのは、最後に登場する用心棒・西之浦矢那子役の伊澤彩織さんである。
靴の先に仕込んだナイフを使い、ヨドンナに迫る。まるで「仮面ライダーキックホッパー」ばりの足技が華麗だ。動きが激しく、静止画像を貼ったところで魅力は半減以下となってしまうので、ここは是非とも本編をご覧いただきたい。
最後は、その西之浦に追い詰められるものの、唐突に瑞希がお得意のダンスを披露。それがたまたま西之浦にヒットし、倒せてしまうという、よくある逆転劇だが、このあたりはコメディタッチな本作とマッチしていて悪くはないと思う。
けしからんほどにセクシー
このスピンオフが発表された時から「セクシーバイオレンス」と銘打っていたとおり、セクシーさも本作の見どころとなっている。
戦いの舞台が「メイド喫茶」のため、メイドさんの格好をした女の子たちが多数出演する。中でも、マカロンちゃんと苺大福ちゃんというメイドさんを演じるのは、天使もえさんと二階堂夢さんというセクシー女優さん。特撮ファンではないけれど、このお二人にはいろいろお世話になってます的な視聴者も呼び込めているのではないだろうか?
メイド喫茶に潜り込み、絶体絶命のピンチに陥った瑞希を救うため(瑞希が死んだら自分も消滅してしまうため)に瑞希の身体を一時的に乗っ取るヨドンナ。その方法は、まさかのキス。
ユリ展開。これも小さなおともだちには刺激強すぎである。
ここから先はヨドンナによるアクションシーン。傍目には瑞希が戦っているという体なのだろうが、映像的にはメイド姿のヨドンナが激しいアクションを繰り広げる。ファンとしてはたまらない映像だろう。
ヨドンナは感情を理解できるのか?
ここまでお読みいただければおわかりのとおり、本作は絶対に子供向けではない。大きなおともだち向けのコンテンツだ。
なので、万が一にも小学生以下のお子さんが「ヨドンナおねえちゃんが観たい」などと言っても、華麗にスルーしたほうが良い。
ただし分別のある大人にとっては、それなりに見応えのある作品となっている。
もちろん『キラメイジャー』を観ていた人の方がわかる部分は多いけれど、そうでなくとも意外とスルッと飲み込めるわかりやすさと、思った以上に本格的なアクションシーンに満足できるはずである。
最後はありがちではあるけれど、どんでん返しも用意されており、9月配信予定の『ヨドンナ2』への伏線も張られて終わる。
瑞希はこのまま、ヨドンナ復活の養分にされてしまうのか?
それと忘れてはならないのが、喜怒哀楽といった「感情」を理解し始めたヨドンナは、ここからどんな変化を見せてくれるのか? というのが4つ目の見どころだろう。これこそが瑞希との関係性を左右する最大のキーワードになりそうだ。
大いに期待の高まる続編に期待したい。というか、これほどスピンオフを楽しみにしている自分に驚いている。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。