動画配信サービス「TELASA」と「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」が共同で企画したプレミアムドラマの配信が始まった。TELASAでは『RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイド 〜7人のジオウ!〜』を。TTFCでは『RIDER TIME 仮面ライダーディケイドVSジオウ 〜ディケイド館のデスゲーム〜』を配信しています。
この2本の作品は「仮面ライダーディケイド』と『仮面ライダージオウ』という同じ素材を使って2通りのアレンジをしてみた、といった内容で、タイトルからもわかるように、それぞれにメインとなるライダーを変えている。TELASAはジオウ、TTFCはディケイド。
本記事では、『RIDER TIME 仮面ライダージオウVSディケイド 〜7人のジオウ!〜』をレビュー。
ドラマの舞台はジオウでおなじみの「光ヶ森学園」。
住宅地の中にあったはずの光ヶ森学園だが、原因不明の異変によって周囲は荒野となり、仮面ライダーカブトに登場したザコ、ワームが校外を徘徊している。校内に残った生徒たちは急ごしらえのバリケードでワームの侵入を防ぎながら1週間以上も孤立無援の生活を送っているという設定。
外に出ればワームに襲われ(食われる)、中に籠っていても食料不足で追い詰められるという極限状態の中で、ジオウの登場人物たちがどのようなドラマを見せてくれるのか? ディケイドはいつ現れるのか? 導入としてはありがちだが、興味は尽きない。
全3章の配信で、1章あたり約20分ほど。全て通して視聴しても1時間ほどの内容。ネタバレは最小限とし、4つの見どころをご紹介する。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
スタッフ・キャスト
ここでは本作の主要スタッフとキャストをご紹介する。
ウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品もチェックしていただきたい。これは、特撮に出演された俳優さんたちを応援したいという、そういう趣旨である。
【スタッフ】
監督:諸田 敏
脚本:井上敏樹
アクション監督:宮崎 剛
【キャスト】
常磐ソウゴ/仮面ライダージオウ:奥野 壮
明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ:押田 岳
ツクヨミ/仮面ライダーツクヨミ:大幡しえり
ウォズ:渡邊圭祐
久遠ミサ:武田玲奈
ウール:板垣李光人
オーラ:紺野彩夏
スウォルツ/アナザーディケイド:兼崎健太郎
門矢 士/仮面ライダーディケイド:井上正大
山田ゴロウ:田中穂先
少年:伊藤駿太
オーマジオウの声:小山力也
7人の奥野 壮
この『7人のジオウ!』は、そのタイトルどおり、仮面ライダージオウが7人登場するという中々カオスな内容。7つのパラレルワールドに存在していた常磐ソウゴが大集合したという設定だ。
仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ役の奥野壮さんが、性格の違う7人のソウゴを演じわけるという、『電王』の佐藤健さんのような状態。視覚的には髪型で違いを出しており、奥野ファンにはたまらない内容。『電王』では次々に佐藤健さんの人格が変わっていく様子を楽しめたが、本作は1つの画面内に複数の奥野さんが同居する「ドキッ!奥野壮だらけのプレミアムドラマ」といった風情が楽しめる。
実際、奥野さんの演じ分けはなかなかで、『ジオウ』の頃よりも格段に役者としてのスキルが上がったことを感じさせる。これもやっぱりファンにはたまらないだろう。
ぶっ飛びすぎのタイムジャッカーたち
『ジオウ』本編でも女性的な顔立ちが話題となっていたウールだが、満を持して(?)BLキャラとして登場。ソウゴに恋する後輩キャラだが、あまりにもハマりすぎて言葉を失う。
恋に関して臆病なウールに恋愛のいろはを教えるのがオーラ。
ドラマ内では制服姿だけでなく、ちょいセクシーな女教師的な姿も見せてくれるが、これはファンへのサービスショットだろう。
スウォルツは教師役である。年齢的にも学生は無理があるなと思っていたので納得。しかも、かなり破天荒な教師である。
混乱した状況を落ち着かせるには、生徒たちの注意を他へ向けたいという想いから「恋愛部」なるものを作ったり、パラレルワールドから集まってきた複数のソウゴたちを生徒会長選挙で争わせたり、食糧不足を解消するため、外をうろつくワーム(人肉を食している)たちを夜中にひっそりと切り刻み、給食として生徒たちに提供するといった具合だ。
いずれも、タイムジャッカーである記憶を失っているという設定だが、本作をもっとも盛り上げてくれているのがこの3人である。特にスウォルツは、『ジオウ』本編での姿と見比べると、その振り幅の大きさに驚かされる。
ジオウとディケイドの新フォーム
仮面ライダーシリーズにおけるスピンオフ最大のお楽しみといえば、やはり新フォームの登場だろう。
本作では上の画像の通り、ジオウ・セイバー(ブレイブドラゴン)フォームと、ディケイド・コンプリートフォーム21の2種類が登場する。
ぶっちゃけ、カッコいいとはお世辞にも言えないが、とりあえずこういった新フォームに食いつくのはライダーファンならお約束。カッコいいとかダサいとか、なんだかんだ言いながらも、とりあえず食いついておかなければ気が済まない。自分が知らないフォームがあるなんて許せない、というのがファン心理というやつで、そこを巧みに突いてくる。
誰が生き残るのか?
一人、また一人と現れ、そして消えていくソウゴ。
いつもどおり、ふらりと登場した門矢 士によれば、この異変は力を使いすぎた魔王・オーマジオウによるもので、7つのパラレルワールドに存在するソウゴを戦わせ、勝ち残った一人を依代として復活しようとしているらしい。
様々な策で生き残りを賭けるソウゴたち。
ツクヨミが森で出会った記憶喪失の少年。
いずれ魔王となる真のソウゴを見極め、倒そうとする士。
復活を企む魔王・オーマジオウ。
この記述だけで、オチはなんとなく見えてしまうと思うが、最終決戦の行方は本編で確かめていただきたい。
この作品を視聴するには
当初、この作品が視聴できるのは「TELASA」だけだったが、現在はTTFCで見放題となっている。ただし、有料の会員登録が必要で、それに躊躇する方も多いだろう。
確かに、この作品を視聴するためだけに月額960円(税込)を支払うのが得策とは思えないのだが、仮面ライダーシリーズだけでなく、スーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズなど、ほぼ全ての東映特撮作品が視聴できるという意味では、特撮ファン、もしくはその予備軍なら加入して損はない。
実際、私は既に3年超加入しているが、これを開かない日はない、と言ってもいいほど愛用している。もちろんメリットだけでなくデメリットもあるので、それらをまとめたものを別記事にしてみた。加入を迷っているなら、ご一読いただきたい。
ところで、最後に一つ本作に関する注意点を書いておきたい。
先ほども軽く触れたが、学園外をうろつくワームたちは人を襲う。食べるのである。
そして本作はニチアサ枠ではないので、そのシーンを普通に描写する。血が吹き出し、断末魔の悲鳴をあげる生徒たちの姿を映し出すのだ。「仮面ライダー」だから、なんて理由でお子さんと一緒に見ると、なかなか気まずい思いをするはずなので、視聴する際には是非、大人だけでお楽しみいただきたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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