2022年10月1日放送『ウルトラマンデッカー』第12話「ネオメガスの逆襲」(監督:越 知靖 脚本:足木 淳一郎)をレビュー
第10話でデッカーに倒されたネオメガスの恐怖が再び。
デッカーさえも苦戦する新たな脅威に対抗できる可能性があるのは、GUTS-SELECTの新型兵器・テラフェイザーだけ。しかし、調整は難航する・・・。
ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第12話のキャストをご紹介する。
なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。
アスミ カナタ
松本大輝
キリノ イチカ
村山優香
リュウモン ソウマ
大地伸永
カイザキ サワ
宮澤佐江
アサカゲ ユウイチロウ
小柳 友
ムラホシ タイジ
黄川田雅哉
ハネジローの声
土田 大
サトウ:永吉幸一郎
ノジマ:西内 薫
ウルトラマンデッカー:岩田栄慶
テラファイザー:桑原義樹
スフィアネオメガス:梶川賢司
蘇るネオメガス
第10話に登場したネオメガスは、カイザキ サワのかつての恩師・シゲナガ マキが創り上げた怪獣だった。怪獣を人間の支配下に置こうとしたシゲナガの身勝手な想いは、デッカーの力によって粉砕されたが、弾け飛んだネオメガスの身体の一部に、無数のスフィアが取り憑き、新創合成獣スフィアネオメガスとして装いも新たに蘇る。
新創合成獣スフィアネオメガス
身長:65m
体重:30,000t
伏線、というほど大袈裟なものではないけれど、デッカーの渾身の一撃で粉々に吹き飛んだネオメガスの身体の一部が、わざわざ地面に突き刺さる様子を映していたのは、このためだったのである。
このスフィアネオメガスだが、元々強力だったネオメガスがスフィアの力でさらに強力になっている。
驚くべきことに、スフィアレッドキング(第9話登場)を一撃で粉砕したGUTSグリフォンの超兵器・ハイパーソーンレーザーによっても頭部のツノを破壊することしかできず、さらにその破壊されたツノもスフィアの力で即時修復されてしまう。
しかも、デッカーさえ寄せ付けない。苦戦するデッカーを援護するイチカとリュウモンに向かって放たれたスフィアネオメガスの破壊光線をその身に受けて、デッカーは姿を消してしまう。デッカー初の敗北である。
そのまま破壊の限りを尽くすかと思われたスフィアネオメガスだが、やがて第1話に登場したスフィアザウルスのように地面に根を張り大人しくなる。地中からエネルギーを吸収したスフィアザウルスに対し、スフィアネオメガスは地中に向かってエネルギーを放出し続ける。
この行動が何を意味するのかはわからない。しかし、意味もなくエネルギーを放出するわけもない。今にも地上に落ちてくるほどの大きさで輝く月をバックに青白く輝くスフィアネオメガスの様子は不気味であり、かつ幻想的でもある。
テラフェイザー再び
デッカーさえ敗れ去った今、スフィアネオメガスを倒せる可能性が残されているのは、新たな人型兵器・テラフェイザーだけだ。大きさを考えれば、GUTS-SELECTの母艦・ナースデッセイ号の方が強そうにも見えるのだが、設計年次の違いは大きい。武装に限らず、技術の進歩はハードウェアの小型化と出力の強化を同時に可能にするものだからだ。
特にテラフェイザーには、TRメガバスターと呼ばれる最強兵器が装備されている。前回はオーバーヒートによって使用することができず、その威力は未知数だが、少なくとも現状でGUTS-SELECTが用意できる武器としては最新で最強であることは疑いようがない。
アサカゲ博士による必死の調整も間に合わず、最終的にはコントロールユニットとしてセットされたA.I・ハネジローが戦いながら残されたロックを解除して使う、という、一か八かに賭けることとなる。
GUTS-SELECTの面々は地上からテラフェイザーの援護にあたる。
これまでに蓄積された戦闘データの効果もあって、スフィアネオメガスに対し善戦するテラフェイザーだったが、TRメガバスターの最終ロックを解除するほどの余裕はない。
そこでハネジローは、カナタにデッカーに変身して時間を稼ぐよう指示する。というか、半ば強引に変身させる。
デッカーとテラフェイザー、初めての共同作業(共闘)である。
ピタリと息の合った連携を見せるのは、カナタとハネジローが培ってきた信頼関係によるものだろう。
デッカーが身を挺してスフィアネオメガスの攻撃を食い止めている間にロックを解除し、TRメガバスターを放つテラフェイザー。
まばゆい破壊光線と共にTR粒子が撒き散らされる様子を見て、『機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)』を思い出した。あちらは“GN粒子”で、こちらは“TR粒子”。光の粒が舞い散る様は、よくある表現技法だが、それでも綺麗なことは間違いない。夏の夜の暗闇を飛び交う蛍のようで、どこで何度見ようとも、飽きることなどない。
エネルギーの逆流によって、テラフェイザー自身が壊れてしまうリスクもあったが、スフィアネオメガスが爆発四散した後に立ち昇る煙の中に何事もなかったかのように屹立するテラフェイザーの姿を見て、隊員たちは喜びを隠しきれない。
HANE2
今回の戦闘データを解析するアサカゲ博士は、ハネジローのメモリの中に機密ファイルを発見する。
開いてみるとそこには、これまでのカナタとハネジローとのやり取りが記録されており、カナタがウルトラマンデッカーであることも記録されていた。
ハネジローに「このことは内緒な!」と口止めしていたカナタだったが、ハネジローが人間ではなくA.Iである以上、誰かがメンテナンスすることを考えれば、当然に予想されることだった。ウルトラマンではお約束の身バレだが、『デッカー』の場合は、こういう形でバレるだろうな、とはなんとなく予想していたが、しかし、なんだかんだでバレるのは物語の後半だとばかり思っていたので、ちょっと意外である。
それよりも気がかりなのは、ハネジローの変貌ぶりだ。
コミュニケーションを取る機会が多いカナタの影響を受けているとは言っていたが、それにしたって言葉遣いから行動から、全てが粗野になっている。
今回はカナタをデッカーに変身させようと、GUTSグリフォンのコクピットから落としてみたり、地上で援護するカナタに向かってテラフェイザーで倒れ込んでみたりと、流石にどうかしている。
番組イベントなどで、既に禍々しいデザインのテラフェイザー・フェイズ2が登場することが発表されていることからも明らかな通り、テラフェイザーが闇堕ちすることは確実だ。
空っぽのテラフェイザーがスフィアに乗っ取られることを想像していたけれど、ひょっとすると過激化するハネジローが闇堕ちのトリガーとなる可能性も出てきた。それがラスボスということは無いと思うが、闇堕ちしたハネジローとカナタの戦いがあることは、おそらく確実だろうと思われる。
これは、仲間同士で争わなければならなくなる、という単なる切ない展開というだけでなく、A.I技術が当たり前の現代に対する、アンチテーゼみたいなものも込められているのかもしれない。
デッカーの正体を知ったアサカゲと、進化(?)を続けるハネジロー。この二人が今後の中核となっていくのは間違いないだろう。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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