2021年5月16日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第11カイ「渡る世間は鬼ゴッコかい?!」(監督:田﨑竜太 脚本:香村純子)
タイトルが秀逸。こういう遊び心こそ、『ゼンカイジャー』である。
2021年4月4日に亡くなった橋田壽賀子さんへのオマージュカイ・・・というわけではないだろうけれど、いや、実はそうなのだろうか? いずれにせよ、日本人なら知らない人はいないほどのドラマタイトルをもじった今回は、カオスながらも、登場人物たちへの愛情が感じられるエピソードである。多少のネタバレも含めつつレビューしていく。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。「あの作品に出てた人?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
ゾックス・ゴールドツイカー:増子敦貴
セッちゃん(声):福圓美里
カッタナー(声):鈴木峻汰
リッキー(声):松田颯水
ボッコワウス(声):中田譲治
バラシタラ(声):乃村健次
イジルデ(声):竹田雅則
ゲゲ(声):鈴木達央
オニゴッコワルド(声):寺島惇太
フリント・ゴールドツイカー:森 日菜美
八百屋店員:藤田雅明
五色田ヤツデ:榊原郁恵
オニゴッコワルド
オニゴッコトピアというトンデモ世界の力を持つワルド怪人。
赤いライオンが青鬼のお面をしているようなデザインだが、赤いライオンではなくて赤鬼なのだろうか?
タッチされた者は額に青鬼のお面が着けられ、鬼となって、鬼でない人を追いかけずにはいられなくなる。通常の鬼ごっこのように、タッチされたら鬼が入れ替わるのではなく、タッチされた人の数だけ鬼が増え続けるというカオスな世界。まるでゾンビである。
『ウォーキングデッド』や『アイアムアヒーロー』など、ドラマやマンガでも大人気のゾンビもの。無尽蔵に感染者が増え続けるという恐怖は、映画『ゾンビ』で既に確立されていたが、個人的にはゲーム『バイオハザード』で、より一般に浸透したのではないかと思っている。
あの恐怖感を、こういった一風変わった鬼ごっこを題材に、子どもたちにもわかるように、そしてグロテスクな怖さは無しに表現するあたりはさすがとしか言いようがない。
ちなみにオニゴッコワルドの必殺技は、手だけ飛ばしてタッチするという「ロケットタッチ」。『マジンガーZ』もビックリである。
フリントの後悔
街角でパンを売るお店にやってきたフリント、カッタナー、リッキーの3人。カッタナーとリッキーは、アンパンかクリームパンかで揉めはじめる。
余談だが、カッタナーとリッキーと同じくらいの頃、アンパンなんて選択肢になかった私にとっては、なんだか大人に見えてしまう。あんこもパンも大好きだったが、二つを組み合わせることに抵抗があったのだ。生ハムメロンみたいなものである。今ではアンパンも生ハムメロンも食べられるけれど、小倉トーストは、まだ抵抗感が拭えない。愛知県民になるにはもう少し時間が必要かもしれない。どうでもいい話だが。
その二人の小競り合いを、偶然見かけた介人が仲裁しようとするが、まるで効果がない。収まるどころか、さらにヒートアップ。
そこにオニゴッコワルドが現れ、「あいつを倒した方が勝ちだ!」と立ち向かう二人。
ところが、オニゴッコワルドの能力は“タッチされると鬼になってしまう”というもの。二人は鬼となり、周りの人たちを追い回す。介人はもちろん、フリントにも容赦ない。
そんな二人を見ながら、フリントの過去の記憶が蘇る。二人が今の姿になったのも、今回のようなことが原因だったらしい。以前、SDトピアを訪れた際、どうでもいいことでケンカを始めた二人は、目の前に現れた敵を倒した方が勝ちだと立ち向かったところで呪いを受けたらしい。
あの時も、今回も、一緒にいた自分が二人を止めていれば・・・と、悔やむフリントに「失敗も挽回! 何度でもトライだ!」と、励ます介人。「なんだよ、それ」と笑顔を取り戻したフリントに、センタイギアを作った両親の口癖だ、とギアを見せる介人。
介人のギアに興味津々のフリントは、何かを思いついた様子だが・・・
センタイにレボリューション!
鬼だらけになった世界。
ゼンカイジャーも、ブルーンとマジーヌが鬼となり、残るは介人とジュラン、ガオーンの3人のみ。どっちを向いても鬼ばかり、というカオスな状況では、名乗りさえもマトモにできない。
そのうち、ジュランもガオーンも鬼となり、残るは介人ただひとり・・・という絶望的な状況を打ち砕いたのはゾックス。
カッタナーとリッキーが鬼とされたこの状況では、フォームチェンジすらできない、と思いきや、いきなりのフォームチェンジ。31番目のスーパー戦隊『獣拳戦隊ゲキレンジャー』である。
あれ? ツーカイザーって、シンケンフォームとオーレンフォームしかないんじゃ? と思っていたら、フリントが介人のセンタイギアを元に作り上げたんだとか。天才どころの騒ぎではない。
オニゴッコワルドの脳天のスイッチをオフにして鬼ごっこは終了(それだけで良かったのかよ・・・!)。そのままトドメを刺されるも、毎度おなじみの巨大化タイム。すると、制限時間つきの鬼ごっこがスタート。制限時間終了時に鬼になっている者が爆発するという恐ろしい罰ゲームが待っている。
みんな必死で逃げ回るのだが、巨大ロボットたちが市街地で鬼ごっことか、迷惑も甚だしい。完全にイカレてる。
そんな鬼ごっこに終止符を打ったのはゼンカイジャーではなく、ゾックスたち。戦艦クロコダイオーが、カッタナーが操縦するジェット戦闘艇クロスカイオーと、リッキーが操縦するオフロードバイク・クローリングオーに分離。
その直後、こんな時だというのにも関わらず、またもやつまらない兄弟喧嘩を始める二人。まるで他人事とばかりに、高みの見物を決め込むダイオニゴッコワルド。完全に油断したところを、時間制限ギリギリで後ろからタッチ。そして爆死というコンボ。どうやら先ほどの喧嘩は、ダイオニゴッコワルドを油断させるための演技だったらしい。末恐ろしい子どもたちである。
今回もまた界賊一家が主役となる物語だった。サブキャラクターといえども、こうしてきちんとそれぞれの背景を描いてくれることで、見ているこちらも、やっぱり肩入れしたくなる。『仮面ライダーセイバー』にも、こういった構成があったらなあ・・・と羨ましくなる。ラノベ作品みたいに次々と新キャラを投下すれば良いというものではない。絶対。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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