
2022年8月20日放送『ウルトラマンデッカー』第6話「地底怪獣現わる!現わる!」(監督:辻本貴則 脚本:中野貴雄)
120年ぶりに咲いたサザメダケの花。そして空には金色の虹。これは天変地異の前触れか?
懐かしい怪獣たちが続々と登場する第6話をレビュー。ネタバレも含むが、これから視聴する楽しみを奪うほどではないはずなので、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第6話に登場するキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。これは特撮出演俳優さんたちを応援したいという趣旨である。
なお、以下に使用する画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。


アスミ カナタ
松本大輝


キリノ イチカ※画面中央
村山優香


リュウモン ソウマ
大地伸永


カイザキ サワ
宮澤佐江


ムラホシ タイジ
黄川田雅哉


ハネジローの声※画面左
土田 大
老婦人:小貫加恵
アナウンサー:松長ゆり子
虹を目撃する女性A:一之瀬友美
虹を目撃する女性B:桃瀬陽菜
作業員:橋本祐樹・奥江明生
ウルトラマンデッカー:岩田永慶
アギラ:梶川賢司
パゴス:高橋 舜
グドン:永地悠斗
テレスドン:新井宏幸
地下世界に巣食う怪獣たち
初代『ウルトラマン』の「怪獣無法地帯」などを思い出させる怪獣集合回。しかも全て地底怪獣で揃えるというこだわりよう。
まずはパゴス。


地底怪獣パゴス
身長:30m
体重:20,000t
初出は『ウルトラQ』。今回冒頭から描かれている「サザメダケ」や「金色の虹」は全てこのパゴス関連のネタである。『シン・ウルトラマン』にも登場したのでピンとくる方も多いかもしれないが、デザインはまるで別物。あちらは『エヴァンゲリオン』に登場するシトに通ずるテイストを感じるが、こちらのオリジナル(に忠実なもの)は、これといった特徴もなく、良くも悪くも普通の怪獣といった雰囲気だ。
しかし、初出から既に56年もの年月が経っているのに未だに登場しているということは、使いやすいプレーンなデザインだということの証明でもあり、良い意味で外連味がない、ということでもあるかもしれない。
次に登場したのはグドン。


地底怪獣グドン
身長:50m
体重:25,000t
両手がムチという特徴的なデザインのグドンの初出は『帰ってきたウルトラマン』。要するにこちらも50年選手。薄暗い地底での戦いということで、デザインのディテールがほとんど見えないのが残念だが、この薄暗い中だからこそ不気味さや迫力がマシマシに見えるとも言えるかもしれない。
身体中のトゲも相まって、そのシルエットは怪獣というよりも悪魔的。デザイナーの故・池谷仙克さんは、『帰ってきたウルトラマン』で手がけた怪獣の中で一番好きだとおっしゃっていたそうだが、確かにうなずけるデキである。元々は、後述するツインテールを捕食するという設定になっていた。今回はそれに関する話もなければ展開もなかったが、おそらく変わってはいないだろう。変幻自在のムチでデッカーを苦しめた。
これだけではない。
次に登場するのはテレスドン。


地底怪獣テレスドン
身長:60m
体重:120,000t
こちらの初出は『ウルトラマン』。
体重はバグっているようにしか見えないが、間違いなく12万トンである。身体がデカいのは確かだが、全体的にシャープな造形なので、どこにそんな重さが隠れているのかよくわからない。全体的に筋肉質なのか、体組織の密度が高いのか。
口から火炎を吐き出し、デッカーを攻撃する。余談だが、『ウルトラマン』でテレスドンを操っていた地底人のデザインは今見ても秀逸だ。いや、あれをデザインと呼んでいいものなのかという疑問もあるが、太陽の光も差さない地底暮らしによって目が退化してしまったというのは、現実世界の地中に生息する生物と一緒でリアリティがあるし、目がないというだけで生じる不気味さは凄まじいものがあった。
最後にツインテール。こちらは群れで登場する。


地底怪獣ツインテール
体長:45m
体重:15,000t
先述した通り、グドンに喰われる怪獣で、初出は『帰ってきたウルトラマン』。逆立ちをしたハサミムシのような、それでいて爬虫類的なそのシルエットはかなり特徴的。武器は尻尾についた二振のムチ。
髪を両サイドに分けて結ぶ髪型をツインテールと呼ぶが、あの語源がこの怪獣であることはあまりに有名。ポニーテールを二つ作ったようなスタイルから、そもそもは「ツーテール」などと呼ばれていたようだが、その語感も含め、明らかにツインテールの方がしっくりくる。もしかしたら、特撮に興味のない人たちに最も馴染みのあるウルトラ怪獣かもしれない。
しかし、第1話を除き、未だに完全新作の怪獣が登場しないのは何故なのか(スフィアで形態が変化したゴモラを完全新作とは言わない)。「できるだけ新怪獣を出現させる」と公式が発表していた割には、過去の遺産でやりくりしている感しかない。そこは非常に残念。
助っ人はアギラとナースデッセイ号
ディメンションカード怪獣の出番がまたやってきた。
6回の放送(うち一度は総集編だから、実質的には5回)で3度も呼び出されるとは、ディメンションカード怪獣の元ネタである『ウルトラセブン』のカプセル怪獣とは扱いが違う。『セブン』では全49回中、カプセル怪獣が登場したのは7回ほどに過ぎないのだ。つまり7回に1回しか登場していない計算。もちろん、今のうちに集中して登場させることで視聴者に印象付けておきたいという思惑はわかるし、おそらく回を重ねるごとに登場機会は減っていくだろうと思われる。
しかも今回は初登場となるアギラ。


ディメンションカード怪獣アギラ
身長:ミクロ〜45m
体重:0〜12,000t
得意技:角を使った突進攻撃
同じディメンションカード怪獣のミクラスやウインダムと比べると明らかに普通なデザインで、突進攻撃というのも地味ではあるが、なんと突進一発でテレスドンを葬り去ってしまう。見た目と違ってめちゃくちゃ有能である。
そしてGUTS -SELECTの旗艦ナースデッセイ号も今回は大活躍を見せる。空を駆ける竜となるバトルモードに変形。


口の部分から撃ち出す高出力の破壊光線・マキシマナースキャノンの直撃を受けてパゴスは爆死。さらにツインテールの群れも一掃してしまう。
怪獣の無駄遣い・・・そんな言葉が頭をよぎる。
もちろん、ナースデッセイ号の威力の高さは伝わったし、全てウルトラマン頼みではなく、人間が自らの手で降りかかってきた火の粉(怪獣という厄災)を払うという意味でも、今回の演出には見どころがあった。
しかしその一方で、過去の遺産を散々持ち出したわりに扱いが杜撰な気もする。ツインテールの大群とグドンだけで良かったのではないか? 少なくともテレスドンが登場する必然性は微塵も感じなかった。パゴスが登場した理由も、サザメダケと金の虹というキーワードを使いたかっただけにしか思えなかった。
明かされるリュウモンの過去
怪獣に関しては少し残念な感じも残った今回だったが、これまでほとんど語られなかったリュウモンソウマの過去が語られたことは大きい。
裕福な家に生まれ、何不自由なく暮らしてきたリュウモン少年を襲った怪獣災害。
その時、自分一人では何もできないという事実を突きられたことが今の完璧主義へとつながっており、TPU隊員たちに助けられたことで「自分も誰かを救いたい」と今の道を選んだという導線も納得できる。
そもそも本作に登場するGUTS -SELECTは信じられないほどの少数精鋭で、しかもそのうちの半数以上が新人という荒唐無稽な設定であるが、今回のリュウモン回や前回のイチカ回のように、若者たちの群像劇、とまではいかなくとも、各キャラクターを掘り下げることで物語に深みが増すのは間違いない。
次回はトリガーパイセンも登場するらしい。いくら『トリガー』と『デッカー』が地続きの物語とは言え、早すぎる邂逅のような気もするが、楽しみにしておこう。





それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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