2022年5月15日放送『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン11話「イヌのかくらん」(監督:山口恭平 脚本:井上敏樹)
神回直後のコント回…かと思いきや、しれっと重要な情報を放り込んでくる。その巧みさに舌を巻くドン11話をレビュー。
ネタバレもあるが、最後までお読みいただければ幸いだ。
キャスト
ドン11話のキャストを紹介する。
本作初登場で、ウィキペディアに記載のある方については、リンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下で使用する画像は全て『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』より引用している。
桃井タロウ/ドンモモタロウ
樋口幸平
猿原真一/サルブラザー
別府由来
鬼頭はるか/オニシスター
志田こはく
犬塚 翼/イヌブラザー
柊太朗
雉野つよし/キジブラザー
鈴木浩文
ソノイ
富永勇也
ソノニ
宮崎あみさ(画像手前)
ソノザ
タカハシシンノスケ(画像奥)
雉野みほ/夏美
新田桃子
狭山健児
杉本凌士
刑事
齊藤謙也(画像右)・藤田洋平(画像左)
大野
榊原卓士
店長
堀内充治(画像奥)
桃井 陣
和田聰宏
守護人
これまで、時折、はるかや猿原の前にだけ姿を現し、言葉少なにヒントをちらつかせていた謎の男・桃井 陣の正体とは何なのか? その答えの一端が、今回提示された。
迫る獣人(ジュウト)の影に怯えるソノイたちは、「シュゴジン」と呼ばれる存在に面会する。
それが桃井 陣のことらしい。「守護神」と「陣」をかけて「守護陣」かと思いきや、字幕を確認したところ、「守護人」と記載するようだ。
そして、桃井 陣が幽閉されている空間は、人間界と脳人の世界の狭間であり、獣人の抜け道を防ぐための封印らしい。
陣は、過去に犯した、とある罪によって守護人となった、とのことだが、罰ゲームでガードマンを押し付けられたということなのか?
過去に犯した罪、というのは、タロウに関することのような気もするが、では、獣人とはどこに存在するものなのか? このあたりの詳細はまだ明らかにならない。
ただし、新情報として開示されたのはこれだけではない。獣人は折り紙を折るらしい。しかも3種類。
前回、狭山がラーメン屋で折っていたネコの折り紙。
それと鶴、ペンギンという全3種類。
これは獣人が3人いる、ということなのか? それとも3勢力?
いずれにしても、狭山が紛うことなき獣人であることは証明されたワケだ。あとは、他の折り紙を折る者がいつ現れるのか。
手裏剣鬼
林の中、ひとり、忍者修行を続ける男・大野 稔。
その体型を裏切ることのない緩慢な動き。忍者らしいキレはどこにもない。どことなく竹中直人さんを想起させるような風貌もあって、完全にコント。しかし、本人は大真面目の様子。
そんな大野の前に現れたのは、桃井タロウ。宅配の仕事で届けた中身は、しのばず本舗の「鎖鎌」。なんでもネットで買える時代である。
ここでいつも通り、「困っていることがあれば力になる」と、唐突に言い出すタロウもどうかしているが、「一緒に忍者道を究めないか?」と問いかける大野は、さらにその上をいく。質問に質問で返してどうする。
しかも、怪訝な顔をするタロウに対し、問答無用で鎖鎌をぶん投げるのだ。完全にクレイジーである。
その鎖鎌をあっさりかわし、「忍者ごっこも良いが、度を越さない方がいい」とたしなめるタロウに、プライドを傷つけられたのか、メラメラと怒りを燃やす大野。
その「自らの忍術を見せつけたい」という欲望から生まれたのが手裏剣鬼である。
手裏剣鬼
身長:188cm
体重:237kg
スキン:忍ばないニンジャ
スーパー戦隊には忍者モチーフが複数あるため、どれになるかと思っていたら、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』だった。わかりやすく手裏剣つながりである。
頭にかぶった手裏剣は、破れた編笠がモチーフだと思われる。その名も、カサニンジャーシュリケン。
分身の術(よくある、一人が本物、他は虚像ではなく、全て実体である)を使い、5人がかりでタロウを苦しめる。
最後はロボタロウにアバターチェンジしたドンブラザーズに各個撃破されてしまうが、ここまでタロウを苦しめた敵は、ヒトツ鬼だけでなく、脳人を含めても初である。
コントの末
冒頭でも述べたが、今回はコント回と言っていい。その主役は、犬塚 翼。獣人の呪いを受け、高熱にうなされる犬塚の看病をめぐるドタバタ劇だ。
物語は、犬塚がラーメン屋でバイトをしているところを警察に見つかり、バイクで逃亡するところから始まる。全国指名手配犯なのだから、金に困ったのなら、そのバイクを売った金で潜伏しようとか考えないのだろうか。自覚なさすぎである。
バイクで逃げる犬塚を、走って追いかける狭山の姿は明らかにホラーなのだが、どこか滑稽でもある。「ターボババア」だったか? 高速道路をひたすら追いかけてくる老婆の都市伝説を思い出す。
犬塚は、獣人(ジュウト)に取り憑かれた刑事・狭山によって、ネコの折り紙を飲まされてしまう。これが何かの呪いのようで、急激に体調を崩した犬塚は、雉野の家に逃げ込む。
既に顔見知りである、というだけでなく、ドン8話では、お互いに愛する女性の話で打ち解け合い、家にまで誘われたのだ。指名手配されている犬塚の無実を信じる、とも言ってくれた雉野に対して、安心感を抱いていたのかも知れない。逃げ込む先として、不自然さはまるでない。
しかし、逃げ込まれた雉野は大慌て。犬塚が指名手配犯である以上、医者に連れていくワケにもいかず、助けを求めた先は桃井タロウ。
タロウは仕事中のため、代わりに猿原とはるかを雉野の家に送り込む。これが悲劇のはじまりである。
高熱のせいで、はるかを夏美と勘違いし抱きつこうとする犬塚を思いっきりビンタするはるか。
「今は夏美さんのフリをして優しくあげてください」と雉野になだめられ、猫撫で声で犬塚に微笑みかけた途端、犬塚の視界が元に戻り、「お前じゃない」とキック一閃。
蹴られたはるかは逆上し、近くにあったダンベルで殴りかかろうとする・・・といった具合。殺意が垣間見える。
薬を飲ませる際にも、コップに水を汲んでくるのではなく、手元にあった洗面器を使うなど、完全にどうかしているが、笑ってしまう。
数々のモノローグといい、やられ芸といい、はるかを演じる志田さんの演技が、本作を盛り上げている一因であることは確かだろう。
そして、「仮病を使って薬をもらってこい」とか、おかしな祈祷を持ち出してドヤる猿原もまたおかしい。
とはいえ、そのおかしな祈祷(山盛りいっぱいに塩を入れた洗面器を頭に載せて、犬塚の回復を祈る)のおかげで、雉野がキジブラザーであることがわかったし、ついでに手裏剣鬼を倒すこともできたのだから、結果オーライだろう。
さらにその塩が手裏剣鬼の目に直撃。「目が、目がぁ〜」という展開は、もはや古典と言っても良いほどのベタさだが、吉本新喜劇を見ているような安心感のある鉄板ネタで、つい口元がほころんでしまう。
このあたりのやり取りを全部文字起こしするのは無粋なので、未視聴の方は是非実際に観て欲しい。
鶴の折り紙
タロウたちが手裏剣鬼と戦っている最中、雉野の家で一人苦しむ犬塚。
そこに、雉野の妻・みほが帰ってくる。
見知らぬ男(犬塚)が寝ているという状況に驚きを隠せないみほだが、急に態度が一変する。
おもむろに犬塚の口に指を突っ込み、奥から何かを取り出す。ネコの折り紙だ。
その途端、容体が回復する犬塚。
みほは何故、その折り紙のことを知っていたのか? と思ったら、夕日のオレンジに染まる薄暗い部屋の中で、みほが一心不乱に何かをはじめる。
折り紙である。鶴の折り紙。
冒頭の3種の折り紙がいい伏線となっている。しかも、予想外の人物。
みほの正体は獣人なのか? 時折見せる首をコキコキと捻る仕草が、いかにもモンスターっぽい。
しかし、だとしたら犬塚を救ったのは、何故なのか? 折り紙と同じ3種の獣人は対立しているのだろうか?
コント回に差し込まれた新情報と、新たな謎。
次回はいよいよ合体ロボ・ドンオニタイジン登場の模様。
ドンブラの全貌は、まだまだ見えない。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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