2020年12月18日に公開された映画「REALxTIME」を観てきました。
当初は2020年7月23日公開予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期されていたのでした。
前作「令和ファーストジェネレーション」から実に1年ぶり。
年2作公開されていた劇場版仮面ライダーの歴史も、新型コロナウイルスの猛威には勝てなかったのでした(東映まんがまつりで公開された「プリティ電王」は含めない)。
本記事では、少しのネタバレを含みながらこの映画の見どころについてご紹介します。どうぞ、最後までお付き合いください。
ストーリー
「神が6日で世界を創造したのなら、私は60分でそれを破壊し、楽園を創造する」という謎の男エスの宣言。
その宣言をきっかけに、世界中で巻き起こるガス兵器による同時多発テロ。
闇サイト「シンクネット」に集まった数千人の破滅願望を持つ人達の手によるもの。その首謀者こそが、謎の男エスだった。
待ったなしで進行する世界の破壊。タイムリミットは60分。
刻々と迫る時間の中、仮面ライダーたちは、世界の滅亡を止めることができるのか?
そもそもエスとは何者なのか?
そしてエスの言う「楽園」とは?
仮面ライダーエデン
本作における敵ライダーが「仮面ライダーエデン」です。
今回のゲスト、ジオウならぬデ・オウこと伊藤英明さんが変身するその姿は、『仮面ライダービルド』に登場した「仮面ライダーローグ」にそっくり。
ゼロワン本編のラストシーンや、映画の予告編を観たファンから言われ続けてきたことですが、こうして並べて見れば、仮面ライダーに詳しくない方なら見間違うレベルではないでしょうか?
そんな見た目はともかく、”血管”をイメージしたと言われる禍々しい雰囲気通りに、尋常ではない強さを発揮するライダーです。
スーパーサイヤ人的な動きを可能にしていた仮面ライダーゼロツーさえも圧倒するその力に加え、本作でしか観られない伊藤英明さんの変身シーンもかなりの見どころです。
久しぶりに日の目を見た仮面ライダーバルキリー
本編では不破諌(ふわ いさむ)=仮面ライダーバルカンの強烈なキャラクターの影に埋もれてしまった感のあった刃唯阿(やいば ゆあ)=仮面ライダーバルキリーでしたが、基本フォームとなる”ラッシング・チーター」は、女性らしいフォルムの美しさに加え、パワーではなくスピードを活かした攻撃スタイルで、とてもカッコ良いライダーでした。基本フォームだけでいえば、バルカンよりも上だと思っています。
本作は、そんな仮面ライダーバルキリーが、ここぞとばかりに活躍を見せてくれる作品でもあります。
ラッシング・チーターフォームでの戦闘に加え、『仮面ライダークウガ』を彷彿とさせるようなバイクアクションまで。
彼女のファンなら、「観ない」という選択肢は無いと思います。
まさかにして最高の共闘
仮面ライダーの醍醐味の一つがライダーの共闘です。
過去作でも様々なライダー達が、共闘によって燃える展開を見せてくれましたが、本作でもそれは健在。
仮面ライダーバルカン、仮面ライダーバルキリー、仮面ライダー滅(ほろび)、仮面ライダー迅(じん)、仮面ライダーサウザーの共闘に始まり、まさかのゼロワンとゼロツーの共闘という最高の形で、物語の展開も観客の感情もクライマックスへと導きます。
そしてもう一つ、「1,000%」と「100%」の共演というのも本作の見どころの一つ。
ここは”出オチ”みたいなところもありますので、これ以上書くような野暮はしません。
新型コロナが無ければ・・・
先述した通り、本作は当初、新型コロナウイルスの影響が無ければ、「仮面ライダーゼロワン」本編終盤となる2020年7月に公開が予定されていた作品でした。
その時点では、本編では語られなかった”本編終盤のとある日の60分のエピソード”という位置付けだったものが、公開時期の延期により、本編はとうに終了。それに合わせて物語の設定も、”本編最終話の3ヶ月後”という時期に改められています。
つまり、本作は「仮面ライダーゼロワン」という物語の締め括りとしての役割を担わされた作品です。
「仮面ライダーゼロワン」という作品は、とても不遇な作品と言えます。
”令和”最初のライダーとして、A.Iが自我を持つというSFの王道とも言えるテーマを掲げ、同じく「命」をテーマにした仮面ライダーの名作「仮面ライダーエグゼイド」の高橋悠也さんを脚本に迎えるなど、気合い入りまくりの作品でした。
登場人物も大変魅力的だったため、またもやライダー史上に残る名作の誕生か? と結構期待していたのですが、新型コロナウイルスの影響で撮影は中断。これから佳境というところでまるっと1ヶ月ほど総集編でお茶を濁し、そのまま放映期間を延長することもなく終了。
つまり、1ヶ月分(5話程度)の物語が削られてしまった計算となります。
そのしわ寄せは確実に存在し、ほぼ見せ場の無かった仮面ライダー亡(なき)の存在などはその象徴と言えます。
素材は良かったのに、それを活かす舞台が縮小されてしまったのは、完全に新型コロナのせい。いわば新型コロナの被害者でした。
それゆえ、不遇な作品だったと記憶していたのですが、この劇場版を観て、少し認識が変わりました。
新型コロナのせいで中途半端に幕を下ろさざるを得なかったゼロワンは、新型コロナのせいで公開が延期された劇場版によって、作品自体の存在価値を改めて示すことができたと思うのです。
本編のエンド自体は文句無しでしたが、もしも予定通り、本編放映中にこの劇場版が公開されていたら、当然作品の印象はそこで途切れていたわけです。今頃はやはり、「ゼロワン」は不遇な作品だったという印象しか残らなかったでしょう。
しかし、今、こうしてゼロワン最後の作品として本劇場版を鑑賞すると、あの物語を締め括る後日談としては最高の仕上がりと言えます。
あの愛すべきキャラクターたちが、本編が終了した今も変わらず、しかし世界の大きな変化の中で生きている姿に、変わらぬ勇気をもらえます。
新型コロナのせいで評価を落とさざるを得なかった作品は、しかし新型コロナのせいで公開延期された映画によって評価を上げたとも言えるのです。
ただ、刃唯阿を立てすぎたためか、不破諌がおとなしすぎたことは唯一と言っても良いほど残念でした。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /