2019年9月8日放送『仮面ライダーゼロワン』第2話「AIなアイツは敵?味方?」(監督:杉原輝昭 脚本:高橋悠也)
本作を視聴する上で重要なキーワードについても解説するので、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第2話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品などもチェックしていただきたい。
飛電或人/仮面ライダーゼロワン:高橋文哉
不破 諌/仮面ライダーバルカン:岡田龍太郎
イズ:鶴嶋乃愛
刃 唯阿:井桁弘恵
迅:中川大輔
滅:砂川脩弥
シェスタ:成田愛純
山下三造:佐伯 新
ザット(声):日高のり子
ナレーション:山寺宏一
飛電其雄:山本耕史
マモル:吉田悟郎
マギアナ:島本真衣(テレビ朝日)
幼いアルト:中野遥斗
不破 諌(回想):萩原壮志
記者:畑 俊樹
福添 准:児嶋一哉(アンジャッシュ)
シンギュラリティ
本作における重要なキーワードのひとつが「シンギュラリティ」である。
これは英語で「特異点」を意味し、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点を指す。
アメリカの人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルが2005年に提唱した概念であるが、本作は2018年にPS4で発売された「Detroit: Become Human」の影響を受けていると思われる。
「Detroit: Become Human」とは、2038年のデトロイトを舞台に繰り広げられる群像劇。主人公は、3体のアンドロイド。人間同様の外見と知性を兼ね備え、様々な労働や作業を人間に代わって担うようになったアンドロイドの中で、突如、自我を持つに至った3体が織りなす物語である。
自我とは心だ。人間と同じ心を手に入れたというのに、アンドロイドという出自だけで差別される主人公たちの葛藤が描かれる力作。
私はこの作品をプレイしていたため、『ゼロワン』の世界観にはすんなり入ることができたし、おそらくは企画段階でこの作品が参照されたのではないかとも思っている。
実際、ドラマ化されないのが不思議なほどの作品だったが、それはマルチエンディングゆえかもしれない。ハッピーエンドはあるけれど、人によって、どれがベストかを決めることは難しいのかもしれない。それくらい深い物語だった。未プレイの方にはオススメしたい。
さて、話を戻して、『ゼロワン』第2話でもシンギュラリティに達する個体が現れる。
まずはクロネコ的な配達員型ヒューマギア・オクレルが、迅によってマギア化される。
爬虫類の絶滅種「クエネオスクース」をモチーフとしたクエネオマギアとなり、飛電インテリジェンスを襲う。
A.I.M.S
第1話のレビューで割愛してしまったが、これも本作では重要な組織である。
A.I.M.Sは”Artificial Intelligence Military Service”の略で、「エイムズ」と読む。
内閣官房直属の対人工知能特務機関として、ヒューマギアに関する事件を専門に捜査する。「人工知能特別法」に則り、民間人に危害を及ぼす危険のあるヒューマギアの破壊や、それに関わるサイバーテロリストを逮捕する権限などを持つ。
銃火器の使用も許可されているが、そこに強いこだわりを見せているのが本作の特徴でもある。
弾を撃てば薬莢が飛び、弾がなくなれば弾倉を装填する。
これらは銃を使うなら当たり前のこと。しかし、そんな当たり前のことが省略される作品が多い中で、あえてそこにこだわる。パイロット監督の杉原さんの趣味のようだが、虚構の物語を現実世界と地続きであるような錯覚を覚えさせるには、こういった細かなリアリティは必須だ。
このA.I.M.Sに所属する不破と刃の2人が、本作の2号ライダーと3号ライダーということは当初から公言されている。
特に刃は、歴代ライダー初のレギュラー女性ライダーとして注目を集めている。
デイブレイク
本編の12年前に起きた爆発事故。
ヒューマギア運用実験都市内にあったヒューマギア工場で爆発が起き、街ひとつが廃墟となり、水没する大惨事となった。
その爆発に巻き込まれた或人は、父・其雄に救われる。
しかし同じくデイブレイクに遭遇しながらも生き残った不破は、暴走したヒューマギアによる人間の大量殺戮を目撃したと言う。
この両者が見たものの違いは一体・・・?
そしてその水没した街・デイブレイクタウンは、現在、滅亡迅雷.netのアジトとなっている。
マモル
飛電インテリジェンスの警備を担当する警備員型ヒューマギアのマモルは、クエネオマギアの攻撃から人々を守るため、自ら盾となり傷ついてしまうが、その傷口に自分のバンダナを巻き、「早く修理しなくちゃな」と労ってくれた或人に対し、喜びを抱く。シンギュラリティ到達の瞬間だ。
これを迅に見られてしまったことで、マギア化されてしまう。
哺乳類の絶滅種「エカルデルタ」モチーフのエカルマギアだ。
我を失い、或人の呼びかけにも応えないマモルを止めるため、或人はゼロワンへと変身する。
専用バイク初登場
バイクをハッキングして逃げるエカルマギアを追いかけるため、専用バイク「ライズホッパー」を呼び出す或人。
今回はバイクも衛星ゼアから射出されるというトンデモ設定となっている。或人の座標に向けて大気圏からバイクを射出するなんて、どれほど時間がかかるのかと思ってしまうが、秒で現れる。
しかし、隕石のような感じなので、建物内にいると、普通に建物の天井をぶち抜いて落ちてくる。リアルではあるが、迷惑なことこの上もない。でも、それについて修理費はどうするの? とか、グダグダ言うのは野暮である。そんなことよりデザインはシャープでなかなかカッコいい。
その後のバイク2台でのカーチェイスシーンは圧巻だ。特に、エカルマギアが交差点を横切るタイミングに合わせて、前方車両を飛び越えて追いつくゼロワンのシーンは凄い。
その後はバイクを降りて必殺技でトドメ。しかし、このネーミングはどうにかならなかったのだろうか?
出会う2人のライダー
一方、もう1体のクエネオマギアは、A.I.M.Sが追う。
通常武器で苦戦する刃の前に、ショットライザーを携えた不破が現れ、武器の管理権限を持つ刃の許可がなければ使えないはずのプログライズキーを力ずくでこじ開けてしまう。
規制のルールをぶち壊し、「俺がルールだ」と見栄を切るシーンは鳥肌が立つほどカッコいいが、スーツの上からベルトを巻いているのは、ちょいダサだ。緊急時に上着を捲ってベルトを巻いたりしないというのはわかるけれど。
撃ち出した銃弾がブーメランのように戻ってきたところをぶん殴って変身。
ホワイトとブルーが映える、爽やかな印象のライダーだ。デザインは、なんとなく中国のお面を思い起こさせる。
格闘技主体で戦うゼロワンに対し、バルカンは銃でのバトルがメインのようだ。必殺技も、銃弾のように撃ち出したオオカミ状のエネルギー体で敵を磔にし、どデカい光弾でトドメ。磔にしたコンテナ数個を貫くほどの威力もネーミングもカッコいい。
ラストシーンでは、そのコンテナのドロドロに溶けた穴を通して睨み合うゼロワンとバルカンが映し出される。
ヒューマギアを「人類の夢」だと語る或人に対し、「人類の敵」だと憎む不破の構図は対立関係を予感させるが、一方では、スベりまくる或人のギャグで唯一笑いを堪える仕草を見せるのも不破。
この2人の関係が今後どうなっていくのか楽しみである。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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