1966年1月23日放送『ウルトラQ』第4話「マンモスフラワー」(監督:梶田興治 脚本:金城哲夫・梶田興治)
それは、ただただ異様な光景。
都心のビル街に、突如現れた巨大な1本の花がもたらす人々の恐れと混乱を描いた物語。
ヒーロー不在の特撮ドラマ『ウルトラQ』第4話「マンモスフラワー」をレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第4話のキャストをご紹介する。
初登場のゲストでウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラQ』より引用している。
万城目 淳
佐原健二
戸川一平
西條康彦
江戸川由利子
桜井浩子
一の谷博士
江川宇礼雄
源田博士:高田稔
東京広告社支配人:堺左千夫
東京広告社社員:中山豊
一平のガールフレンド・三木道子:雨宮貞子
警察幹部:向井淳一郎
対策本部長:津田光男
地下街の女:丘照美
自衛官:岡豊
警官A:坂本晴哉
警官B:井上大助
毎日新報記者:勝部義夫
お堀の野次馬:古谷敏
マンモスフラワー
大都会・東京に突如、地中から現れた謎の触手。
ウネウネと動き回るそれは、巨大な植物の根だった。
アスファルトを破り、コンクリートの壁さえも貫いて暴れ回る根は、人間を絡め取り、表面に生えた無数の棘で、血を吸うという恐るべきものだった。
ただ、人間の血だけを吸うのか、水分全般を吸収するのかは不明。
普通に考えたら、人間の生き血しか吸わない、なんて限定的な食事で生き続けることはできないだろうから、おそらくは人間の血も水分として摂取しているのだろう。
元々は普通の植物として、地中の水分や、小型生物の体液などを吸収して成長していたのが、巨大化するに従って、人間サイズのものも餌にするようになってしまったのではないか、などと想像する。
その根は、とあるビルの地下にある巨大な球根から伸びていることが判明し、そのビルを間借りしている企業などは大パニックに陥る。しかし、時既に遅し。
まるでタケノコのように、大きなビルを地下から突き破って現れる巨大植物。大きさもとんでもないが、その成長速度もまた尋常ではない。地中から現れた途端、大衆の目前でするすると芽を伸ばす。植物の成長過程を早送りで見ているようだ。
「マンモスフラワー」と名付けられたこの巨大植物の大きさは、なんと100m。映像を見た限りでは、100mには程遠い気もするが、「根の中心まで」という設定がミソだ。地上に出ている部分だけではない、ということになる。
マンモスフラワー
身長:100m(花芯から根の中心までの長さ)
体重:3,000t
出身地:東京・丸の内
デザインに特別なところは何もなく、ただただ巨大な花である。だが、所狭しと乱立するビルの間に一輪の花が屹立する様は、それだけで異様だ。
マンモスフラワー最大の見どころは、蕾が開花するシーンだろう。
花びらが一枚一枚開いていく様子を、作画合成で表現している。花の造形の素晴らしさも手伝って、徐々に開花する様は、本物の花を映しているのではないか、と錯覚するほど。本作を監修した円谷英二さんがこのシーンにもっともこだわった、というのは納得だ。手間暇かけて作られていることが素人目にもはっきりわかる。
開花したマンモスフラワーは、空気中に花粉を撒き散らす。これがただの花粉ではなく、毒だというのだからタチが悪い。
空と陸から
東京に突如現れたこの巨大植物の対策本部が設置される。
そこに招かれたのは二人の科学者。本作の準レギュラーである一の谷博士と、源田博士だ。
人々の不安を取り除くためにも、即刻、マンモスフラワーを退治しようと提案する一の谷博士に対し、源田博士は科学の発展のため、まずは調査を優先し、退治はその後だと主張。二人の意見は真っ向から対立する。こんな緊急事態でも私欲に駆られる人がいる、というのはベタではあるが、そこに違和感を感じないのは、それこそが人間だということを我々がどこかで理解しているからだろう。
しかし、想像を超えるスピードで開花し、毒粉まで撒き散らし始めたマンモスフラワーに恐怖を感じたのか、さすがの源田博士も一の谷博士の意見に同調し、マンモスフラワーを倒すために協力することになる。
作戦は、空と陸からの二面攻撃。
陸では火炎放射器を使って、根を焼き払い、空からは源田博士が用意した炭酸ガス固定剤で、植物に必要な炭酸ガスの吸収を妨げる、という作戦だ。
強風に煽られたのか、源田博士(上の画像右側の人物)の髪の毛がめちゃくちゃに乱れている。そればかりが気になって、シリアスなやりとりが続くが、さっぱり頭に入ってこない。
この炭酸ガス固定剤は飛行機で散布する必要がある。
その役目を買って出たのが、万城目。セスナを使って、上空から散布する。
同時に地上では火炎放射器で攻撃。
この二面攻撃により、マンモスフラワーはハラハラと崩れ落ちる。
太古の昔から生き延びてきた奇跡の巨大植物は、こうして最期を迎えた。
宇宙人のように侵略の意思などない。
ただ、一つの生命が本能に従って生きようとしただけ。
それだけのことなのに、小さき者たちは命を脅かされる。
まるで魚とプランクトンのような関係だ。
見るからに恐ろしげな怪獣など登場させずとも、ただ異様な空間を作り上げるだけで恐怖は生まれる。
非日常がもたらす不安と、そんな場面でも消えることのない人の欲望を描いた名エピソードである。
視聴するには?
本作を視聴するなら『TSUBURAYA IMAGINATION』一択。理由は、もっとも割安で、そして何と言っても本家・円谷プロのアプリだからだ。他の動画配信サイトのように、1話ずつお金を払う必要もなければ、突然配信停止になるような不安もない。
このアプリの使用感などについては別記事にまとめたので、こちらをご参照いただきたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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