冒頭から野球をしていた少年たちが暴漢に襲われるという衝撃的な幕開け。
誰が、なんのためにやったのか? 今回も、たまたまそこを訪れた私立探偵・早川健がその謎を探る。
『快傑ズバット』第7話「悪い風だぜ 港町」(監督:田中秀夫 脚本:滝沢真里)をレビュー。 最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第7話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品も是非チェックしていただきたい。
【キャスト】
快傑ズバット/早川 健:宮内 洋
飛鳥みどり:大城信子
寺田オサム:中野宣之
英次:溝口舜亮
大倉:久野四郎
グレートコング:ミスター珍
道斉:関山耕司
ワタル:藤原哲也
ツトム:中道 剛
団員:隼田勇蔵
首領L:はやみ竜次
ナレーター:青森 伸
東条進吾:斉藤 真
マイナス団
今回登場する悪党が「マイナス団」だ。
舞台となったホテル「秀水園」から5億円もの大金を脅し取ろうというのが今回の目的。5億円といえば、今でも相当な大金だが、当時の価値は今とは比べ物にならなかったはずだ。ちなみに厚生労働省のデータによれば、『ズバット』が放映されていた1977年のサラリーマンの平均月収は158,400円となっている。
秀水園に送った脅迫状にマイナス団のマークが書かれているが、なぜかサメ。1975年に大ヒットした『ジョーズ』の影響かもしれない。
ボスは、いかにも悪そうなメイクの似合う不死身の道斉(ドウサイ)。
用心棒はグレートコング。
演じるミスター珍さんは、元プロレスラー。
だからなのか、いつもならピストルの早撃ちやナイフ投げといった、何かしらの技を早川と競うのが『ズバット』のお約束だが、今回はただの喧嘩。
グレートコングは力を見せつけるために、プールサイドに置かれたテーブルやイスを叩き壊す。一度、空振りするが、それはまあご愛嬌だろう。
早川も「なるほど。結構な腕前だ(何の?)。見たところ、日本じゃあ2番目だ(だから何の??)」といった、ぼんやりとした言い方しかせず、その後もただの喧嘩が繰り広げられる。
伊東温泉「秀水園」
第6話に引き続き、伊東温泉・秀水園とのコラボ回。
前回のレビューで触れなかったのは、単に撮影現場の提供程度にしか見えなかったためだが、今回は主張が激しい。
冒頭で登場する野球少年は、「僕たち、秀水園の野球チームなんだ」とわざわざ説明をかますし、秀水園がマイナス団から5億円を要求されている理由を「伊東で一番お湯の量も多いと評判のホテルだから」と支配人・大倉が説明する。
最近は、ここまで露骨なものは無いけれど、昔はこういうのがよくあった。地方のホテルが、撮影スタッフやキャストに格安もしくは無償で宿を提供してくれる代わりに、しれっとホテルの看板を映したり、ホテル名を連呼する。要するにCMだ。
今なら人気YouTuberに来てもらったりするんだろうが、当時はTV黄金期である。『仮面ライダー』でも「次回は北海道ロケ!」なんてことを次回予告でナレーションしたりしていた。ヒーロー番組としての緊張感などどこにもないが、おおらかな時代だったとも言える。
拷問。爆弾。そして快傑
少年を人質に取られ、定例の拷問を受ける早川。
逆さ吊りにされ、竹刀でめったうちにされるのは、昭和の時代劇ではお約束だが、想像しただけで痛そう。
さらに爆弾を仕掛けた船に少年と共に閉じ込められ、絶体絶命のピンチに陥るが、奇跡のイリュージョンで脱出し、愛車・ズバッカーで海岸線を流して登場。潮風が心地良さそうだ。ドライバーズシート背面の大型フィンがうるさくて、カモメの声も波の音も一切聞こえないだろうが。
「罪もない人を恐喝し、金を取ろうなど。不死身の道斉、許さん!」
あれ? いつもの「あまつさえ」は? 日本一バトルと言い、最後の名乗りと言い、今回は全体的にちょっと大人しいズバットである。
それはそれとして、まずは黒服たち(ザコ)を薙ぎ払い、グレートコングをぶっ倒す。
目の前で部下たちが次々と倒された道斉はトンファーで応戦。根性を見せる。
しかし最後はあっけなく、ズバットアッタァック(股間にもんまり)で撃沈。不死身なのに。いや、死んでないから不死身は本当なのかも。知らんけど。
最後は、いつものカードを残して早川は立ち去るが、「誘拐」以外の罪については言及していない。野球少年たち(生死は不明)を襲ったことも、5億円を脅迫していたことも無かったかのようになっているのは大人の事情か? それとも、単にカードに書ききれなかっただけだろうか。
親友・飛鳥五郎を殺した犯人を求め、早川の旅は続く。何の役にも立たない空気ヒロイン・飛鳥みどりと、謎の家出少年・オサムの旅もまた続く。せめてオサムは家に帰れ。季節外れの半ズボン(ホットパンツ?)は寒そうだ。お前のファッションリーダーは野比のび太か? お前、ひょっとして”ノビター”か?
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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