【ネタバレ注意】ラスボス降臨|『ウルトラマンデッカー』第23話感想

雷堂

2022年12月24日放送『ウルトラマンデッカー』第23話「絶望の空」(監督:辻元貴則 脚本:根元歳三)をレビュー

冷静沈着なリーダータイプのリュウモン ソウマと、直情型の熱血漢・アスミ カナタ。

こうして文字にしてみるだけで、その相性の悪さは見て取れるし、実際、物語が始まった頃から何度もぶつかってきた。

前回、ウルトラマンデッカーの正体がカナタであることを知ってしまったリュウモン。

二人の関係はどうなってしまうのか。

そして、ついに姿を現した最強の敵。いよいよ見えてきた『デッカー』の物語の終焉。

ネタバレも含むが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。

※なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。

目次

インタビュー・ウィズ・アガムス

激しい戦いの末、ウルトラマンデッカーと相討ちとなったアガムスは、その時のショックで記憶を失っていた。

アガムス

小柳 友

自分がどこにいるのか? そこで何をしていたのか? そういった記憶がすっぽりと抜け落ちているアガムスは、GUTS-SELECTの病院施設へと入院させられるが、誰にも心を開こうとしない。無理のないことだ。普通の人なら、酔っ払って、ほんの数時間の記憶が無い程度でも動揺するのだ。ある日、ふと目覚めたら、そこが自分の知らない世界だったとすれば、冷静でなどいられるはずがない。

そんなアガムスと話がしたいと言い出すカナタに、「何故、キミが?」と怪訝な顔をするムラホシ隊長。

アスミ カナタ

松本大輝

ムラホシ タイジ

黄川田雅哉

ウルトラマンデッカーとして、これまで何度も対峙し、そのたびに言葉を交わしてきたカナタだからこその想いがあったのだろう。だが、カナタがウルトラマンデッカーであることを知らない他の隊員たちはキョトンとするばかり。唯一、カナタの正体を知ってしまったリュウモンが、その想いを汲んで助け舟を出したことで、カナタとアガムスの面談が実現する。

リュウモン ソウマ

大地伸永

これまでとは打って変わり、穏やかな表情を見せるアガムスは、努めて明るく話しかけるカナタに徐々に心を開いていく。

カナタのひたむきさが伝わったらしい。遠い母星・バズドに残してきた最愛の妻・レリアのことや、共にスフィアと戦う地球人たちのことを懐かしそうに口にした。そこに敵意はまるで感じられない。憎むべき敵はスフィアである、という当たり前の認識になっているようだ。

アガムスたちは、スフィアの大元に“マザー”と呼ばれる存在がいて、その倒し方をも理解しているようだった。ただし、倒し方はわかっていても、技術が追いつかないらしい。現代よりも遥かに優れた未来の技術でもまだ足りないとすれば、今を生きるカナタたちに何ができるというのだろう。

だが、予期せぬアクシデントによるものだったとはいえ、相容れないと思われていたアガムスとカナタの心が通じ合った。ここから新たな一歩が刻まれるかもしれない。

そう思った矢先、凄まじい衝撃と共に緊急警報が鳴り響く。

窓の外には、空飛ぶスフィアソルジャーの群れ。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

それを目にした途端、アガムスの中の何かが目を覚ました。

やるべきこと

突然、頭を抱えて苦しみ出すアガムス。空を飛び回るスフィアソルジャーが、体内を侵食しているスフィアに干渉したのだろうか。心配して駆け寄る職員たちを突き飛ばし、病院の外へと走り出す。どうやら記憶が蘇ったらしい。

追いかけてきたカナタの前で、テラフェイザーを呼び出す。前回同様、その機体に大量のスフィアソルジャーを纏わせるが、どこか様子が違う。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

地中から突き出す3本の謎の物体。その配置はトライアングルを描き、何かの儀式を思わせる。地中のエネルギーを転送しているらしい。スフィアザウルスと同じ役割を担っているわけだ。

それと同時に、地球を覆うスフィアバリアの反応が高まっていることを伝えるカイザキ。

カイザキ サワ

宮澤佐江

無差別攻撃を続けるスフィアソルジャーの群れに対し、リュウモンとイチカは地上から攻撃を開始する。

キリノ イチカ

村山優香

そしてカナタが、スフィアソルジャーの攻撃で負傷した男性を保護しようとしたとき、リュウモンが現れる。

カナタの代わりにその男性を保護し、「お前のやるべきことをやれ!」と一喝するリュウモン。もちろん、ウルトラマンデッカーに変身することを指している。それ以上は語らない。その瞳には厳しさだけでなく優しさが滲む。これまで誰にも言えず、傷つきながら戦ってきたカナタの苦労を慮ってのものだろう。あえてカナタに背を向けるようにしているのも、見てはいけないという配慮に違いない。

全てを察したカナタは、これまでのように物陰に隠れたりすることなく、雄叫びを上げながらテラフェイザーに向かって駆け出し、そして変身する。すぐ背後には負傷者を抱えたリュウモンがいる。振り向けば、カナタが変身する瞬間が丸見えという状況で背を向けるリュウモンの想いに応えるように、あえてそのすぐ近くで変身するカナタ。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

最初はぶつかってばかりいた二人が、いつの間にか強い信頼関係を結び、お互いに背中を預けている。二人の間にこれ以上の言葉は要らないのだ。初期のギクシャクした関係性があったからこそ生まれた名シーンである。熱い。ただひたすら熱い。

これが最終回でもいいんじゃないか、というほどの展開だが、そう単純ではない。

登場したデッカーの前に立ち塞がるのは、テラフェイザーだけではない。これまでに倒してきたスフィアゴモラ、スフィアレッドキング、スフィアネオメガスが蘇ったのだ。

ウルトラマンデッカー

岩田栄慶

画像引用元:ウルトラマンデッカー

1体でさえ強力な怪獣が同時に3体も現れたのだから、最強のダイナミックタイプで応戦するデッカーも大苦戦。まさに手も足も出ない。

しかしウルトラシリーズでは、大逆転のポイントは“回転”だというのが、最初期の『ウルトラマン』の頃からのお約束だ。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

ウルトラマンは空を飛ぶ姿勢のまま、腰のあたりを軸としての縦回転だったが、デッカーは両手に剣を携え、竜巻のような横回転で3体の怪獣たちを薙ぎ倒す。

マザー

3体の怪獣を倒し、ホッとしたのも束の間。

完全にスフィアに侵食されてしまった様子のアガムスが、疲れ切ったデッカーを狙う。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

その表情はどこか虚ろで、顔に浮き出たスフィアの刻印も以前より大きくなっている。

容赦なく放たれるTRメガバスターの一撃。

なす術もなく撃ち抜かれ、変身が解けてしまうデッカー。人間の姿へと戻り、気を失ったカナタをリュウモンが支える。

それと同じ頃、宇宙でも事件が起きていた。

異変を察し、地球の側までやってきたウルトラマントリガーの前に、突如ワームホールが現れる。

ウルトラマントリガー

石川真之介

その中から出てきたのは、アガムスが「マザー」と呼んでいた存在。マザースフィアザウルスである。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

“最強スフィア獣”と二つ名を持つ通り、ラスボスらしい禍々しさが全体に溢れ出ている。

トリガーとマザースフィアザウルスとが激突するところで今回は終了。次回、いよいよ最終回かと思いきや、なんとまたまた特別総集編らしい。物語がまだ続いてくれることには大歓迎なのだが、高々半年ほどの放送期間の中で3回も総集編(もう1話、総集編とは銘打たなかったが、総集編ぽい回があったので、都合4回となる)をやるとは、流石にどうかしている。

決して悪くないはずなのに、回を重ねるごとに評価を落としているのは、こういった構成面の問題が大きいのではないか?

ちょっと辛口になってしまったが、こんな不満を吹き飛ばしてくれるような今後の展開を期待している。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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