2021年3月7日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第1カイ「キカイ世界はキキカイカイ!」(監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
45番目のスーパー戦隊『機界戦隊ゼンカイジャー』がスタート。デザインといい、メンバー構成といい、放映開始前に公式発表された設定を見る限り、かなりのイロモノ臭がするけれど、果たしていかがなものだろうか? 歯に衣着せぬ率直な感想をお伝えしたい。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
スタッフ・キャスト
ここではスタッフとキャストをご紹介。ウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
【スタッフ】
監督:中澤祥次郎
脚本:香村純子
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田 洋
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
セッちゃん(声):福圓美里
ボッコワウス(声):中田譲治
イジルデ(声):竹田雅則
クダイター(声):石川英郎
ナレーション:ゴブリン
バラシタラ(声):乃村健次
ゲゲ(声):鈴木達央
警備員:若園尚哉 ・ 中村 敦
リポーター:立川ユカ子
MC:赤堀二英
パリピ:松本城太郎
子供:小林郁大 ・ 町田 絢 ・ 黒岩竜乃介
五色田 功:川岡大次郎
五色田美都子:甲斐まり恵
介人(幼少期):上野山夢輝
五色田ヤツデ:榊原郁恵
【主題歌】
「全力全開!ゼンカイジャー」つるの剛士
コーラス:ことのみ児童合唱団 作詞:マイクスギヤマ 作曲・編曲:園田健太郎 振付:彩木エリ
並行世界からの侵略者
ある日突然、多くの機械生命体キカイノイドがこの世界に現れた。
それは、キカイトピアという並行世界の住人たち。キカイトピアの王朝トジテンドの支配者・ボッコワスは、全ての並行世界を「トジルギア」という小さな機械の中に閉じ込めることで世界を支配しようとしていたのだが、最後の一つとなったこの世界を閉じ込めようとした際に、なぜかキカイトピアの一部が、この世界と融合してしまったのだった。
あと一つというところまで来て、思うように進まない計画に苛立つボッコワスは、溺愛する鳥型ロボット・ゲゲのアドバイスに従い、この世界をトジルギアではなく、武力で侵略することにする。
二つの並行世界が融合してから1ヶ月が過ぎ、徐々にお互いを認め合うようになっていた人間とキカイノイドたちは、このトジテンドの侵略によって大混乱に陥ってしまう。
五色田介人
五色田介人は本作の主人公。
スカイツリーのてっぺんからバンジージャンプを試みるなど、常軌を逸したところはあるが、分け隔てのない明るく天真爛漫な性格。それにしても、五色田介人(ゴシキダ カイト)を演じる駒木根葵汰(コマギネ キイタ)さんというのは、どちらが役名でもおかしくないほどインパクトのある名前である。「ポルノグラフィティのアポロ」と聞いて、どちらがバンド名か迷ったことを思い出す。
研究者であった両親は現在行方不明で、駄菓子カフェ「カラフル」で祖母・ヤツデと二人暮らしをしている。子供の頃は、近所にこういった駄菓子屋さんがあって、小銭を握りしめて、よく行ってたな・・・なんて思い出が蘇るのは、昭和世代の特権かもしれない。
ちなみに、榊原郁恵さん演じるヤツデという名前は、原作者・八手三郎が由来となっているうえ、父の名前・功と母の名前・美都子は、『秘密戦隊ゴレンジャー』で主題歌を担当した佐々木功さんと堀江美都子さんが由来となっている。これでもかというほどの戦隊ネタが散りばめられているというわけだ。
父と母が残したもの
トジテンドから逃れようと、カラフル店内に逃げ込む介人とヤツデ。
両親が発見した並行世界の住人・キカイノイドとようやく打ち解けあってきたこのタイミングで、侵略を開始してきたトジテンドに怒りを燃やす介人。その時、幼い頃、両親がプレゼントしてくれた鳥型ロボット・セッちゃんが動き出し、介人の両親が使っていた秘密の研究室(カラフルの地下)に二人を導く。
そこには、両親が発見した並行世界で活躍していたスーパー戦隊の力を秘めた「センタイギア」と、武器にもなる変身アイテム「ギアトリンガー」が隠されていた。
介人は、それを手に、トジテンドと戦う決意を固める。
ジュラン
この世界にやってきたキカイノイドの一人がジュランである。
「ちょ、待てよ!」といった、90年代のキムタクの口調をマネている少し痛いおじさんキャラだ。ノリが良いうえにコミュニケーション能力も高く、バーベキューを楽しむ人間の若者たちの輪に、躊躇なく入っていき、すぐに打ち解ける。
その直後、トジテンドの侵攻が始まってしまうのだが、そこで襲われている少年を助けるために自らの身を投げ出したところで、介人に出会う。
今まさに人間たちを襲っているキカイノイドの仲間と思しきジュランを目の前にして怯えた表情を見せる少年と、自分が助けたにも関わらず、居心地の悪さを感じてアワアワしているジュランに「助けてくれてありがとう」と伝える介人。それにつられて「ありがとう」と少年が笑顔を見せるシーンは、今回屈指の名シーンだ。
キカイノイドという種族だけで一括りにすることなく、きちんとジュランの言動を見て判断した介人の姿は、生まれた国、目や肌の色だけで差別しがちな人間へのアンチテーゼにも受け取れる。種族を超えて手を取り合うというのは、ゼンカイジャーに限らず、スーパー戦隊ではよくある設定だが、世界平和のために戦うヒーローとしては、最低限必要な素質と言っても良いのかもしれない。
スーパー戦隊の力
ギアトリンガーにセンタイギアをセットし、初変身する介人とジュラン。
ジュランは恐竜のパワーが秘められた『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のセンタイギアを、介人は秘密のパワーが秘められた『秘密戦隊ゴレンジャー』のセンタイギアをセット。つまり、「デザインがアカレンジャーのパクリじゃん」みたいな文句はお門違いなのである。
「バンバン!」の音声が、『秘密戦隊ゴレンジャー』エンディングの歌い出し「バンバラバンバンバン」をオマージュしたものであることは、大きなおともだちにはすぐに理解できるはずだ。
さらに、センタイギア『動物戦隊ジュウオウジャー』のイーグルの力で、空を飛ぶ介人。
『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の力で、敵を斬り刻むジュラン。
このように過去の戦隊の力を使って戦うことができるところは、本作の見どころのひとつだろう。子供たちと一緒に見ている大人たちも、懐かしい思い出に浸れること請け合いである。
最後は、戦隊お約束の巨大な敵が登場するが、ジュランが巨大化して戦うという、いつもの専用マシンが登場するのとはちょっと違った展開が見られる。
さらに恐竜に変形し、口から火を吹き、その勢いで空を飛ぶという『ゴジラ』へのオマージュも見せる。スーパー戦隊だけかと思ったが、どうやらなんでもアリっぽい。
こうして記念すべき第1話は終了。
ひとことで言うと、めちゃくちゃ面白かった。情報解禁直後は、色違いのアカレンジャーみたいなデザインや、主人公以外全員ロボットという設定などに一抹の不安を感じずにはいられなかったが、既にすっかりファンになってしまった。今後、さらに3人の仲間が登場することは明らかにされているし、ただひたすらに楽しみである。
最近は特撮といえば『仮面ライダー』ばかりで、スーパー戦隊はちょっと離れていたが、リアタイで視聴していた過去の戦隊も登場するようだし、視聴継続するつもり。ここでも全話レビューしていきたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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