2022年11月12日放送『ウルトラマンデッカー』特別総集編「テラフェイザーの脅威」(構成:足木淳一郎)をレビュー
もう3回目。
何が? って、『ウルトラマンデッカー』の総集編である。特別総集編と銘打たれたのは2回目だが、第13話「ジャンブル・ロック」も、普通のエピソードのようなタイトルでありながら、実は総集編を兼ねていたので、これを加えれば、全部で3回の総集編が放送されたことになる。これまで全19回が放送されてきた中で、3回だ。およそ6話毎。流石に多すぎやしないか?
なんてことを思いつつ、今回も率直な意見を書き連ねてみたい。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは特別総集編②(②とは便宜的に入れた数字である。本編にそういった表記はされていない)のキャストをご紹介する。以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。
ホッタ マサミチ
田久保 宗稔
マルゥルの声
M・A・O
ナレーション:梶原岳人
二人だけの会話劇
前回の特別総集編と同様、今回もTPU技術部・特務3課のホッタとマルゥルの二人が思い出語りをするような形で、これまでの『デッカー』の物語を振り返っていく。特務3課の部屋を固定セットとし、二人が右往左往しながら展開する会話劇は、まるで舞台を観ているような気分になる(決して悪い意味ではない)。
メインとなるテーマはタイトルにある通り、乗っ取られたテラフェイザーのこと。さらに、それを開発したアサカゲ博士が実は時を超えてやってきた異星人だったことである。
ホッタは、前回のムラホシ隊長と同じように、TPU内部調査局のナイゲル局長から尋問を受けた様子。同じ技術部としてアサカゲと共にテラフェイザーの開発に携わったのだから当然と言えば当然だろう。ただし、見た目にも普通の地球人となんら変わりのないアサカゲを見て、怪しいなどと感じることはなかったはずだ。
見た目だけで言えば、メトロン星人であるマルゥルやナイゲルの方がよほど怪しい(特に、リアル・メトロン星人であるナイゲルは黒幕だと言われても不思議でないほどの凄みがある)し、そもそも同じ部署で働くホッタたちを疑う前に、アサカゲを雇用した本部の責任を追求するべきだ。地球防衛という重責を担う組織なのだから、採用する前に、その人の過去の経歴など調べないのだろうか? とも思うが、振り返ってみると、歴代ウルトラシリーズ(特に昭和)では、民間人である主人公が急に精鋭部隊の一員として採用されるようなこともあったので、そこにツッコミを入れるのは筋違いなのかもしれない。
ところで、マルゥルがテラフェイザーの開発計画である“DG計画”を“Decker Genocide”の略ではないか? と推測した。直訳すると「デッカー虐殺計画」となり、なるほど、とも思ったが、こうなると時系列的なことが気になる。どういうことかと言うと、アガムスは地球を滅ぼすため、時を超えてスフィアを連れてきたと言う。そこに同じく時を超えて(実際にはカナタがデッカーの力を手に入れただけなのだが)デッカーが現れた。デッカーの存在が邪魔なアガムスは、TPUに入隊し、デッカーを倒すためにテラフェイザーを開発した、ということだろうか? 要するに、ここ1年くらいの間の出来事ということになってしまう。だとすれば、カナタと同期くらいのものだろう。その割には結構な権限を持っているようだし、周囲からの信頼も厚い気がする。なんてツッコミを入れるのも筋違いなのだろうか? 粋でないことはわかるが、一応、気になったので記しておく。
テラフェイザーの元ネタ
テラフェイザーの元ネタが、『ウルトラマンダイナ』の劇場版「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち」に登場した電脳魔神デスフェイサーであることはファンならとっくにご存知だろう。名前が似ているとか、デザイン形状がほぼ一致しているだけではない。右腕が伸縮自在のシザーアーム、左腕には銃器(デスフェイサーはガトリングガンでテラフェイザーはビーム砲)、胸部には必殺のビーム兵器(デスフェイサーはネオマキシマ砲、テラフェイザーはTRメガバスター)と、武装までほぼ同じだ。しかし、『デッカー』を観ているのは、そんな細かいことに気づいてテンションの上がるようなコアなファンばかりではない。『デッカー』が初めてのウルトラ体験という子どもたちも多いはずだ。
そこで今回は、テラフェイザーの元ネタであるデスフェイサーとダイナとの戦いを振り返るだけでなく、ウルトラシリーズに登場したロボット兵器の数々についても振り返っている。
デスフェイサー同様、敵として登場したロボットとして登場したのは、『ウルトラマントリガー』第6話に登場した惑星破壊神サタンデロス。
「一時間の悪魔」という異名の通り、活動できる時間は1日の内、たった1時間だけ。それ以外の23時間は、充電が必要なため動くことができない。ただし、常時(充電中も)発生しているバリアの防御力はトリガーのゼペリオン光線なども通さないという規格外の強度を誇る。
ちなみにこのサタンデロスは、『ウルトラマンタイガ』に登場した惑星守護神ギガデロスが魔改造されたものとなっており、掘り進めるほどに面白さが見えてくるのは、歴史あるウルトラシリーズならではの持ち味と言っていいだろう。
さらに味方として登場したロボット兵器についても紹介されている。
『ウルトラマンZ』に登場した特空機(トックウキ)、セブンガー、ウインダム、キングジョーストレイジカスタムの3体だ。
これらの戦いを振り返りながら、来るべきアガムス(アサカゲ博士の本当の名)との戦いへの期待を煽っていく。
ここからはラストに向けて、バズド星人としての正体を明かしたアガムスとの戦いが本格化していくことは明らかだ。最終盤では、再びトリガーとの共演もありそうだし、ひょっとしたら他のウルトラマンの登場もあるかもしれない。
誰がための総集編か? と、今回ばかりはかなり懐疑的に眺めていたが、終わってみれば、すっかりその気にさせられていた。煽りに素直に乗っかって、ここから終盤へ向けての戦いを楽しみに待ちたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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