2021年12月5日放送『仮面ライダーリバイス』第13話「フェニックス危機一髪!」(監督:上堀内佳寿也 脚本:木下半太)
勢いを増して転がり始めたストーリー。人間同士が戦う中、人間と悪魔の絆が、新たな力となって顕現する。
第14話視聴前の振り返りに、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。
【キャスト】
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーライブ カゲロウ/仮面ライダーエビル:日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ:浅倉 唯
オルテカ:関 隼汰
フリオ:八条院蔵人
門田ヒロミ:小松準弥
伊良部正造:西郷 豊
ラブコフ(声):伊藤美来
工藤 康:河相我聞
灰谷天彦:柏原収史
若林優次郎:田邊和也
五十嵐幸実:映美くらら
五十嵐元太:戸次重幸
狙われたスカイベース
補給のために地上に降りたスカイベース。ご存知、政府特務機関フェニックスの本拠地である。
普段、空に浮かんでいるのは、有事の際の機動性はもちろん、デッドマンズのような敵対する組織の侵攻を防げるといったセキュリティ面でのメリットもあってのことだろう。空を飛んでいた方がカッコいいなんて、バカみたいな理由ではないはずである。そして、この地上に降りる時間というのは、無防備になることを意味する。戦国時代に築かれたお城に例えるならば、外堀が埋まる時間である。犬や猫に例えれば、仰向けになってお腹を晒している状態である。
この時を狙って、デッドマンズが動き出す。
いつもの幹部3人に、第11話から登場している灰谷と、さらに今回初登場のカメレオン・デッドマン フェーズ2も加わって、5人での侵攻となる。
ギフへの生贄が足りないと怒るアギレラに、第6話で登場した工藤の名前を告げるオルテカ。
工藤は現在、フェニックスの更生施設に入っているはずだが、更生するどころか、ますます悪魔の力を増幅させているらしい。さすが河相我聞さん。仮面ライダータイラントだった過去は伊達ではない。そこにシビれる憧れるゥ!
デッドマンズの今回の目的は、この工藤を更生施設から救出することらしい。新登場のカメレオン・デッドマンの能力も、間違いなく潜入には有効な能力だろう。
それにしても、不気味な面構えである。
その陰で、自分もギフへの生贄にされることに今更気づき、「マジか」と怯える灰谷が滑稽だ。
復活のカゲロウ
ジョージ・狩崎によって回収されたリバイスドライバーとデモンズドライバー。
リバイスドライバーは、これまでに集めた10個のバイスタンプによるパワーアップのため。デモンズドライバーは、前回、戦闘中のゲノムチェンジ時に拒絶反応が起こったヒロミの身体を配慮してのことらしい。
そんなこともあって、現在、ライダーとして戦えるのは大二とさくらの2人だけ。
デッドマンズ出現の報に、張り切って出かけていく大二とさくらだったが、そこにはギフジュニア(ザコの戦闘員)しかいない。わかりやすいスケープゴート。デッドマンズに踊らされていたことに気づき、スカイベースへと急ぐ2人。そこに待っていたのは、オルテカとフリオ。戦いの最中、さくらを庇ってダメージを受けた大二の身に異変が起こる。
立ち上がった姿は、なんとカゲロウ。やはり消えたわけではなかったのだ。エビルに変身し、オルテカ、フリオと共にさくらに襲いかかる。3人の悪魔を相手に、流石のさくらも防戦一方。
その五十嵐兄妹の陰で、「わが命をかけて、この子(ラブコフ)を守る!」と、さくらの悪魔・ラブコフのために手にしたバッグで孤軍奮闘するヒロミが愛おしい。
また、ヒロミは、演じる小松さんや石ノ森先生と同郷の宮城県出身だとも判明した(劇中のセリフ「田舎に帰って、ガガ(宮城県の方言「お母さん」のこと)の顔でも見てくっか」による)。なんとも粋な演出である。
信じる勇気
「心配するのはカンタン。でも、信頼するのは勇気がいるね」
娘・さくらがライダーとして戦うことに大反対の母・幸実に、父・元太がかけた一言。名言だ。この「信じる勇気」というのが、今回のテーマになっている。
リバイに変身できない一輝は、それでも大二とさくらの2人が心配だからと、自分も一緒にデッドマンズに立ち向かおうとするが、「兄ちゃん、俺たちそんなに弱くないよ」と大二に笑顔で諌められる。怒鳴るでもなく、茶化すでもなく、ゆったりとした口調で語りかける大二からは、確かな自信と共に、兄と両親に心配をかけまいとする優しさが溢れる。大人だ。
その後、スカイベースが狙われていること、ジョージ・狩崎が危険であることを知り、現場へと駆けつけた一輝の目に映ったのは、オルテカとフリオを前に苦戦する大二とさくらの姿。
駆け寄ろうとした瞬間、大二と目が合う。大二は何も言わない。一輝は先ほどの大二とのやりとりを思い出す。苦悶の表情を浮かべつつ、そのまま狩崎の元へと走り出す一輝。再び立ち上がる大二。さくらもまた一輝の不安を振り払うように果敢にデッドマンズに立ち向かう。お互いの信頼関係がわかる良いシーンだ。
スカイベースには辿り着いたものの、変身できないために防戦一方の一輝に、バイスは「俺を使え」とアドバイスするのだが、過去に人を襲ったバイスの姿が脳裏をよぎり、一輝は躊躇う。
未だに自分を信頼してくれない一輝に不満を漏らしつつも、実体のない状態でギフジュニアたちに殴りかかるバイス。それを見ながら一輝は、先ほどの大二の言葉、両親の言葉を思い出し、さらにバイスと共に戦ってきたこれまでの日々を思い出す。
「お前は今日まで俺との契約を守って、一緒に戦ってくれた。ここで応えてやらなきゃ、バディじゃない。頼むぞ」と、吹っ切れたように微笑み、自らの胸にレックスバイスタンプを押す一輝。
途端に実体化するバイス。「やっと出してくれたな。この時を待ってたぜ」と、なんとも不穏な空気。一輝に向けて殴りかかるが、顔色ひとつ変えない一輝。「俺はお前を信頼する」
バイスの狙いは、一輝の背後に潜むギフジュニアだった。悪魔と人間とが数多の共闘を経て勝ち取った絆。真のバディが誕生した瞬間と言っても良い。まあ、そもそも一輝が死んでしまってはバイスも消滅するということは第1話で語られていたことなので、間違ってもバイスが一輝を殺すことはないはずだが、それでもこの展開は最高だ。
バリッドレックス誕生!
狩崎の狙いは、これまでに集めた10種のバイスタンプを元に、さらに強力なバイスタンプを作ることだった。タマゴ型の新たなバイスタンプに、10種のバイスタンプをスキャンする。ところが、レックスだけが何故かエラーを起こす。何度やっても上手くいかない。
しかし、一輝とバイスの絆が強く刻まれた瞬間、強い光を放つレックスバイスタンプ。狩崎の新型バイスタンプのタマゴにヒビが入る。今にも何かが生まれてきそうな雰囲気がほとばしる。
「今の君ならコレを使える」と完成したばかりのバリッドレックス・バイスタンプを一輝に手渡す狩崎。
レックスバイスタンプをスキャンし、リバイスドライバーで変身。タマゴの殻に包まれる一輝を見て、「うわー、エッグい」とオヤジギャグ全開のバイスのパンチで砕けるタマゴ。
中から生まれたのは水色のライダー。仮面ライダーリバイ・バリッドレックスゲノムだ。
デザインそのものよりもピンク主体のカラーリングが物議を醸してきた仮面ライダーリバイだが、このゲノムではイメージが一変。これまでの筋肉質で生物的なフォルムではなく、装甲を纏ったメカニカルなフォルムも、水色主体のクールなカラーリングも文句なくカッコいい。コレを見た後だと、最初のレックスゲノムが完全に見劣りする。
サウンドも良い。待機音はもちろん、変身後の「My name is 仮面ライダー!リバ!バ!バ!バイ!リバイ!リバイ!リバ!バ!バ!バイ!リバイ!」まで鳥肌モノのカッコ良さ。『ビルド』のグリスブリザードなどのように氷の力を操るところも、またクールだ。
狩崎の一存でバイスのパワーアップは見送られてしまったが、自らが砕いたタマゴの殻を拾い集めてシールドを作っていた。しかも糊付け。
あのタマゴは単なるエフェクトだと思っていたのだが、物理的に存在していたらしい。しかもバイスのパンチで粉々に砕けていたけれど、シールドになった途端、オルテカやフリオのあらゆる攻撃を弾き返していた。最近の糊の性能はハンパないらしい。
ジャンヌにも新たな力
前回爆誕したジャンヌにも新たに「クジャクバイスタンプ」が手渡されたが、『オーズ』のタジャドルみたいになるわけではなく、悪魔・ラブコフが扇状の武器に変化するだけ。デモンズ同様、基本ゲノムのデザインにほとんど変化はないタイプのようだ。
変身音声「ジャ!ジャ!ジャ!ジャンヌ」が、文字に起こすと「蛇!蛇!蛇!ジャンヌ」だったように、あくまでも基本形はコブラモチーフ。あからさまに他の生物へのチェンジはさせない意向なのだろう。少なくとも今のところは。
とは言え、必殺のライダーキックの際は、『ゴースト』スピンオフに登場したシンスペクターのデッドリードライブに類似したエフェクトが使われるなどしていて、それなりに基本ゲノムとの違いは表現されている。
ライダーキックをエビルにかまし、大二を救うさくら。「手加減なしかよ?」と笑う大二に、「ごめんね」と謝るさくら。ジャンヌの仕草も含めて可愛らしい。
カメレオン・デッドマン フェーズ2の正体は?
今回、新たに登場したフェーズ2の悪魔、カメレオン・デッドマンの正体は、どうやらフェニックス司令官・若林優次郎のようだ。
デッドマンズ一行をベース内に招き入れる何者かの後ろ姿は間違いなく司令官の服装だし、ラストシーンで通路を歩く司令官の姿がカメレオン・デッドマンに変貌する様も映し出されている。
ただし、厳密にいえば、変化する様は映されておらず、一瞬画面が暗くなった次の瞬間にデッドマンの姿となっているので、姿を自由に変えられるカメレオン・デッドマンが、スカイベース内を自由に動き回るために、若林司令官の姿を模しているだけかもしれないという可能性は否定できない。
なんといっても、木下半太さんの脚本なので、これまでどおり、散々匂わせた挙句、実は違った、と可能性は大。しかし、狩崎が廃棄処分したはずのリベラドライバーをさくらに送ったり、開発中だったバリッドレックス・バイスタンプのことも知っているという事実は、完全にフェニックス内部にいる者の犯行であることを示している。
今回ばかりは素直に受け取らざるを得ないかもしれないが、こうして毎回、見たまんまか? それともフェイクか? と、ワクワクさせられるのは推理小説さながらである。『リバイス』は、各キャラクターの濃さだけでなく、こういった『仮面ライダーW』に通ずるようなミステリ要素も素晴らしいスパイスとなっていることは間違いない。
さて、次回はいよいよ、若林司令官の件が明らかになるのだろうか? 楽しみに待ちたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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